
AppleとGoogleが、RCS(Rich Communication Services)メッセージのエンドツーエンド暗号化(E2EE)をベータ版でテストし始めました。9to5Macなどが伝えています。iPhoneとAndroid間のやり取りにも暗号化が加わることになれば、異なるOS間でのメッセージの安全性が大きく向上しそうです。
Appleは2024年9月のiOS 18でRCSに初めて対応し、入力中の通知や開封確認、高解像度メディアの送受信を可能にしました。ただし、メッセージ本文のエンドツーエンド暗号化には未対応のままでした。
2025年3月には業界団体のGSMAがRCS Universal Profile 3.0を公開し、MLS(Messaging Layer Security)プロトコルに基づくE2EEの仕様を盛り込みました。
MLS(Messaging Layer Security)は、グループチャットの暗号化を効率よくさばくための新しい通信規格です。従来の暗号化方式はメンバーが増えるほど鍵のやり取りが重くなりがちでしたが、MLSは「木構造」というデータの整理方法を使い、大人数でも暗号鍵をスムーズに管理できます。IETFが策定した比較的新しい仕組みで、今回のRCS暗号化の土台にもなっています。
Appleは2026年2月、iOS 26.4の開発者向けベータ版で暗号化RCSのテストを始めました。最初のベータではiPhone同士でのみテストできましたが、2月23日配信のiOS 26.4 beta 2からは、iPhoneとAndroid間の暗号化テストも段階的に有効になっているようです。暗号化が有効な会話では、画面中央に「Text Message・RCS」と鍵のアイコン、「Encrypted」といった表示が出るとのことです。
Android側では、Google Messagesのベータ版がこのテストに対応しています。Google Messagesはこれまで、同アプリのユーザー同士のRCSにはSignalプロトコルベースのE2EEを使ってきましたが、今回のようなOS間の相互運用E2EEに向けて、GSMA仕様のMLSベース暗号化も取り入れていく方針のようです。テストに参加するにはGoogle Messagesのベータ版が必要だそうです。
MLSの暗号スイートは拡張性があり、IETFではポスト量子暗号(PQC)を取り込むための暗号スイートもドラフトとして検討が進んでいます。ただし、今回のRCS暗号化テストでPQCをすぐ使うという話ではなさそうです。なお、iOS 26.4の正式版にこの暗号化機能は入らず、Appleは将来のiOS 26アップデートで一般ユーザーにも届ける予定だとしています。RCSはキャリアの対応が前提となるため、利用できる範囲は段階的に広がっていく見通しです。
暗号化RCSに対応しても、iPhoneのメッセージアプリ上でiMessage(青い吹き出し)とRCS(緑の吹き出し)の見た目の区別は変わりません。iMessageは引き続きE2EEに対応しており、Appleはポスト量子対応としてPQ3も導入済みです。RCSメッセージ側には今回のMLSベースの暗号化が加わる形で、長年の課題だったiPhoneとAndroid間のメッセージの安全性の格差が、ようやく解消に向けて動き出したとも言えそうです。




















