ガラケーやBlackBerryのような物理キーを多く備えた端末が主流を占めていた10年前、前面にタッチスクリーンと、一つの物理ホームボタンを持つシンプルなデザインで登場した電話機が「iPhone 2G (初代iPhone)」です。
2007年のデビューから今に至るまで、その基本的なデザインは踏襲されています。
このiPhoneを生み出した人物がSteve Jobsである、というのは世間の誰もがよく知る事実となっています。
しかしBGRが伝えるところによると、Steve Jobsは、このiPhoneに「バックキー(戻るボタン)」を追加すべきだと主張していたことがわかりました。
これはBrian Merchant著「The One Device: The Secret History of the iPhone」にて明かされたエピソードから判明したもの。本書はAppleのデザイナー、エンジニアからのインタビュー取材を元に書かれています。
AppleのUIチームで19年間働いていたベテランのデザイナーであるImran Chaudhriによると、Steve Jobsは初代iPhoneの開発中、ナビゲーションには「バックキー」が必要であるとし、物理ホームボタンだけではなく物理バックキーを前面に配置することを望んでいたとのこと。
Chaudhri氏はSteve Jobs氏との議論において勝利し、無事バックキーのない、タッチスクリーンとホームボタンのみを前面に備えたiPhoneを世に出すことができたのです。
かつて、iPhoneに対するAndroid端末の優位性のひとつは、便利なバックキーの存在でした。しかし、もし初代iPhoneにホームボタンとバックキーが前面にあったとしたら、あれほどのインパクトを世に与えることができたでしょうか?後発のスマートフォンたちのデザインに大きな影響を与えた初代iPhoneでしたから、スマートフォンの進化の歴史はまた違ったものとなっていたのかもしれません。
iPhoneという歴史的な製品は、Steve Jobsという天才の一人の手によって生み出されたわけではなく、iPhoneの開発チームに努力があったということを示すエピソードでもあります。