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NHKネット受信料は、妥当か否か?

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 この記事では、NHKの「ネット受信料」に関する話題について考えます。

 

地上波放送のネット同時配信、スマホアプリでの視聴でも受信料

 NHKは、地上波テレビ放送の内容を、インターネット経由でスマートフォンなどに常時同時配信する準備を進めています。

 これについてNHKの有識者委員会「NHK受信料制度等検討委員会」は、既に受信料を払っている世帯には追加徴収せず、従来通りの受信料のみで視聴できるとする答申案概要を発表しました。

 その一方で、スマホアプリなどで同時配信を視聴する、テレビを持っていない世帯には、新たに受信料を徴収するとしています。単にスマートフォンを持っているだけでは徴収せず、アプリをインストールしていることが受信料の対象になるようです。

 

受信料は地上波放送と同額?

 気になるのがお値段です。電波行政の監督官庁である総務省が、スマホでの受信料は地上波よりも安くすべきと主張しているのに対し、NHK内部では「地上波より安くするとネットでの視聴が増えてしまう」との意見が根強いため、現行の地上波契約の受信料2ヶ月あたり2520円(税込)と同程度の額にする案が、NHK内では支持されているようです。

 

携帯・スマホからも徴収したいNHK側

 ちなみに現状でも、既に携帯電話・スマートフォンでも受信料を支払っているケースがあります。それがワンセグ機能です。ワンセグ機能付きの携帯電話で受信料を支払う義務があるかどうかは複数の裁判が行われており、判決は真っ二つに別れている状況です。

 この件について、総務省は受信契約を締結する義務があるとの見方を示しつつも、ワンセグのみでの契約ならば受信料を全額免除または12分の1に減額すべきとし、ワンセグのみでの契約数がどれだけあるのかNHKに調査するよう要請しています。これに対し、NHKはワンセグでも従来通り受信料を徴収する意向を示し、調査すらも拒否しています。

 何としてでも既得権益を維持して金儲けをしたい、公共放送とは名ばかりに利潤追求にひた走るNHKの姿勢が、「スマートフォンアプリでの視聴でも地上波と同額の受信料徴収」という形で見事に現れたと言えるでしょう。

 

「受信契約者ならアプリで視聴できる」という仕組みになりそう

 スマートフォンのアプリは通常、AppleやGoogleのアプリストアを通じて配布されるものであり、ストアの規約に拘束されます。アプリ内で、アプリ内課金以外の方法で受信料を徴収するような仕組みは、App Storeの規約に抵触するので、リジェクトの対象となります。

 このため、あくまで従来通りのNHK受信料徴収を行った上で、受信料を支払っている契約者向けにNHKがIDを発行し、アプリ内でIDを入力するとテレビ同時配信の視聴機能が解禁される、などといった仕組みとなることが考えられます。

 

真面目に支払っている人にも納得感がある

 さて、我が国は、数千億円の税金を投入して地上放送のデジタル化を達成しており、放送にスクランブルを掛けて未契約者には放送を見せないという仕組みが実現可能になりました。

 しかしNHKは放送法を盾に、スクランブル化をしておらず、テレビを持っていればNHKを見ていなくても受信契約が必要になるというのがNHKの立場です。NHKは受信料を使って全国に集金人を徘徊させ、人海戦術で受信契約させ、受信料を徴収するという不健全且つ不合理極まりない体制を維持しています。これは現代の民事法で基本的に禁止されている自力救済に該当しかねない行為です。もちろんスクランブル化していれば、こんなものは不要です。

 本来ならば良い番組を制作するのに使われるべき受信料が、集金人周回と受信料訴訟の費用に注ぎ込まれ続けているわけです。さらに、スクランブル化していないがために、受信料を支払っていなくても見れてしまう(フリーライドできる)ので、真面目に支払っている人からしても納得しがたい、実に馬鹿らしい仕組みとなっているわけです。誰も幸せになっていませんね。

 こうした現状の酷いシステムと比べれば、単にNHKと契約したら発行されるIDを、NHKの同時放送用スマホアプリに入力すれば放送が見られる、というシンプルな仕組みは、よほど健全且つ合理性があるように見えます。払っていなければ見れないだけ。当たり前のことが、当たり前に実現できるわけです。

 

サービス充実は期待できないので、値下げすべき

 値段はどうでしょう。所詮は地上波放送の同時配信であり、月あたり1260円という価格は割高感があるのは否めません。

 今やスマートフォンで月額有料の動画配信サービスはいくらでもあります。SVODならば様々な番組を見放題で、最近では番組のリアルタイム配信も行っているサービスもあります。リアルタイム配信が中心のインターネットテレビ局であるAbemaTVは、リアルタイム配信は無料視聴可能で、プレミアムプラン(月額960円税込)」に加入すれば見逃してしまった過去の番組を見放題という仕組み。アプリの作りもモダンで使いやすく、軽快に動作します。NHKは、いくら番組の質が高いとはいえ、地上波と同じ内容を垂れ流すだけのアプリが1260円というのは、いくら何でも他社と比べると見劣りします。

 ちなみに、NHKの過去の番組を見られる「NHKオンデマンド」では、直近1ヶ月の見逃し番組サービス「見逃し見放題パック」が972円(税込)、過去のドキュメンタリーやドラマなど計5000番組が見放題となる「特選見放題パック」が同じく972円(税込)でそれぞれ別個に提供されています。

 もし、仮に「受信料を支払えば、同時配信だけではなくこうした過去番組の見放題サービスも利用できる、それこそAbema TVのプレミアムプランのような使い勝手で……」というものであれば、利用したくもなりますが、実は放送法の関係上、このような過去番組の配信サービスは、受信料とは別会計で賄わなければいけないため、実現は難しいでしょうね。つまり裏を返せば、NHKのネット同時配信アプリには、Abema TVのような充実したサービス内容に成長することは期待できないことになるので、より割安な価格で提供することが妥当でしょう。

 

結論:これまでよりはマシ

 とはいえ、今回のスマートフォンアプリでの地上波放送の常時同時配信というのは、これ単体で考えれば、割高感はさておき、「既に地上波で契約している人なら無料で視聴できる」「見たくなかったら契約しなければいい(=フリーライドできない)」というのは、至極真っ当であると思います。

 あくまでアプリでの同時配信は妥当だと思いますが、これまでの受信料制度を始めとするNHKに関する問題は山積みであり、今後も議論が必要なものだと思います。

 今回の答申案概要を元に、7月下旬に正式決定がなされる予定です。ネット同時配信の正式開始時期は2019年となる見通しです。

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