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ダム7基分「50GW」。OpenAIが核融合で自前の電力確保へ

 50GW、ダム7基分の電力を核融合で。

 AIが電気を食い尽くす時代に、自前の「太陽」を持とうとする企業が現れました。サム・アルトマンが個人として約3億7500万ドルを投じた核融合スタートアップHelion Energyが、OpenAI向けに電力を供給する交渉に入っていると、Axiosが報じています。

 OpenAIが2030年までに5GW相当、2035年までに50GW相当の電力を受け取る枠組みが協議されており、当初の保証分はHelionの生産量の12.5%とされています。50GWといえば、米国最大の水力発電所グランドクーリーダムの設備容量6.809GWを大きく上回る規模です。途方もないスケールですが、生成AIの電力需要もまた途方もない勢いで膨張しています。

 Helion Energyは磁場でプラズマをつくって圧縮し、蒸気タービンを介さず電力を直接取り出す方式を採用しています。商用運転で想定する燃料は重水素とヘリウム3で、Helionは高レベルの放射性廃棄物を出さない方式だと説明しています。一方で、トリチウムや低レベルの放射化材料は生じます。2026年2月にはPolarisで重水素・三重水素を使った試験によりプラズマ温度1億5000万度を達成し、2021年の記録1億度を更新したと発表しました。累計調達額は10億ドルを超え、2025年1月のシリーズFでは評価額54億2500万ドルで4億2500万ドルを調達しています。

 Helion Energyはすでに商業契約を結んでいます。2023年にMicrosoftと世界初の商業核融合電力購入契約を締結し、少なくとも50MWを2028年から供給する計画です。Nucorとは、米国内の製鉄拠点向けに500MWの核融合発電所を共同開発することで合意し、2030年の稼働開始を目標にしています。1基あたり約50MWの炉を量産する計画で、OpenAI向けの規模はこれらを大きく上回ります。

 問題は利益相反です。アルトマンはOpenAIのCEOであると同時にHelion Energyの最大の個人投資家で、2015年から取締役会長を務めてきました。今回の交渉にあたり、アルトマンは取締役会長を退き、取締役会からも離れ、交渉からも身を引いています。サイトの選定すら未定という初期段階ではありますが、形式上の線引きは済ませた格好です。

 核融合で電力を賄おうとしているのはOpenAIだけではありません。Googleが出資するCommonwealth Fusion Systemsも、Googleと200MWの電力購入契約を結んでいます。AIの覇権争いは、もはやGPUの奪い合いから発電所の奪い合いへと地殻変動を起こしています。

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