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Xiaomi 11T Pro 長期レビュー。バッテリー関連の不満点はあれど総合的には満足

 8か月ほど愛機として活躍しているXiaomi 11T Proの長期レビューです。

 すでに後継のXiaomi 12T Proが販売されているうえ、すまほん!!でも他ライターが1年前にXiaomi 11T Proをレビューしていますが、12T Proとは価格帯が2倍近く違い、現在も公式サイト等諸販路で販売しているため需要はまだあると判断し、別の長期利用ならではの視点からレビューします。

概要

 Xiaomi 11T ProはSnapdragon 888や1億画素カメラ、120HzフルHD+有機ELなどを採用しながら、定価6万円台、セール時は5万円強ほどの価格で入手できるコスパの高いスマートフォンです。

 しかし、Xiaomiの社風が端末やMIUIのクセに影響しているのか「これができないの?」が結構ある癖の強い機種でもあります。

 使っている中で感じた不便な点と、逆に感嘆した独自機能などを記します。

Android Autoがまともに使えない

 自動車と接続することでGoogle MapやSpotifyなどを利用できるAndroid Auto。最近の自動車はナビやフルセグ視聴機能をオプションとし、地図を使う際には先述のAndroid AutoやApple Carplayで接続する「ディスプレイオーディオ」を標準搭載するものが特にトヨタ車で増えていますが、Xiaomi 11T Proではその接続がうまくいきませんでした。

トヨタ ヤリスG/Zに標準搭載の8インチディスプレイオーディオ

 まず、日本ではAndroid AutoはUSBを介した接続のみに限定され、海外で提供されるワイヤレス接続には非対応。これは最近まで屋外での5GHz帯利用が禁止されていたため。しかし総務省は、今年9月に自動車内での5.2GHz帯の利用を解禁しており、将来的には利用できるようになりそうです。

出典:総務省

 そのため、現状ではUSB接続が必須なわけですが、Xiaomi 11T Proでは頻繁に接続および充電が途切れ、まともに利用できません。同様の声は価格.com上などにも見受けられます。

 一部では安価で急速充電ができないケーブルを使えば接続できたとする声もあったので筆者も試行錯誤。手持ちのケーブルを何種類かためしたもののうまくいかず、電圧チェッカーを挟むことで少し安定することを発見しましたが、今度はシフトレバーにケーブルが巻き付きそうだったのでやめました。

 結局、ケーブルの選定・購入がめんどくさかったので、筆者はAmazonで「ワイヤレスAndroid Autoアダプター」なるものを購入しました。付属のUSBケーブルの耐久性が不安な点以外は満足で、もともとの画質があまり高くないので、特に遅延や転送品質の悪さを感じることはありません。

心配なバッテリーまわりの表示

 もう一点、ハードとして気になるのがバッテリー。Xiaomi 11T Proは120W充電に対応し、5000mAhという比較的大容量なバッテリーを搭載しながら、満充電まで17分という文字通り圧倒的な充電速度を誇ります。

 しかし、ネット上では早い時期から「バッテリー残量が20%付近になると急激に減り始める」といった報告が。筆者が知る限りでは、自分以外に所持している全員(n=3)がこの症状を体験しています。症状の大小も様々で、ひどいときには40%台から垂直落下。

急激な電池減少。直後の急激な跳ねは筆者が急速充電を行ったため

 一方、この状態ではバッテリー残量が100%の時間も異常に長く、単純に残量をうまく表示できていないともいえます。

通学中の電車内で使っていたにもかかわらず、見かけ上は100%に貼りついている

 個人的な経験則ですが、この症状は急速充電で100%以降も充電しているとだんだん発生する、つまりバッテリー残量表示が狂うようになる、という印象です。

  • 表示ではバッテリー残量20~40%と表記されていても、実際のバッテリーはほとんど残っていない
  • 見かけでは100%に到達していてもさらに充電が行える

 これにより、表示100%きっかりで充電を終わらせた場合、実際は100%に満たない程度しか充電されていないことになります。また、100%と表示されても実際はそこまで行っていないのですから、見かけの充電速度も向上します。

