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モデル屋から「業務改造屋」へ。OpenAIがSIerの仕事を獲りに来る

 OpenAIが、企業向けAI導入支援を自社主導で抱え込みに来ました。OpenAIは2026年5月11日、企業のAIシステム構築・本番導入を支援する新会社「OpenAI Deployment Company」の設立を発表しました。OpenAI自身が公式サイトで伝えています。

 初期投資額は40億ドル超。OpenAIが過半数を所有・支配する形で運営し、19社の投資会社・コンサル・システムインテグレーターが出資をコミットしたパートナーシップとして発足します。

 パートナーシップは投資会社TPGが主導し、Advent International、Bain Capital、Brookfieldが共同リード創業パートナーとして名を連ねます。創業パートナーにはGoldman Sachs、Warburg Pincus、BBVA、Emergence Capital、B Capital、Goanna、WCASなどに加え、日本ソフトバンクもしっかり入っています。

 目玉のひとつが、応用AIコンサルティング・エンジニアリング企業Tomoroの買収合意です。Tomoroは2023年にOpenAIとの協力関係の中で設立された英国発祥の企業で、ロンドンやエディンバラに拠点を持ちます。OpenAIはTesco、Virgin Atlantic、Supercellでのミッションクリティカルな業務を挙げています。約150人のForward Deployed Engineer(FDE)とDeployment Specialistが、買収完了後に新会社へ加わる予定です。買収は通常のクロージング条件と規制当局の承認待ちで、数か月以内の完了を見込むとしています。

 FDE(Forward Deployed Engineer)というのは、要するに「顧客企業の現場や組織の中に入り込み、AIを業務に組み込みに行くエンジニア」のことです。経営層・現場・オペレーション担当者と直接組み、どのワークフローからAIを活用するかを診断し、データやツール、業務プロセスにOpenAIのモデルを接続して本番システムまで仕上げる役回りです。つまり、Palantirが長年やってきたあのスタイルを、OpenAIが自社モデル前提で取り込みに来た、と思ってもらえれば近いです。

 OpenAIは既に100万社以上が自社の製品やAPIを採用していると説明したうえで、次のエンタープライズAIの段階は「モデルがどれだけ賢いか」より「現実のユースケースにどれだけ効果的に落とし込めるか」で決まる、というスタンスを示しています。実際、Anthropicも企業向けで存在感を強めており、Claudeを企業の中核業務に組み込むAIサービス会社の設立も発表しています。OpenAIとしては、ここで導入支援の商流ごと自社主導で押さえに来た、ということなんでしょう。

 これまでSIerやコンサルが担ってきた、要件定義、業務整理、システム設計、導入、運用定着までの領域に、モデル提供元が直接乗り込んでくるわけですから、既存のIT導入ビジネスにとってはきつい話です。モデルを持つ側が、現場実装まで取りに来る。エンタープライズAIの主戦場は、もうAPI利用料だけではなく、企業の業務プロセスそのものになりつつあります。

SoftBank のこれまで

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