
幹部の本音、ダダ漏れ。
OpenAIの幹部が社内メモでAnthropicを厳しく批判していたことが明らかになりました。The Vergeが伝えています。
OpenAIのCRO(最高収益責任者)であるDenise Dresserが社内向けに送った4ページの戦略メモをThe Vergeが確認しました。中身はかなり踏み込んだもので、Anthropicについて「恐怖と制限、そして少数のエリートがAIを支配するべきだという考えの上に成り立っている」と批判しています。コーディング分野での先行は認めつつも、プラットフォーム戦争では単一製品の企業であるべきではないとけん制しています。
さらにDresserはAnthropicの収益についても切り込んでいます。メモによると、AnthropicがAmazonやGoogleとのレベニューシェアを総額計上しているため、ランレートが実態より大きく見えており、約80億ドル分過大に見えるとOpenAIは主張しています。一方、OpenAI側はMicrosoftとのレベニューシェアを純額ベースで計上しているとも説明しています。また、Anthropicが十分な計算資源を確保できなかったことが、スロットリングや可用性の弱さ、信頼性の低下として表れているとも主張しています。なお、これらはあくまでOpenAI側の主張であり、確認されていません。
ランレートとは、より短い期間の売上を年換算した見込み値のことです。たとえば1四半期で30億ドルを売り上げた場合、単純年換算ではランレート120億ドルとなります。つまり「今のペースが続けば年間これくらい」という数字ですが、前提や計上方法によって見え方は大きく変わります。
一方でメモはOpenAI自身の戦略転換についても率直に語っています。注目はMicrosoftとの関係です。Dresserは、Microsoftとの提携が成功の土台だった一方で、企業顧客が実際に使っている環境に十分応えにくい面もあったと述べ、Amazonとの提携を強調しました。2月末の提携発表以来の需要は「率直に言って驚異的」としており、AWS Bedrock経由での展開拡大に加え、OpenAIとAWSが共同開発する「Stateful Runtime Environment」も活用する方針です。その狙いは、AWSネイティブな顧客や規制産業の需要を取り込むことにあります。
そして気になるのが「Spud」というコードネームのモデルです。推論能力の強化、意図や依存関係の理解向上、より信頼性の高い出力が特徴とされ、OpenAIの主要製品を「大幅に改善する」としています。
Dresserが掲げたQ2の優先事項は5つです。仕事向けモデル層で勝つこと、エージェント基盤「Frontier」を企業向けエージェントの中核基盤にすること、Amazon経由で市場を広げること、AIネイティブなフルスタックを売ること、そして「DeployCo」と呼ぶデプロイ基盤を構築することです。Dresserは「製品ベンダーから運用インフラへ移る」と記しており、乗り換えコストを高めてOpenAIを置き換えにくくする狙いを示しています。
なお、OpenAIのSam Altmanも今年2月、「Anthropic serves an expensive product to rich people」と述べています。OpenAIがより広く使えるAI、Anthropicがより限定的な立場という対立軸を意識していることがうかがえます。OpenAIとAnthropicにはともに2026年のIPO観測があり、競争が投資家向けのメッセージ合戦としても見られているのは確かです。
AI業界の覇権争いは、技術だけでなく企業向け販売戦略やAI観の違いも絡む局面に入っています。ただし、今回報じられたAnthropic批判のうち、収益認識や計算資源をめぐる部分は、現時点ではOpenAI側の主張として読むのが妥当です。



















