TikTok運営会社も展開、新型肺炎で進む中国「遠隔勤務」化。その課題とは すまほん!!

 新型肺炎(WHO正式命名:COVID-19)が流行している中国では、国務院が春節休暇を一週間延長する異例の措置をとりましたが、概ね先週には各企業で業務が再開され始めています。

 ただし、業務再開後も多くの企業は2週間程度は出勤停止のいわば「自主隔離」体制をとっており、遠隔勤務の形に。「遠隔勤務(リモートワーク)」はニーズが高まっているというよりも、「焦眉の急」となっており、中国で遠隔勤務が大きく発展する契機になる、と見られています。

 実際に遠隔勤務が大々的に導入された中国で、課題になっているのが「業務のクラウド化」。中国「電科技」が詳しく伝えました。

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中国遠隔勤務、課題は業務クラウド化

遠隔業務サービス、利用者殺到で「フリーズ」!

 春節開け仕事初めの日、「釘釘(DingTalk)」や「企業微信」などの遠隔業務サービスがフリーズする状況が発生したそうです。

(釘釘導入企業 出典:DingTalk

 これについて「釘釘」は「動画会議の通信量が過大のため、拡張が必要」と回答しているとのこと。

 考えてみたら、「地下鉄運休したらバスに人が入り切らない」のような、当たり前の話ですね。普段は補助的な位置づけに過ぎなかった遠隔勤務を急に皆が行うようになると、そりゃパンクするでしょう。

 突然膨大なユーザーが流入したことにより、中国国内の遠隔勤務ソフトは大きな衝撃を受けているといいます。ネット上では、「SARSがECを作り、新型肺炎が遠隔勤務を生む」という論調も。

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 これについて「電科技」は、「中国国内の企業文化自体、遠隔業務への対応が非常に薄弱だと言わざるを得ない。今回の遠隔勤務の趨勢は、従来型業務方式に『結合的な変革』をもたらすだろうが、固定ニーズがなければ、業務方式の革命的な改編は非常に長い道のりとなる」と指摘しています。

遠隔業務が流行らなかった理由

 遠隔勤務は登場してから暫く経つものの、いままで流行ったことがないとも。背景にある原因としては、遠隔業務ソフトサービスに限りがあることと、遠隔業務の安全管理が薄弱であることの2つだといいます。

 遠隔業務ソフトサービスは、概ね「クラウド業務支援」「遠隔訪問」の2つに立脚しており、今求められている遠隔業務は前者であり、主に職員同士の意思疎通、任務支援と業務システムなどの方面のサービス。これら日常的に使用される機能の多くは特定の企業向けに提供されているもので、多くの企業に押し広めようとすることは「坊主にクシをあげるようなもの」だそうです。

 確かに一般論から言えば、業務システムは各社それぞれのニーズに合わせて、独自のシステムを発注するもので、出来合いのシステムではちょっと難しそうですね。

 「智联招聘」の業務再開レポートによると、インターネット業界等(32.1%)の企業で在宅勤務率が高く、直接接触型企業では明らかに低くなっています。

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 職種による制限がある中、遠隔業務ソフトが提供できるサービスも自然と更に狭くなり、市場もその制限を受けるといいます。

 この問題に対応すべく、多くの遠隔業務ソフトは具体的に使用される場面を切り口として、ユーザーを吸収しているとか。例えば、企業微信、釘釘、飛書などはいずれも「プロジェクト管理」、「会議」、「任務割り振り」などの機能を実装。しかし、それでも遠隔勤務は従来型の業務形式の一部分を代替しているに過ぎず、業務形式を完全に変革するには至っていないと言います。

 また、情報の安全も遠隔勤務の大きな弱点だそうです。一般的な遠隔業務サービスは、ローカルネットワーク上でのコミュニケーション支援となっており、ある程度は情報安全が担保されるものの、アプリソフト型のものは安全面での欠陥があり、ファイルの保存や共有には向かず、利用される範囲はやはり限られるといいます。

 もし遠隔業務の使用範囲を拡大するためには、メーカーが安全管理、権限の段階などについて改善しなければならないと指摘します。

中国遠隔業務サービスシェア上位3社

 具体的に、今の中国国内の遠隔業務サービスはどのようになっているのでしょうか。

 遠隔業務ソフトには欠点があるものの、企業のインターネット化にともない、企業向けサービスも雨後の筍のように登場してきたといいます。中には、図表作成のような単独機能のものから、「釘釘」のようなオールインワンのソフトまで。

 シェアでいえば、「企業微信」と「釘釘」が先行しており、後発の「飛書」が後を追う展開。

テンセント「企業微信」

 3社のうち、最初に企業向けサービスを提供したのは「企業微信」を提供する騰訊(Tencent)のRTX(騰訊通)。企業メンバー間の連絡、ファイル送信に使用されたとのこと。

 モバイルインターネット時代に突入してからは、騰訊は微信(WeChat)の膨大なユーザー数を生かして企業版微信をリリース。個人ユーザーから企業サービスへの転化であり、ユーザーのアクティブ度向上が狙いだと見られるようです。

アリババ「釘釘」

 一方、Alibabaの「釘釘」は事務支援製品からスタートし、そこからユーザーとのコミュニケーションへ手を広げていったようです。

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 2015年にリリースされた当初、釘釘はSNSへの流入を狙っていたものの、後に企業のデータ化サービスに重点が置かれたとのこと。アリババは企業向けサービス市場でアクセス数の資源をもっていなかったため、まず、「釘釘打卡」(チェックイン機能、オンラインタイムカードのようなイメージ)のような、具体的な使用場面に応じたサービスを切り口にしたそうです。2017年、釘釘は戦略発表会でハードウェア市場への参入を発表、スマート受付などのハードウェア製品をリリースしたといいます。

 釘釘はこれらハードウェア製品とともに、企業人事、経理、プロジェクト管理などの利用シーンに対応したプラットフォームを提供し、企業運営の効率化サポート製品を展開。2019年にはユーザー数2億人、導入事業者数1,000万人を突破したとのこと。

ByteDance「飛書」

 3つめの「飛書」を提供する「字節跳動」(TikTok運営会社)ですが、企業向けサービス市場に参入したのは比較的遅く、また、国外市場から国内市場へと戻ってきたというのも、騰訊やアリババと異なる点だといいます。

 「飛書」は各ツールの整合性に重きをおいており、アリババほどの利用場面への寄り添いもなければ、騰訊ほどのユーザー数資源もないものの、ちょっとしたニーズへの対応力は高い、という棲み分けだといいます。

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 今回の新型肺炎で遠隔業務市場が刺激されたものの、インターネット化度合いの低い企業では、依然として一部の場面を代替するにとどまっているようですが、今後、細分化された使用場面を奪い合い、業務工程のデータ化が進められていくのは必然。騰訊、アリババ、字節跳動は、いかにユーザーの使用習慣を育成していくかが鍵になるといいます。

総評

 以上、中国で大々的に進められている遠隔勤務の課題と、各サービスについてでした。

 遠隔勤務、実際のところチャットアプリと、ファイル共有さえできればあまり困らない業界でしか働いたことがないのですが、顧客管理システムをオフラインで組んでいる場合や、経理出納のオンライン化は、かなり難しいのでは、と感じます。