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国防総省の排除方針は?NSAがAnthropicの制限モデル「Claude Mythos」を秘密裏に利用

NSAがAnthropicのMythosを使用、国防総省との確執の中で

 え、マジか。AI安全性の旗手を自認するAnthropicのAIモデルを、アメリカの防諜機関が使っている。しかも、当のAnthropicを「サプライチェーンリスク」と名指しした国防総省の膝元で。Axiosが伝えています。

 米国家安全保障局(NSA)が、Anthropicの強力な制限公開モデルClaude Mythos Previewを利用していることが明らかになりました。Claude Mythos Previewは2026年4月7日にAnthropicが発表した、サイバーセキュリティ能力が非常に高い汎用フロンティアモデルです。攻撃的なサイバー能力があまりに強力だとして、アクセスは一部の企業・組織に限定されています。Anthropicは12のローンチパートナーを公表し、さらに重要ソフトウェア基盤を担う40超の追加組織にもアクセスを広げていますが、NSAは非公表のリストに含まれていたといいます。

 具体的な用途は明かされていません。Axiosによると、アクセスを許可された他の組織は主に「自社環境の脆弱性スキャン」にMythosを活用しているとのことですが、NSAでの利用目的は不明です。なお、イギリスのAI Security Instituteも同モデルへのアクセスを確認済みだとされています。

 この話がややこしいのは、NSAを管轄する国防総省(ペンタゴン)自身がAnthropicと真っ向から対立している点です。事の発端は、Claudeの軍事・情報用途をめぐる交渉でした。Anthropicのダリオ・アモデイCEOは、完全自律型兵器の開発や国内大規模監視にClaudeを使わせることを拒否。国防総省は「すべての合法的目的」に利用可能にするよう求めましたが、Anthropicは譲りませんでした。

 そこで国防総省は2026年3月、Anthropicを「サプライチェーンリスク」に指定しました。これにより、国防総省の契約に直接関わる用途ではAnthropic技術の利用が制限され、同社は新規のペンタゴン契約から排除され得る立場になりました。ただし、この指定がすべての防衛関連企業の商用利用や、国防総省と無関係の利用まで一律に禁じるわけではないとAnthropic側は説明しています。

 Anthropicはこの指定を不服として提訴しました。3月26日にはカリフォルニア連邦地裁が、政府の措置についてAnthropic側の仮差し止めを認めています。一方で、4月8日にはD.C.連邦控訴裁が、別の法的枠組みに基づくサプライチェーンリスク指定の一時停止を求めたAnthropicの請求を退けました。つまり、同社は一部で司法判断を得つつも、ペンタゴン契約をめぐる法廷闘争はなお続いています。

 ところが、国防総省以外の政府機関はAnthropicの技術をむしろ欲しがっている。政権内部の関係者はAxiosに対し、「情報機関はAnthropicを使っている」「国防総省を除くすべての機関が使いたがっている」という趣旨の発言をしています。なんとも皮肉な構図ですよね。

 そんな中、4月17日にはアモデイCEOがホワイトハウスのスージー・ワイルズ首席補佐官と会談し、スコット・ベッセント財務長官も同席しました。政府機関でのMythos活用やAnthropicセキュリティ体制について話し合い、双方が「生産的だった」と評価しています。トランプ政権との関係は、少なくとも国防総省以外の領域では雪解けの兆しを見せています。

 AI安全性を掲げて軍事利用に線を引いた結果、国防総省からはブラックリスト扱いされ、でもそのすぐ隣のスパイ機関には頼られている。Anthropicが引いた「一線」がどこまで持つのか、これからが本番です。

Anthropic のこれまで

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