大学の生協で運転免許証取得合宿や、旅行、新学期前には新入生向けに賃貸物件紹介、といった営業をしている風景は、日本でもありますね。言うまでもなくこれらの業界にとって、大学生、とくに新学期は大きなビジネスチャンス。携帯電話キャリアもまた、例外ではありません。
キャリアが大学のキャンパス内でSIMカードを販売すれば「捗る」わけですが、大学キャンパス内に各キャリアのブースが並ぶのは、一言で言うと「邪魔」ですよね。そんなわけで、工業信息部(総務省総合通信基盤局に相当)はキャンパス内及び周辺での電信営業ブース設営を自粛するよう求めましたが、そこは中国なので、簡単には徹底されないようです。
中国新聞網北京9月6日電によれば、北京市内の多くの大学ではキャンパス内及び周辺にSIMカード販売ブースは見られなかったものの、北京市房山区の某大学には、中国電信(中国国営大手キャリア)のブースが出現したそうです。
なお、写真の隅に写っているのは、軍事教練中の学生で、中国では新学期前の風物詩です。
中国電信の制服を着たブースの店員によれば、「とてもよく売れている、番号も選ぶのがなくなりそう」だとのことです。
また同じく、そこで販売しているSIMカードは「校園大胃カード」、番号は189から始まり、毎月通信容量20GB、電話通話180分、電話受信無料で、1年目は月額200元で今は半額キャンペーン、2年目は300元とのこと。1元約16円なので、我が国の官房長官もご満悦の価格設定ですね。
なお、この「校園大胃カード」、「在学生に限る、回線開通手続きの際に学生証あるいは合格通知書の提示を要す」とありますが、実際には学生でなくても利用できるそうです。
「学生の身分を証明する必要はありますか?」
「必要ありません、本人のもっている身分証で大丈夫です、学生かどうかはかまいません」
と、いうやりとりをしたそうです。記者が観察したところでも、学生証などの提示は必要なかったとか。なかなかザルですね。
また、記者は多くの大学キャンパスをまわったものの、中国移動や中国聯通の販売ブースは見当たらかなったとのことです。
キャンパス内にブースを設けてのSIMカード販売は、工業信息部が禁止の通達を出していたと言います。7月12日、工業信息部信息通信管理局がテレビ電話会議を召集、各インフラ電信企業に対し、認識を高め、思想を統一し、観念を変換して、キャンパス内及び周辺地区で販売ブースを設置しないよう、自覚を求めたといいます。
工業信息部はさらに、各通信管理局に対して法の執行を強化し、各種違反事件を発生させた電信企業に対し、厳格に処罰するよう表明したそうです。
なにかにつけ、役所が厳しい印象のある中国ですが、国営企業による役所の禁止令やぶり、どう対応されるのでしょうか。ちなみにニュース元の中国新聞網も、国営企業の運営です。