未成年ゲーム規制、中国の方がガチだった。ゲーム会社とスマホメーカーも協力 すまほん!!

 このほど香川県議会で可決され、4月1日より施行される「ネット・ゲーム依存症対策条例」。インターネット上で批判が噴出しており、中には「日本国憲法第21条第2項で禁じられている検閲に当たる、違憲条例」という意見も。

 また、お笑い芸人のカンニング竹山による文化放送のラジオ番組「なな→きゅう」での、「すごく考えが古い。全部時代と逆行してる」、「それに今は、学校教育でコンピュータープログラムを作る授業が始まっている時代。テクノロジーを生かす教育をやっていかないと、どんどん日本人は(世界から)取り残されていく。現にその分野では、中国なんかと比べてものすごく遅れているわけだし」との発言もスポニチで報道され、Twitterでも話題になりました。

 ん、検閲……中国……?

 ご存知のように、中国は「偉大で光栄で正確な中国共産党」が、中国無産階級と中華民族の先鋒隊として指導する、人民民主独裁の社会主義国家なので、政府機関は人民の「誤った思想言論」を「善導」する権限があり、早い話が当然バンバン検閲します。

 ちなみに「人民民主独裁」について毛沢東は「人民に対しては民主、反動派に対しては独裁」でいくものとしています。

 さて、そんな人民民主独裁でハイテク先進国な中国では、既にインターネットゲームの主管官庁である国家新聞出版署が、未成年者のゲームプレイ時間と課金額に制限を設ける通知を出しています。詳しい通知内容や、実施された規制に対する未成年ゲーマーたちの反応も紹介します。

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中国のゲーム検閲、管轄官庁は国家新聞出版署

 国家新聞出版署(国家版権局)とは、新聞、出版、著作権管理を主管する、国務院(中央人民政府)部門級単位(省庁)で、日本で言えば旧内務省警保局検閲課に相当するお役所。ゲームも当該官庁の監督下にあります。

 香川県のゲーム規制条例では「罰則規定」も話題になっていますが、そもそも中国でゲームのリリースは当該官庁の検閲審査を経た「許可」を必要とし、「検閲不許可」となればリリースできないのはもちろん、当該官庁はリリース後にも公開中止を命じる権限があります。

国家新聞出版署、ゲーム規制を通知!

(画像出典:CCTV

 国家新聞出版署が2019年10月25日、各省、自治区、直轄市新聞出版局、インターネットゲーム会社、関連業界組織へ出し、同年11月1日より施行された通知は、おおむね次のとおりです。

通知の目的は?

  通知の中で、「近年来、インターネットゲーム業界は群衆の余暇娯楽の需要を満足させ、人民精神文化生活を豊富にしている」と如何にも中国共産党な表現で評価しつつも、「同時に(略)特に未成年者のインターネットゲーム耽溺、過度の消費等の現象は、未成年者の心身健康と正常な学習生活へ悪影響をもたらしている」と、しています。

 そこで、「インターネットゲーム・サービスを規範化し、ネットゲーム会社が公共の福祉を第一とするよう指導して、未成年者のインターネットゲームへの耽溺と過度な消費を有効に防止し、未成年者の心身の健康な成長を保護することは、習近平総書記の青少年工作に関する重要支持の精神を貫徹するものであり、インターネットゲームの健康で秩序ある発展を促進するに有効な措置である」と通知の目的を述べています。

 「ネットゲーム耽溺」とは?

 香川県のゲーム規制条例では「ゲーム依存症」が根拠とされましたが、当該通知にある「ネットゲーム耽溺(原文は「沉迷网络游戏」、「耽溺」と「沉迷」はともに過度にのめり込み悪影響を及ぼす意)」とは、何なのでしょうか。

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 中国共産党機関紙の人民日報が18年7月5日に、世界保健機構が「ゲーム依存症」を疾病と定義した件について論評していますが、ここでは「游戏成瘾(ゲーム依存症)」「沉迷游戏(ゲーム耽溺)」を区別しており、「ゲーム耽溺」は単に「のめり込みすぎること」として扱われています。

 なお、「ゲーム依存症」については、「一部の若者はゲームに依存する危害を知りながらも、自生することができないまま、のめり込み続ける自分を責めている。一部の父母は子供がゲームに耽溺していることを心配して様々な手段をとり、甚だしくは子供を禁ネット学校へ送っている。『ゲーム依存症』が精神疾患に位置づけられたことは、こういった社会問題への反応である」としています。