この状態の大雑把なイメージ。

 自己ベストの充電速度は1分10%で満充電。ここに120W充電ながら10分で満タンという神ジューデンのXiaomi 12T Proをいともたやすく超える超神機が爆誕してしまったことに。買って半年たたずに壊れたかと思って泣きそうになりました。

 推定ですが、この状態を避けるにはシンプルに過充電を避けるのが一番の回避策と思われます。また、すでに狂った表示をキャリブレーションするには、電源が切れて2-3時間ほどおいてから5Wで一晩充電すればよいようです。

 ただし、上記を実行したとしても問題が多少緩和される程度で、筆者の場合は相変わらず20%から急速に減ってしまいます。Xiaomi 11T Proの電池持ち自体は悪くないので、そもそもそこまで減ることはあまりなく、あまり困りません。

 なお、Xiaomi 11T無印ユーザーの友人によれば特にそういう事象は起きていないとのこと。Xiaomi 11Tはバッテリーセルを分割せず、充電速度が67W止まりであるのに対し、Xiaomi 11T Proがバッテリーセルを分割し、最大120Wの充電を可能にしています。この違いも影響している可能性はあります。

Xiaomi 11T Proのバッテリーの仕様

Xiaomi 11Tのバッテリー

 言い換えれば、Xiaomi 13 Proや日本でも投入されたXiaomi 12T Proは内部写真や分解レビューを見るに、単一セルで120W充電を実現しているようなので、同様の問題が起きにくくなっている可能性はあるかもしれません。

Xiaomi 12T Proのバッテリー仕様。セル分割に関する表記はない

 ちなみに、Xiaomi 11T Proに付属する120W充電器は、充電器側がType-Aという構造ながらUSB PDに対応し、他スマホやUSB Type-C給電に対応するノートパソコンを高速に充電可能。

 ケーブルは多少太いですが充電器は普通のサイズで、同等の製品を購入しようとすれば5000円はくだらないだろうシロモノです。これ1台あれば何とかなるほど便利なので、USB PD PPS対応の充電器として常時持ち運んでいます。ただ手持ちの一部機器で充電できないなど相性問題はあるようでしたので注意を。

タップによっては隣の口をふさぐ大きさではある

UIや独自機能のクセがつよい

 Xiaomi製品を購入するうえで一番注意してほしいのがUIや独自機能。同社のMIUIはソニーやシャープ、Motorolaといったメーカーが採用するいわゆる素のAndroidからは程遠く、UIは多少iPhoneに近い味付けです。

 デュアルアプリ・セカンドスペースなどを始めとして、素のAndroidにはない機能が豊富に揃っていて非常に面白いのですが、やはり不満点も。

 良い部分と悪い部分をピックアップしていくつか紹介します。

アプリごとの音量調整、複数オーディオソースの再生許可

 アプリごとに音量調整が可能です。設定の「サウンドとバイブレーション」から「サウンドアシスタント」で設定可能です。「ゲームしながらラジオ・音楽を聴く」、「ゲームの周回をしながら動画を見る」といった場面で効果を発揮します。

 普通、素のAndroidだと新しい音声や動画を再生すると止まっちゃいますが、本機なら複数オーディオソースの再生が可能。例えばYouTubeの配信を視聴しながらSpotifyで音楽を聴くといったことが可能になります。

アプリごとのWi-Fi/モバイルデータ通信の許可設定

 また、「家でYouTubeを見ていたらWi-Fiの掴みが悪くてキャリア通信の残量を消費してしまった……」というのは、人によっては「あるある話」かと思うのですが、アプリごとのWi-Fi/モバイルデータ通信の許可設定によって、それも未然に防ぐことができます。

 それぞれのアプリ情報のページか、純正の「セキュリティ」アプリ内、「データ使用量」から設定できます。誤訳なのか「制限する」にチェックが入っているとその手段を用いた通信ができます。下の画像ではTwitterアプリは一切の通信が行えません。

