最近のスマートフォンがたいていアピールしている防水性。もちろんiPhoneもその防水性能を盛んにアピールしており、広告にもその性能を織り込んでいます。しかし、Apple Careなどの保証では水没は補償対象外。これに関して、カナダの弁護士などによって集団訴訟が提起されたようです。Phone Arenaが伝えています。
Appleは、他の多くのスマホメーカーと同様に、自社の携帯電話は一定時間、一定の深さの真水に沈めても、問題なく動作する状態を維持できると述べています。Appleは、iPhone SE(第3世代)を除くすべての現行iPhoneで、最大30分間、最大6メートルの深さの真水に沈めても大丈夫だとしています。
一方、ユーザーが実際にそのような使い方をし、水没によってデバイスが損傷した場合、修理費用はAppleの保証対象外となります。
ケベック州の弁護士が、iPhoneが水没に対応できると宣伝していながら水没したiPhoneの修理費用を保証の対象外としていることを理由として、Appleを訴えました。
同氏は、19歳の学生が購入してから8か月のiPhone 15 Proをプール付近の水に濡らした際、すぐに壊れて動かなくなってしまったことが発端だとしています。その後すぐにApple StoreのGenius Barに持ち込んだところ、水没したデバイスは修理できないと言われたようです。
プールに落ちても大丈夫と宣伝していながら、なぜ水没による故障は補償の対象外になるのか?という点が、今回の争点となります。
LPC Avocats法律事務所で活動するズクラン弁護士は、Appleに対し、保証の中で水没による損傷を保証対象外としている部分を無効にするよう求めています。また、水没によって損傷したiPhoneの修理費用や新しいiPhoneの購入費用をAppleが支払い、集団訴訟のメンバーには追加で5万5000円ずつを支払うよう求めています。
同弁護士は、かつて2018年にもiPhoneのバッテリーに関する保証問題でAppleを相手に訴訟を起こし、勝利しています。
こういった裁判はこれまでも起きており、2022年にはAppleがiPhoneの耐水性について欺瞞的な表示をしたとして米国で起訴されたものの、原告側がiPhoneが液体接触によって故障したという証拠を提示できなかったため棄却。
一方2020年には、イタリアにおいて「iPhoneはの耐水性は理想的な環境で有効なものであるにも関わらず、それを言及せずに耐水性をアピールしていた」という問題にて1200万ドルの罰金の支払いが命じられたことも。
パーツの劣化・ユーザーがデバイスを落下させたことなどによる変形などにより、スマホの防水性の担保は難しいところではありますが、広告で耐水をアピールしながらユーザーが責任を負うのはおかしな話。今回の判決によっては、業界に大きな影響を与える可能性もありそうです。