ドイツのベルリンで開かれた世界最大規模の家電見本市 IFA2013では、多くの新製品のお披露目が行われました。
特に注目が集まったのは、正直なところこれまでは「落ち目」であったはずのSONYの、(かつてほどではないにしても)元気な姿でした。
SONYのゲーム事業部(SCE)出身の平井一夫社長。アメリカにいる期間も長いため、大変流暢な英語でプレゼンしていました。1年半前、平井社長がSONYの社長となってから、「One Sony」のフレーズのもとに、改革を行ってきました。
これまでのSONYは事業部間の連携がうまくいかず、なかなかよい製品を出すことができずにいました。それを取り払おうと改革を断行してきたのが平井体制です。
そうした「One Sony」の軸となるものが「XPERIA Z1」です。
元々SONYの携帯電話事業は、エリクソンとの合弁会社 Sony Ericssonでした。これを本社化したのがSONY Mobileです。Sony Ericsson時代には、本体のハードウェア性能は軽視されていましたが、このZ1にはスペックへの妥協は見られません。
スマートフォンとしての基本性能もさることながら、GレンズとBIONZエンジンといったカメラ事業部のリソースも投じられており、XPERIAは、名実ともに「One Sony」を象徴する存在となりつつあります。
ちなみに、Androidを搭載したWalkman NWZ-F886も発表されましたが、こちらはデジタルアンプS-Master HXを搭載し、ハイレゾにも対応という超高音質を実現しています。こうしたWalkmanの資産が、XPERIAに投じられるのも時間の問題と言えるかもしれません。
また、とりわけ関心を集めていたのは、SONYの「Cyber-shot QX100 / QX10」です。
スマートフォンにレンズを装着し、スマホをコンデジ化するという新しいコンセプト。普段、カメラやSONY製品にあまり興味のない層からの注目度も高い、前衛的な製品です。同種のよく似たコンセプトを持った製品は以前、他にもありましたが、こちらはNFCを搭載し、ワンタッチでスマートフォンと接続できるのが特徴です。
近接無線通信技術NFCは、SONY製品同士をワンタッチで接続する鍵としても利用されています。たとえば今回発表されたヘッドフォン「MDR-10RBT」や、Bluetooth搭載スピーカーボックス「GTK-N1BT」などに、ワンタッチでBluetoothペアリングを行うことができます。
Bluetooth接続と聞くと、ヘッドフォンや通話用ヘッドセットが有名ですが、ああいった機器は特にディスプレイも持たないため、取説を読みながらボタンを何秒間押してペアリングするのかを確認しつつ、四苦八苦して接続する経験をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
しかしNFCがあれば、そうした難しい設定をワンタッチで行うことができるので、機器同士を繋ぐという少し敷居の高い作業が、非常に簡単になります。
こうしたNFCはVAIOにも搭載されており、VAIOの音楽を気軽にNFC搭載スピーカーから流すなんてこともできてしまいます。
今回、IFA2013でお披露目されたVAIOは2機種。折り紙のような「VAIO Fit multi-flip PC」と、XPERIA Tablet Zによく似た「VAIO Tap 11」の二種類です。
他には「Reader PRS-T3」が発表されました。電子ペーパー特有のリフレッシュやもたつきを極力減らした、電子書籍のファンにはたまらないモデルです。
個人的には駆動時間をのばしたデジタルアンプ「PHA-2」も少々気になるところ。
全体としては非常にSONY製品が活気づいてきた印象です。私が確実に買う予定なのはもちろん「XPERIA Z1」です。日本国内の発売日の正式発表が待たれるところです。