中国のスマートフォンメーカー「小米 (Xiaomi)」は、フラッグシップモデル「Mi3」を正式発表しました。今、このメーカーはスマートフォンの世界で一目置かれる存在となっています。
小米(Xiaomi)とは?
小米科技は、中国の新興スマートフォンメーカーです。
中国市場において、米Apple社のiPhoneの半額以下の、2万円台~3万円台という破格の値段でスマートフォンを販売し、iPhoneを上回る販売数を記録した、とても勢いのあるメーカーです。海外メディアからは、小米は「東洋のアップル」の異名で呼ばれることがあります。
iPhoneよりも大幅に安いとなると、安価で低スペックな機種ばかりをリリースしていると思われがちですが、決してそうではありません。「Xiaomi Mi」でスマートフォン市場に参入して以来、基本的に投入してきているのはハイエンド端末が中心です。
ガジェヲタには夢のような「Mi3」のスペック
今回発表された「Mi3」のスペックを見ていきましょう。中国・香港の携帯電話事情に詳しいブログ「ちゃいスマ」は、発表された性能を紹介しています。
「Mi3」は、世界で初めてクアッドコアプロセッサー「NVIDIA Tegra 4」を搭載したスマートフォンとなります。(中国移動向けはTegra4、中国連通と中国電信向けはSnapdragon 800)
バッテリー容量は3050mAhと非常にスタミナがあります。(iPhone 5は1440mAh、XPERIA Z1でさえ3000mAh)
カメラは1300万画素、センサーは高感度撮影に優れたExmor RS (Sony製IMX135)で、デュアルLED搭載。
さらに手袋をしたまま操作のできる超高感度タッチを備えた、SHARPまたはLG製のFull HD(=Blu-ray同等)の解像度を持ったIPS液晶という、夢の様なスペックを持っています。
SoCは最新最上位、カメラはSONY製、ディスプレイは定評のあるSHARPとLG、バッテリーは大容量……。なぜ新興の中国メーカー小米は、このような理想的な端末をリリースすることができているのでしょうか。
鍵は「ユーザーに近い距離」
小米CEOのLie氏は、TECH IN ASIAのインタビューで次のように回答しています。
多くのファンたちが、「完璧なスマートフォン」のアイディアを持っていますが、それを実際に作ることは難しい。だからファンたちは、次のモデルに搭載して欲しい特徴を、フィードバックとして送ってくれます。さらに私達が本当にそれを搭載すれば、彼らは友人にグッドニュースとして広めてくれるのです。
Founder Lei Jun Talks About Xiaomi, China’s Disruptive Phone-Maker [INTERVIEW]
小米はファンを呼んでヒアリングを実施し、新製品に活かしているのだそうです。ソフトウェア面においてもユーザーの意見を取り入れる仕組みがあります。
小米製スマートフォンのソフトウェアは、Androidベースの「MIUI」であり、iPhoneやAndroidからの乗り換えも容易なUIを備えています。「MIUI」は、俗にいう「カスタムROM」であるため、インターネット上の開発者フォーラムで、ユーザーの意見を取り入れ、賛同者の多い機能を優先して採用しています。
こうして出来上がったROMは、小米の端末に搭載されるのはもちろん、小米以外の端末に、わざわざインストールして利用するユーザーもいるほどです。
なお、主な販路も店頭ではなく、インターネットによるオーダーメイド方式。インターネットでユーザーと開発者が繋がり、インターネットでユーザーが買うという、ユーザーと開発者の距離が近い体制が、他の国のスマートフォンにはあまりみられない特徴です。
中国では、山寨機と呼ばれる「海賊版ケータイ」も出回っており、つい中国製の端末=粗悪品のようなイメージを持ってしまいがちですが、このようにユーザー目線の素晴らしい端末を作っているメーカーもあるのです。
ただ、個人的な私見ですが、山寨機のように自由なスタイルの端末が生まれている中国だからこそ、こういったメーカーも生まれやすかったのではないか、とも思います。通常、スマートフォンの製品設計には半年以上かかるのが当たり前ですが、山寨機の場合はわずか1ヶ月半で作り上げてしまうといいます。
ユーザーのフィードバックを活かし、ユーザーの理想的な機種を作る。そしてユーザーたちの欲しい機種だからこそ、ユーザーたちが機種を宣伝してくれる。これこそが小米の原動力と言えそうです。
廉価版iPhoneは、「小米キラー」となるか?
Bloombergは、Appleの凋落と、低価格でiPhoneに匹敵する製品をリリースし続ける小米の躍進ぶりを紹介しました。
事実、中国市場における第2四半期のトップ5は、Lenovo、COOLPAD、Huawei、中興ZTE、そして小米がランクインし、Appleは5位圏外となったのです。
廉価版モデルとなる「iPhone 5C」の投入をAppleが急ぐのは、小米のような勢いのある中国メーカーと戦うためといっても過言ではありません。(日本市場投入はオマケでしょう)
Apple社は、新興中国メーカーからシェアを取戻すことはできるのでしょうか?「iPhone 5C」の正式発表は、現地時間9月10日(日本時間9月11日午前2時)より行われる予定です。