インターネットやめろ

 また、1枚目のSIMと2枚目のSIMで通信の可否も個別に変更可能。「povoで使い放題トッピング購入時はYouTubeを見られるように、メインのプランで通信時は使用できないようにする」といった使い方もできます。

 かなり不真面目な使い方を挙げるなら「都度広告が再生されるタイプのオフラインゲームを広告なしでプレイする」ことも。良いゲームなら広告を見るか課金しましょう。

優秀なフローティングウィンドウ

 フローティングウィンドウ自体は他メーカーのスマホでもありますが、MIUIの同機能は優秀に感じます。Xiaomi 11T Proでは単一アプリのフローティングウィンドウをサポートしますが、とくに筆者が便利に感じるのはフローティングウィンドウの最小化。

 まず、フローティングウィンドウの上部には場所を移動させるためのバーがあるのですが、これを画面の四隅へ持っていくとウィンドウの表示サイズが非常に小さくなり、操作を受け付けなくなります。しかしこの状態でもアプリはアクティブであり、使わないときでもいちいち開きなおす必要がないほか、Twitterしながらゲームの更新データをダウンロードすることも可能です。

iOSを「インスパイア」した通知センター

 XiaomiはAppleを非常に強く意識しています。スマホの新製品発表会では必ずと言っていいほどiPhoneを比較に出し、スペックが勝てなければよくわからないポイントで優位に立っていることをアピールし、さらには製品そのもののデザインや紹介ページを寄せます。

 もはや片思いですが、最近はUIも寄せてきています。ホームボタンがないiPhoneは本体上部左側から下へスワイプすれば通知センター、右側から下へスワイプすればコントロールセンターが開きますが、XiaomiはAndroidを魔改造してそれを実現。

 これは設定で素のAndroidライクにも変更できます。ここで選択肢を用意して、自分に合ったスタイルを利用できるのは高評価。

 なお、Xiaomi 12T ProやAndroid 12版MIUI 13にアップデートしたXiaomi Pad 5では音量と画面の明るさすらiOSに寄せ、縦向きに変更しています。

画像はXiaomi Pad 5。

 さらに一般的なAndroidスマートフォンでは電源ボタン長押しでスマートホームメニューが開きますが、MIUIではクイック通知の下に。この場所にあるのは非常に便利。便利なのですが……筆者が所有するXiaomi 11T Pro/Xiaomi Pad 5ともに、各家電ボタンの配置・編集した内容が再起動後に保持されないというとんでもないポンコツ。アップデートでの改善に期待しています。

便利なスクリーンショット

 3本指のスワイプダウンと3本指のホールドがスクリーンショットに割り当てられており、スワイプダウンで画面全体を、ホールドで一発で範囲を選択できスクリーンショットは便利で撮りやすいと感じます。

ふさがれた便利機能も

 逆に「どうしてそれができなくなった?」と思わざるを得ない、むしろ削除された機能もあります。

 筆者が不満に感じるのは「アプリの固定」と「サードパーティーランチャーでのジェスチャーナビゲーション使用」で、いずれも一般的なAndroidスマートフォンでは利用できますが、MIUIでは使えず。純正ランチャーに至ってはやはりカスタマイズ性も低いので、ここはかなり不満。

 また、一般的なAndroidスマートフォンであれば「特定のBluetoothデバイスがつながっている間はパスワードの入力が不要」といったことができますが、MIUIでは一部のXiaomi製ウェアラブル端末に限定されます。

 さらに、位置情報を利用し「自宅にいたら認証不要」とか、「ロック解除してから持ち運びを検知している間は認証不要」といった項目も削除されています。確かにこれらの認証方法はセキュリティ的に不安はありますが、選択肢が少ないのは不満です。