 要は「病気とされているから病気に位置づけられた」という話であり、「ゲーム脳」を肯定しているわけではありませんが、いずれにしてもこの論評によれば、「お前らゲームやりすぎるな、現実で他にやることあるだろ」というのが中国共産党の結論でした。

 まあ、昔は病気とされていたがそうでなくなるものがあるように、病気だと言われるようになるものも新たに出現するのでしょう。

通知の内容

一、ネットゲームアカウントを有効な身分証情報と紐付けて実名登録制にせよ

 これは規制実施の前提ですね。

二、未成年者のプレイ時間を厳格に制限せよ。毎日22時から翌8時までは禁止。法定休日は1日3時間、平日は1.5時間まで。

 香川県より少し甘いです。

三、課金上限額は、8歳未満0元、8歳~16歳未満は1回50元1月200元、16歳~18歳未満は1回100元1月400元まで。

 8歳の小学生でも毎月3,000円までは課金してよろしい、というのは、これ以上課金しまくる例が多数あった状況がうかがえますね。

四、本通知を実行しないネットゲーム企業で、酷いところは法律にもとづき処分する、許可取り消しも含む。

中国「ゲーム溺愛」規制、その実施状況

テンセントやOPPOが規制に協力!

  環球網によれば3月18日、ゲーム会社「騰訊遊戯(テンセントゲーム)」は1月に4製品でのテストを経て、今月通知の全面推進を開始し、上半期内にすべてのモバイルゲームで耽溺防止規則を起動するとのこと。

 また、同じく3月18日環球網によると、スマホメーカーOPPOも耽溺防止システムの実装を開始。実名認証、未成年者による課金制限機能を実装しているとのこと。

 課金制限は、ゲーム規制通知のとおり。OPPOによれば、ゲーム耽溺防止システムを今後スマートフォンの全モデルに実装する予定。

 ゲームのプラットフォーマーだけでなく、スマートフォンメーカーまで通知を厳格に履行しているようです。

 ゲーム規制に対する微博での反応を見てみましょう。

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 ゲーム会社はプレイ時間制限を実施しているようですが「制限時間がきていないのに強制終了された」という声が散見されます。

 なお、ゲーム制限システムは「健康システム」というそうです。ディストピアっぽくていいですね。

(1時間で強制修了された、半月に一度くらいこういうことがある)

(プレイ時間50分で強制終了された)

 また、課金制限については、「俺たちにどうやって遊べというんだ?こんなに高いくせに400元(約6,000円)しか課金できないとは、アイテム引けなかったら金返してくれるのか?」との声も。

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(どうやって遊べというんだ?)

 正直、中高生が6000円以上もガチャに突っ込むなよ、規制やむなしと思いました。

 なお、「ゲーム時間が制限されたけど、ゲームをしなくても宿題の効率は依然悪い」との声も。まあ、そうでしょうね。

 プレイ時間への制限については、そこまで不満が出ていないように見えますが、中国の高校生は、日本だと予備校に行って受ける分もガッツリ学校の授業が入っており、そもそもあまり時間がない、というのも影響しているかもしれません。

 どちらかと言えば、課金制限へと取り組みと、それへの反発のほうが「ガチ」のように見えます。課金は限られた時間で効率よく攻略できる「時短」にも繋がりますからね。

香川ゲーム規制条例への反応

 なお、今回の香川県ゲーム規制条例については、中国でも報じられています。

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 ゲームニュースサイト、「遊戯網」では、日本国内での条例への批判を紹介した上で、「香川県で登場した今回の制限条例は、ゲーム文化産業が発達した日本社会に大きな影響を与えており、条例自体も青少年保護に有効かはわからない」と、批判的な立場を示しました。

 日本のニュースへの論評という体裁をとった、中国のゲーム規制政策への批判のようにも見えますね。

総評

 以上、中国でのゲーム規制事情をお伝えしました。リリースに許認可が必要な市場であることから、かなり厳格に実施されているようですが、根拠は「ゲーム依存症は精神疾患だから」というよりも、「ゲームをやりすぎるな」「課金しすぎ」という単純なところにあるようです。

 前者は余計なお世話だと感じますが、後者については「6000円しか課金できない」と怒っている中高生を見ると、妥当な気がします。