QualcommはSnapdragon 8 Gen 3などを発表する見込みのイベント「Snapdragon Summit」を間近に控えていますが、ArmではなくオープンソースなRISC-Vアーキテクチャを用いたスマートウォッチ向けプロセッサの開発を、Googleと共同で行っていると発表しました。いろいろと不安定なArmから離脱する動きが、また一歩進んだ形です。
RISC-Vはカリフォルニア大学から始まったオープンソースプロジェクトで、米国の輸出法の対象にはなりません。そのため、開発のメンバーにはIntelやGoogle、Qualcommといった米企業だけでなく、ZTEやテンセントといった中国企業も名を連ねており、政治的圧力を受けづらい仕組みになっています。
GoogleはRISC-Vのサポートに積極的で、Androidでも今後数年かけてRISC-VをArmと同等のプラットフォームに育てる意向を示しています。
反面、SoftBankの傘下にあるArmは、一時NVIDIAに売却されようとしていたほか、Qualcommとその子会社のNuviaに対して訴訟を起こすなどし、不安定な印象を受けます。また、米国の輸出法の影響を受ける立場上、Huaweiの輸出制裁の対象になったこともあり、政治的にも戦略的にも、あまり頼りたくない企業になってしまっています。
RISC-Vアーキテクチャ採用のチップの名前や販売時期については不明。通信モデムにもSnapdragonと名付けるQualcommのことですし、異なるアーキテクチャだろうが構わず「Snapdragon」の名前を冠したモデルになりそうですね。