アメリカ司法省は、中国メーカーHuawei TechnologiesおよびそのCFOである孟晩舟氏を、詐欺罪にて刑事告訴しました。銀行への詐欺、共謀、マネーロンダリングなど。ニューヨークタイムズを始めとして複数の海外メディアが報じています。
司法省の起訴状によれば、Huaweiは対イラン制裁違反の不正送金について、4大銀行に対する詐欺を行ったとのこと。銀行名は明かされていませんが、カナダで行われた裁判から、4大銀行のうちの1つがHSBCであることがわかっています。
Huaweiは、イランのテヘランで運営されている通信機器販売会社SkycomがHuaweiと密接な関係にあるにも関わらず、Skycomとの関係を断ったと銀行に対して説明。このプレゼン資料がカナダでの孟晩舟氏の裁判で証拠として用いられていると伝えられています。
米国から従業員を退去させ、証拠を破棄し調査を妨害したとも起訴状は述べています。
さらに司法省の訴えによれば、Huaweiは米国の携帯電話事業者T-Mobileから機密情報を盗もうとしていたとのこと。これら訴訟は2014年にHuaweiとT-Mobileで行われた訴訟に関連しているものとみられ、スマートフォンのタッチスクリーンのテストに使用されたTappyというロボットアームの技術を盗もうとしたとのことです。
米国はカナダに対し、孟CFOの身柄引き渡しを要求していますが、中国政府はこれに反発。在カナダ邦人を拘束、事実上の交換人質化することでカナダ政府に揺さぶりをかけています。最近では駐中カナダ大使が、中国政府を擁護する失言をし、解任される一幕もありました。
こうした事件の背景には米中貿易戦争や、自国や同盟国への駐留軍がHuaweiの通信機器を通じて盗聴されたくない米国政府の懸念があります。米国と関係の強い国は続々と5GからHuawei排除の動きが見られ、最近ではVodafoneが欧州でHuawei製機器調達をやめるとの動きも報じられています。