シャープのスマホ、やはり中国撤退へ。法人向けに注力か?

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  シャープ・スマートフォン事業の中国撤退観測については、以前もお伝えしました。その後、シャープ・スマホの中国での展開はどうなったのか?

中国市場で不振のアクオス

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 10月3日にリリースされた最軽量のフラッグシップモデル「AQUOS zero」の中国市場投入について、シャープの上層部は「様子見」を決め込んでいると、中国経営報が伝えました。

 これに先立つ9月27日、シャープ会長・戴正呉は、携帯電話事業は転換点にあるとの見方を示しました。シャープの携帯電話事業による中国大陸から3度目の撤退宣言に近いと指摘されています。

 既にお伝えしたように、今年7月、95万のフォロワーがいたシャープ・スマホの公式微博アカウントが突然すべての書き込みを消去、中国最大のECサイト京東からも全製品が消え去り、「シャープ・スマホ中国撤退か」と取りざたされました。

 昨年シャープが「大陸反攻」の自信作としてリリースしたAQUOS S2の京東でのレビュー件数は1年経った今でもレビュー数が5.7万にとどまっており、中国国内主要メーカーとはとても勝負にならない状況になっています。

やはり羅忠生解任か

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 市場に復帰したばかりのブランドが中国国内の主要メーカーとまともに勝負できないのは当然ですが、シャープ・スマホ事業の中国責任者、羅忠生は3年の時間をかけて基礎をつくり、製品出荷台数を一定の規模まで引き上げようと考えていたそうです。しかし7月、羅忠生が解任されたとの話が飛び交い、主管していたスマホ事業は日本本部に接収されたといいます。

 中国経営報の取材によれば、従前シャープのスマホ事業は鴻海によって担当されていたものの、鴻海は本来スマホメーカーに代理生産を提供するメーカーであることから、シャープは既に中国国内でのスマホ販売を停止したといいます。また、シャープが商業スマホ、工業スマホなど、中国国内の企業向け市場で製品を投入するかについても、慎重に判断する姿勢だとのことです。

販売チャネル開拓できず、他部門の販売チャネルも活かせず

 シャープのスマホ事業が前回中国市場から撤退した2013年、シャープはこれまでの販売チャネルを失ったばかりか、新しい販売チャネルの構築にも手をつけていなかったといいます。注目すべき点として、シャープの家電事業は中国国内に販売チャネルを整えている者の、これらのチャネルを利用して業務開拓ができなかったと指摘します。

 中国経営報の記者が複数のシャープ店舗を取材したところ、カラーテレビ、プリンターなどの白物家電、黒物家電は取り扱っているものの、シャープのスマホを取り扱っている店舗はなかったといいます。私も上海・南京などで数店舗見て回りましたが、シャープのスマホを店頭で見かけたことはありませんでした。

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 中国電子商会の統計によれば、2017年の中国カラーテレビ市場の販売台数は4,800万台、そのうちシャープは1,000万台以上を占め、60インチでは58.8%、70インチでは実に91.7%のシェアを誇り、大型テレビ市場では主流ブランドだそうです。あまりにも圧倒的で、驚きますね。これに続けとばかりに2017年に開始したスマホの「大陸反攻」作戦ですが……。

法人向けに注力?

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 9月末、シャープ会長・戴正呉は、シャープのスマホは転換点を迎えており、商業、工業などの企業向け市場に照準を合わせると表明しました。コンシューマー向け市場で冷遇されているシャープに、果たして法人向け市場でチャンスはあるのか?

 中国経営報による業界関係者への取材によれば、中国国内の政府企業向けスマホ市場は2,000万台前後、そのうち華為と中興などの警務、政務向けが代表的であり、vivoなどの政府企業向けスマホの新顔がもつ潜在力については、まだ観察が必要だとのことです。

 同関係者によると、シャープのスマホは法人向け市場への参入を決定したとはいえ、この業界はハードルが高いそうです。まず警務、政務市場については、シャープは鴻海によって買収されたとはいえ本部は日本にあることから、安全面から考えて、この種の市場は「国産スマホ(=中国製スマホ)」が主になるといいます。当然、中国の方でもこういう警戒はするんだなと理解できますが、そもそも鴻海、台湾メーカーだった気がするけどセーフなのか?と、ほんの少しだけひっかかりますね。

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 加えて、鴻海内部には膨大な企業向けスマホの需要があるものの、シャープが内部での競争で勝てるかも未知数だといいます。さらに、企業向けスマホはハイスペックモデルが主であり、たとえば華為はMateシリーズ、vivoはx21シリーズを選んでいる一方で、シャープは中国市場復帰後、いまだハイスペックモデルをリリースしておらず、これもシャープにとって障壁になるようです。

 いよいよ中国市場からの撤退がほぼ既定路線になったシャープのスマホ事業、それに代わるべき法人向け路線も、どうやら実現性はかなり薄そうに見られています。