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知られざる北朝鮮スマホ事情。平壌で歩きスマホ、最新機種は音声認識対応?

 今ではアフリカでも携帯電話の普及が進み、「世界のどこにでもスマホがある」時代になってきましたが、近くて遠いお隣の北朝鮮は如何でしょうか。報道規制が厳しいことで知られる北朝鮮ですが、北朝鮮を堂々と取材できる主要国メディアもこの世には存在します。そう、中国共産党公式メディアです。

 突っ込みどころはあるかと思いますが、北朝鮮関連報道については朝鮮労働党を持ち上げても貶しても仕方ないので、単に「あの国どうなってるの?」という日本人とあまり変わらない関心に対し、韓国メディア分析も交えて中立的(というより中国的?)な立場から伝える報道姿勢になっています。

 北朝鮮のスマホ普及状況と、最新スマホ機種についてお伝えします。

北朝鮮のスマホ普及状況

 中国共産党機関紙メディア『環球網』によると、北朝鮮の内閣機関紙『民主朝鮮』は昨年11月26日、「電話応対時の礼儀と道徳」と題した文章を掲載、電話通話時の基本礼儀常識を紹介する中でも、携帯電話使用時のマナーを強調したとのこと。韓国メディアはこの報道に注目し、携帯電話使用人数が増加し、北朝鮮住民の日常生活に巨大な変化が現れているとの専門家談話を引用したそうです。

 また、環球時報朝鮮特派員の観察によると、ここ2年くらいは、平壌の街角でスマホを使用する学生や勤め人が多くなっており、歩きスマホをする若者の姿も見えるといいます。同記者の身の回りの朝鮮民衆も、小画面から大画面スマホへと買い替えており、公共の場で声高に携帯電話通話をする人の姿も多く見えるようになっているとか。

 朝鮮人民の使用するスマホで一般的なのは朝鮮製の「平壌」ブランドスマホ。価格は200~300ドル程度。3G通信を使用しており、ニュース閲覧、ゲーム、電子辞書に使用している他、朝鮮で制作されたスマホゲームなどのアプリも出現しているとのこと。

大都市では「職業婦人」ユーザーも拡大

 韓国聯合ニュース昨年11月27日の報道によると、2018年末現在、北朝鮮のモバイル通信利用者数は約600万人、平壌等大都市の加入率は50-70%に達しているそうです。

 また、こちらは非公式情報ですが、百度の個人ニュース配信アカウント「半島行者」によると、 スマホ利用者は平壌、開城、羅先といった大都市に集中。とくに利用率が高いのは貿易業者で、中朝国境中国側の都市、丹東駅では、スマホを利用している北朝鮮のバイヤーをよく見かけるそうです。

 また、平壌の街角では、制服にハイヒールを穿いた、若い「職業婦人」のスマホユーザーの姿も。動画や音楽を視聴したり、写真を撮影したりといった利用状況のようです。SNSは存在しないみたいですね。

スマホ決済アプリも登場!?

 昨年12月17日の人民日報によれば、北朝鮮雑誌『千里馬』は昨年10月号で『商品識別コードの導入拡大』との文章を発表、北朝鮮でのQRコード決済導入について紹介し、北朝鮮も新しい購入方式を排除しないことを表明しました。

 この文章の中では、電子決済技術の幅広い使用にともない、北朝鮮も国際的な潮流に乗り、スマホ決済買い物システムを導入したとしており、韓国媒体は、これを北朝鮮でスマホが普及したことによる自然な現象と評価しているそうです。

 また人民日報は、スマホの普及は金正恩執政後の朝鮮経済民生にあらわれた新潮流の一つの側面であるとしています。朝鮮半島の政治的な情勢は楽観を許さないものの、朝鮮経済は金正恩の指導下に、新たな動向が現れていると指摘。

 これはスマホの話ではありませんが、北朝鮮公式媒体「今日朝鮮」では金日成総合大学の龍南山法律事務所を、国内外の民事訴訟と国際商業仲裁の代理サービスを提供するものと、大々的に宣伝。今後外資を呼び込みたいとの注目すべき「信号」であると言います。

 生活スタイルや技術面で、「世界的な潮流」に寄せようとする金正恩の姿勢が伺えますね。

音声認識にも対応!北朝鮮最新スマホ「チンタルレ7」

 スマホも「今風」になっていっているようです。2月5日人民日報海外版によると、「今日朝鮮」は同日、スマートフォン新機種「チンタルレ7(진달래7)」を公開しました。音声、顔面、指紋認証技術のほか、音声入力機能も対応しているとのこと。

 報道によれば、「チンタルレ7」は万景台情報技術会社が開発、生産しており、開発チームは金日成総合大学、金策工業総合大学等、一流大学の博士と修士数十名人で編成。モバイル通信端末と通信設備、OS、生体認証、ゲームの開発をしているそうです。

 広告は案外ポップというか、これがSamsungだと言われたらさすがに「そのわりにダサいな」と思いますが、「韓国の中小ブランド」と言われるとうっかり信じてしまうかもしれません。

 また、人民日報的注目ポイントとしては、この北朝鮮スマホはアドレス帳やメモ帳の音声文字入力に対応しているとのこと。

 と、いうのが人民日報の報道ですが、もちろん国連による経済制裁中なので、本来通信機器や部品の対北朝鮮輸出はできないはず。スマホチップなんか北朝鮮につくれるのか?という素朴な疑問があります。他の中国ニュースサイトでは「深圳のどの工場が作ったんだろうか?」との声を紹介していました。

総評

 以上、スマホの普及が進み、自国ブランドのスマホもリリースされている北朝鮮スマホ情報でした。以前紹介した北朝鮮スマホレビューが面白かったので、今回も出ていないか探したのですが、よくよく考えれば2月の発売から現在まで、新型肺炎の影響で中朝は往来が停止されているので、あるはずがありませんでした。

 また見つかればご紹介します。

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