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【鳩の電子便】iPhone5(とPC)を使って携帯の画質を突破した写真を作る方法

 撮る、ではなくて作るというところがポイントです。

 方法としては撮るのはiPhone5、作るのはPCなのですがまあ小難しいことは後に回しまして、原寸大写真の一部切り取ったものを見てもらいましょう。

 まずこちらが普通に撮った写真。ねんどろいど両儀式さんの左目アップです。低照度な室内らしくノイズたっぷりでいかにも携帯で撮った画質という感じです。

AVG_Stack_bf1

 

 そしてこちらがアフター。

AVG_Stack_af1

 一目瞭然ですよね。「ノイズが一切見られない」写真になったかと思います。

  種明かしをしますと…

photos

  お分かり頂けたでしょうか。つまり、これらの写真の輝度平均を取ったのが先ほどの絵になるわけです。ノイズというのは基本的にランダムに発生するものですから、ならたくさん撮って平均値出せばノイズなんてぶっ飛ぶよね!ということです。

 この方法を可能にするにはまずこの連続写真を撮る連写アプリが必要になるわけですが、今回使ったのはSnappyCamというアプリ。

 このアプリ、どんな原理なのかよく分かりませんがiPhone5のフル画素である800万画素で秒速20枚撮れるという素晴らしい仕様をしています。無限連写もサポートしていますが、バッファの関係で無限連写では20fpsというわけにはいかないようです。今回は20fpsでバッファが埋まるまで連写し、43枚の連続写真を約2秒間で撮影しました。

 撮った連続写真をiTunesを使ってPCに移しましたら今度は作る段階へ移行します。使うのはImageJというフリーの画像解析ソフトです。

ImageJ – Image Processing and Analysis in Java

 このソフトは元々NIH(アメリカ国立衛生研究所)が科学用途に開発したもので、今回のような理論的な画像処理をする場合にはフォトショップよりも機能面で優れています。また、Windows, Mac, Linuxに対応しておりますので対応OSで困ることはまずないかと思います。

 64bit版と32bit版がありますが、今回は64bit版を使用します。というか初め32bit版でやったら画像処理の過程でout of memory吐かれて落ちました。

 今回このソフトで行う画像処理は「写真を重ね合わせて平均を取る」ということなので、その方法について説明していきます。

  1. まずImageJ(64bit版)を起動します。
  2. 連続写真をすべて選択し、まとめてImageJの中に放り込みます。
  3. 全て読み込み終わるのに少々時間がかかると思うので気長に待ちましょう。
  4. 読込が終わったら、メニューから「Image> Stacks> Images to Stack」を選択します。ダイアログが出てくるのでOKを押します。
  5. すると画像群が1枚のスタック画像になりますので、ここでメニューから「Image> Stacks> Z project…」を選択します。ダイアログが出てきますので、Projection typeが「Average Intensity」になっているのを確認して(違ったらそれを選択して)OKを押します。
  6. するとAVG_Stackという画像が新たに作られます。これで完成ですので、メニュー「File」のSave asからJpegを選んで保存して下さい。

  ちなみに過程5でAverageではなくMedianを選ぶと輝度の中央値で画像が作成されます。平均値と中央値どちらがいいかなーと見比べてみましたが、正直違いは分からなかったです。またそれ以外の方法でZ projectしてみても面白いかと思います。

  「携帯の写真にしては確かに綺麗だけど、じゃあ普通のカメラと比べるとどうなの?」ということで、高級コンデジのひとつであるニコンのCOOLPIX P7100を用いてできるだけ同じ角度から写真を撮ってみました。公平を期すために露出は2秒(iPhoneでの連写時間も約2秒)としました。その写真の左目アップがこちら。

DSCN2099_cmp1

  ホワイトバランスは評価しないとして、画像の鮮明さでは上記の合成写真とほとんど変わらないのではないでしょうか!?

 しかしながら、瞳の印刷部分を見比べるとP7100ではきちんとハーフトーンが見えているのに対し、iPhoneの合成写真ではそこまで細かい部分はノイズで潰れてしまうため、平均を取ってもそこまでの再現はできていないですね。ちなみにiPhone5が8MPなのに対しP7100は10MPなのでそもそも解像度がやや違う、ということもありますが、それを考慮しても僅差でP7100側に軍配が上がると思います。

 とは言っても携帯(とPC)でこれだけの絵を作れるというのはひとつ大きな発見ではないでしょうか。もちろん手ブレしないようにiPhoneは固定し、また被写体もフィギュアや風景のような動かないものを選ぶ必要がありますが、手ブレに関しては実はImageJで補正する方法もあるのでスナップショットにはかなり使えそうだと個人的には思っております。また、iPhone5ではなくても最近のAndroidではXperia ZやGalaxy S4など優れた連写機能を持ったものもありますので、そちらを用いてもいいでしょう。(追記:そんなことはなかったっぽいです。しかしXperia Z1のタイムシフト連写は優れているかもしれません。要検証。)

最後に実際の写真を置いておきます(クリックで原寸)。

AVG_Stack

合成したノイズレス写真

 

IMG_00000000

合成前の写真の1枚

 

DSCN2099

比較用にP7100で撮った写真

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