今やスマホでの個人間の通信はチャットアプリが主流。どういうわけか頑なにガラケーを使用し続ける我が国の御老人の中でも、「スマホは嫌だけどLINEを使いたい」という需要は強くあるように見受けられます。
ご存じのとおり中国では「微信(WeChat)」が主流で、事情は同じ。旧型のケータイで使える「微信」もあるそうですが、ところがこれが海賊版の偽「微信」、「公式」を偽って詐欺広告が次々と表示されるオマケ付きだと、新浪看点で紹介されました。
浙江省の李さんが、同僚が孫たちとスマホを開くだけで会えるのを見てうらやましくなり、小さなキャリア代理店で「旧式ケータイにWeChatをインストールしてほしい」と掛け合ったそうです。
私が店員なら「スマホ買え」と言いたくなる話ですが、なんとその代理店は李さんの無茶ぶりに見事答え、旧式ケータイに「微信」をインストールしてしまったのだとか。ちゃんと微信での通話が可能になり、喜んだ李さんは、しょっちょう息子や娘、孫たちと通話を楽しんでいたそうです。
その李さんが唯一困ったのは、「微信」によく小さな広告が表示されることです。李さんは毎回すぐに広告を消していたそうですが、高齢のため視力も悪く、うっかりダウンロードしてしまったこともあるよう。そうしているうちに、李さんのケータイを見た息子が、「母親のケータイの微信アプリが、自分のと何か違う」「なんでこんなに迷惑アプリの広告が?」と気づいて微信に問い合わせました。
すると、「最近よくユーザーからクレームがありますが、調べてみると迷惑広告は微信が公式に送ったものではありませんでした」との回答。つまり、李さんの微信アプリは偽物だったと判明。
もしこの偽「微信」の迷惑広告が、架空請求など電子詐欺に利用されていれば一大事。記事では読者に、自分の親が偽微信をインストールしていないか確認するよう、呼びかけています。
読者の中には「キャリア代理店がそんな偽アプリをインストールするなんて、信じられない!」と驚かれる方がいるかもしれませんが、たぶん「とにかくこれで微信は使えるよ」と、「海賊版ソフト」を「よかれと思って」インストールしてあげたんじゃないかと想像します。なにもそのキャリア代理店が迷惑広告で収入を得ているわけでもないでしょうし。
それにしても、旧式ケータイにインストールする偽アプリ、便利と言おうか、商魂たくましいと言おうか……。どんなところにも、「自己責任」の抜け道のある中国らしいお話でした。