
名前すら白紙に。
iPhoneを生んだ伝説のデザイナーと、ChatGPTを擁するAIの巨人。この「最強タッグ」が挑むスマートフォンの次を担うデバイスが、基本動作の定義すらままならない状況に陥っています。9to5MacやMacRumorsが伝えています。
OpenAIは2025年5月、元Appleデザイン責任者ジョニー・アイブが設立したスタートアップ「io」を65億ドル(約9750億円)で買収しました。画面を持たないポケットサイズのAIデバイスを開発し、2026年後半の出荷を目指していました。
しかし裁判所への提出書類から、出荷時期が2027年2月末以降にずれ込むことが判明。パッケージやマーケティング素材すら作成されていないといいます。Sam Altman CEOも「すぐに何かを期待しないでほしい」と認めています。
開発を阻む壁は3つ。1つ目は「パーソナリティ」の設計です。常時リスニング型のデバイスが、いつ話しかけ、いつ黙るべきか。この一見単純な問題に答えが出ていません。
2つ目はプライバシー。周囲の音や映像を常に取り込む仕組みと、ユーザーのデータ保護をどう両立させるのか。
3つ目は計算リソースで、Altman自身が「ChatGPTですら十分なコンピューティングを確保するのに苦労している」と漏らすほどです。
ブランド名にも逆風が吹きました。補聴器スタートアップ「iyO」が商標侵害で提訴し、OpenAIは「io」の名称を全面的に放棄。デバイスの名前すら白紙に戻っています。
Altmanは試作機を触り「世界がこれまで見た中で最もクールなテクノロジーだ」と社内で語ったとされます。ただ、AIハードウェアの先行者であるHumane AI PinやRabbit R1がいずれも市場で苦戦した現実もあります。最高の頭脳と最高のデザインを揃えても、「スマホの次」の正解はまだ誰にも見えていません。




















