
「完全な嘘」——AI大手同士が軍事契約で激突
AnthropicのCEO Dario Amodei氏が、OpenAIと米国防総省の軍事契約をめぐるOpenAI側の説明を「完全な嘘(straight up lies)」と痛烈に批判していたことが分かりました。TechCrunchが伝えています。
発端はAnthropicが米政府と結んでいた最大2億ドル規模の契約です。国防総省側が「無制限アクセス」「あらゆる合法的利用」といった条項を要求したのに対し、Anthropicは「大規模な国内監視への不使用」と「完全自律型兵器システムへの不組み込み」を例外として明文化するよう求めましたが、折り合えませんでした。Amodei氏は大規模監視について「民主主義の価値と相容れない」と明言し、自律型兵器についても「現時点のAIには十分な信頼性がない」と指摘しています。
これを受けてトランプ大統領はAnthropicを「過激な左翼AI企業」と名指しし、連邦政府全体で同社技術を6か月以内に廃止するよう指示。Hegseth国防長官もAnthropicを「サプライチェーンリスク」に指定するとXで表明しました。これはいわばブラックリスト入りで、政府機関だけでなく政府と取引する民間企業にも影響が波及しうる重大な措置です。ただしAnthropic側は長官にその法的権限はないと反論しており、正式化されれば提訴すると構えています。
その後、OpenAIのAltman氏が国防総省との契約を発表。「国内大規模監視の禁止」「自律型兵器へのAI指揮の禁止」「ハイステークスな自動判断への利用禁止」という3つのレッドラインを盛り込んだと説明し、契約文言の一部も公開しました。これに対しAmodei氏は社内メモでOpenAIの対応を「safety theater(安全性の芝居)」と断じ、「OpenAIは社員をなだめることを優先し、我々は実際の悪用防止を優先した」と記したとのこと。「合法的目的」条項の解釈の曖昧さや、自律型兵器をめぐる条件付きの文言について、外部からも実効性を疑問視する声が上がっています。
消費者の反応も顕著でした。OpenAIの国防総省契約報道後、米国のChatGPTアプリのアンインストールが2月28日に前日比295%急増。Claudeは週末に米Apple App Storeで1位に浮上し、無料アクティブユーザーは年初から60%以上増、1日あたりの新規登録数は4倍に膨らんだといいます。
Anthropicの年間売上は約140億ドル規模とされ、最大2億ドルの国防総省契約はその一部に過ぎません。それでも同社は「脅迫や懲罰で立場は変わらない」と強調しており、AI業界のトップ同士がここまで直接的にぶつかるのは異例の展開です。この対立を受け、AIの軍事利用をめぐる議論は今後さらに過熱していきそうです。




