 なお、アプリ開発者(特にユーティリティ系)の間ではMIUIはたいそう嫌われているようで、一部うまく動かないアプリもあるかもしれない、というのも注意が必要です。

分割されたapkをまとめてインストールするSAIというアプリの起動画面。開発者の苦労が窺える

セカンドスペースが不安定

 このほか、不満点とそこまでに苦には感じない不具合も。

 再起動後、パターンにてロックを解除しようとすると、高い確率で「セカンドスペースの認証に複数回失敗しました。このデバイスはロックされました」と表示され、30秒間アクセスできなくなる不具合があります。

 セカンドスペースは、Androidに元から備わっている「マルチユーザー」機能のようなXiaomiの独自機能ですが、複数人で共有して使うことのないスマートフォンにおいてはもはや浮気隠滅用と呼べるモノで、アプリやGoogleアカウントを独立させることで、まるで「1台のスマホに2つの領域がある」ような状態を作り上げ、徹底的に第三者から存在を察知されないような仕組みが施されています。

 筆者は、「一度は機能を触ってみたい」というオタクの本能によりセカンドスペースを1度有効にし、その後一切使わずに放置していたのですが、ある時から本体を再起動後に上述の文面が表示されるようになりました。

 ファーストスペースとセカンドスペースのパターンはかすりもしないように設定していますが、それでもやはりかなりの確率で発生します。

 この後さらに試してみると、どうやらセカンドスペース自体が壊れているようで、通常時にセカンドスペースへログインしようと正しいパターンを入力すると、こちらも1度しか入力していないのに同様の表示が。

 セカンドスペースを削除すると発生しなくなりましたが、結局原因は分からずじまい。筆者はセカンドスペースを全く使っていなかったため特に何事にもなりませんでしたが、仮にムフフなデータのコレクションを溜め込んでいる方が同様の事例に遭遇すれば、間違いなく激昂すると思います。

利便性向上関連のショートカットの設定項目が少ない

 Xiaomi 11T Proは電源ボタンなどを押すことによるショートカット機能が多く用意されていますが、それらでは「特定のアプリを起動」といったことが一切できません。

 これでPayPayの起動などに割り当てられれば利便性爆増なだけに、せいぜい「この動作をしたときにライトつける?それともカメラ起動する?」といった二択程度なのは非常に残念です。それでも、電源ボタン2度押しによるライトの点灯は、夜ふと目が覚めたときなどに一瞬で点灯できるため、メチャクチャ便利です。

権限付与等に10秒間待たされる

 重要な設定を決定するのに10秒間待たされるという点が正直、これが最もイライラするポイントです。重要な設定というのはアプリがapkアプリをインストールさせる許可だとか、通知の読みとりなど。

 これらを設定しようとする際、かならず下のポップアップが出現し、10秒待たされます。回避策はありません。毎度「サイドロードの危険性は分かるんや、ただアンタのはお節介すぎやっちゅうねん!」と心の中のエセ関西人が叫んでいます。

総評

 ここまでかなりXiaomi 11T Proの不満点をごっそり載せていましたが、筆者は今日までなんだかんだ愛用しています。

 筆者が所有しているのはムーンライトホワイト。11Tシリーズの背面素材はすべて樹脂製で、特にグレーは質感が良くないのですが、ホワイトはほんのり光を透過・吸収するようになっており、深みを感じる表現に仕上がっています。

 バッテリー周りの仕様はたしかに少し不便ですが、それでも120W充電はあまりにも魅力的で、ほかのすべてのデバイスの充電速度の遅さに苛立ちを感じるほどに魅入られています。それ以外にも、この価格帯でおサイフケータイ対応かつまだ戦える高性能SoCを搭載しているというだけでも十分な優位性があります。

 Xiaomi 11T Proは3回のOSアップデート保証と4年のセキュリティアップデート配信を公約しており、国内版にも履行されるとすれば、型落ちとなった現在でも十分に使えるスマホです。

 「神ジューデン」関連の宣伝を打つXiaomi 12T Proはバッテリーの無償交換を確約するほか、より高品位なカメラを搭載するなど魅力的ではありますが、その価格を理由に断念した方はXiaomi 11T Proも検討候補と言えます。

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