「Galaxy S20 Ultra (SCG03)」を貸与していただき、1週間ほど利用する機会を得ましたのでレビューしていきます。なお本機種は開発機のため、パフォーマンスに関しては検証しておりません。
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外観
まずは外観をチェックします。正面はパンチホールタイプのノッチがあるのみ。物理ボタンは無しです。
右側面には音量ボタンと電源ボタンのみ。
左側面にはなにもありません。
本体下部にはスピーカーとUSB Type-Cポート、マイクがあります。
本体上部にはマイクとSIMスロットがあります。SCG03はシングルSIMにmicroSDが使える仕様になっています。
本体上部には写真でも捉えるのが難しいほど、スピーカーが隠れています。パンチホールノッチも他機種に比べて小さく作られているのはS20シリーズの良いところですね。
カラー
グローバルではコスミックブラックに加えコスミックグレーも展開されていますが、今回auから販売されているSCG03はコスミックブラックのみです。S20を使用した際、グレーだったこともあり、結構気に入っていたのですが、S20 Ultraではブラックのみと聞きややショックでした。
しかし、いざ実機を見てみるとコスミックブラックめっちゃカッコいいです。どこを見ても真っ黒、つなぎ目もわからないほど色の一体感があります。
グレーでは気になっていたカメラの出っ張りも、このコスミックブラックなら綺麗に溶け込み、大きさを意識することはありません。そして黒ということもありまるでプロが使う道具のような存在感もあり、コスミックブラックめっちゃいいじゃん!と手のひらを返してしまいました。
ディスプレイ
ディスプレイは約6.9インチの超大画面です。昔は7インチと聞くとタブレットサイズでしたが、今では狭額縁化や縦長化に伴いこのサイズがポケットに収まる時代なんですね……。ちょっと感動です。
解像度は3200×1440のWQHD+に対応していますが、120Hzのリフレッシュレートを選択時はFHD+(2400×1080)に変更されます。数値でみると解像度が下がる印象を受けますが、実際に実機で変更して確認しても、通常使用する距離なら全く違いがわからないかと思います。筆者もWQHD+とFHD+を比較しましたが、画面を舐め回すように見ない限りわかりませんでした。
120Hzのヌルヌル滑らかさを優先する人やバッテリーもちを優先したい人はFHD+で全く問題ないと思います。
カメラ
S20やS20+と大きく異なるのがこの大きく主張するカメラ。S20 Ultraでは100倍ズームや1億画素とUltraならではの機能が多く存在します。
今回、S20 Ultraのカメラを様々な人気機種と比較してみました。比較対象には同様の1億画素を誇るXiaomi Mi Note 10、最大50倍のズームが可能なP40 Proを用意しました。
1億画素
スマホに1億画素は正直なところ、陶犬瓦鶏ではないかと思っているのが筆者の率直な感想です。一般的に画素数が増えると、1画素あたりの受光量が減り、ノイズが増える原因とされています。そのため、画素数が多い=画質が良いとはならないのは定説です。
近年はセンサーの技術も進化し、大手カメラメーカーも高画素モデルを投入し始めました。筆者も所有しているα7 RⅢはフルサイズで4540万画素と高画素です。大きい解像度の写真が撮れるのは編集でトリミングしやすい、印刷時に引き伸ばしやすいなどメリットが多々あります。
しかしそれはフルサイズでの話。S20 Ultraではセンサーサイズ1/1.33型とスマホにしては大きく、1億画素としては小さい。「明るいところは良くても暗所ではかなり厳しいのではないか?」と推測していましたが、以前紹介したSONYのIMX586で行われていた複数の画素を一つの画素として扱うことで、受光量を増やすテクニック、これが今回1億画素でも同等の仕組みが取られているようです。
S20 Ultraのカメラ構造
さて、作例へ行く前にS20 Ultraのカメラ構造をチェックしておきます。1200万画素でF2.2 13mmの超広角カメラ、1億画素でF1.7 26mmの広角カメラ、4800万画素でF3.5 103mmの望遠カメラ、そして深度即位用のToFカメラが背面に搭載されています。フロントカメラには4000万画素のシングルカメラが搭載されています。
気づいた人もいるかと思いますが、S20 Ultraは光学10倍ズームが売りです。しかし広角で13mm、望遠で103mmではいくら計算しても10倍にはなりません。これはなぜか。S20 Ultraの望遠カメラは光学設計上は103mmですが、カメラアプリで5倍(望遠)に切り替えると130mmの画角になります。これなら10倍が成立します。つまり、Samsungは望遠カメラの焦点距離をデジタルズーム(切り取った状態)で定義してしまうことで、ハイブリッド光学10倍と表記しています。なんというか、ずる賢いです。写真を撮る人間からするともやもやします。
Galaxy S20 Ultra カメラ作例
1億画素カメラ
おまたせしました。作例を紹介していきたいと思います。まずは屋外でテストを行いました。写真は原寸大で表示するためにすべてFlickrにアップロードさせていただきます。
まず1億画素の恐ろしさを知っていただきます。1億画素で撮影したGalaxy S20 Ultraに同シリーズのS20で撮影できる最大サイズの6400万画素の解像度、そして1200万画素の解像度をイメージで作成しました。1200万画素がものすごく小さく感じると思います。この画像を作っている最中も「これどこか数字間違えてるんじゃないのか?」と疑問に思いながら作っていました。1億画素は本当に化け物です。
ではその1億画素は本当に活かせているのか。試しに1200万画素相当で切り出してチェックしていきます。パッと見た感じでは問題ないのではないかと思いますが、拡大してみると、ディテールが絵の具のようになっているのがわかるかと思います。またナンバープレートも数字がギリギリ識別できても都道府県までは識別できないです。つまり、1億画素と言っても細部まで活かせてるわけではないようです。
1億画素で撮影するときは通常のカメラモードと違い、ワンタップで超広角や望遠に切り替えることができません。なので、超広角や望遠を使うときは都度画面の1億画素モードをオフにしてその後レンズを選ぶ必要があり、やや手間かと思います。
そしてやはり1億画素を扱うのは進化したスマートフォンといえどかなり厳しいようで、シャッターを1回押すたびにややフリーズしているかのような動作の重さがあります。写真アプリで撮影した写真を確認しても同様、動作がもっさりしています。やはり時期尚早なのでしょうか。
また1億画素のときはパープルフリンジが多発することが多いです。下の写真は、左が1億画素で撮影したもの、右が通常モードで撮影したものです。通常撮影時はほぼ見られないのですが、1億画素のときは随所に目立ちます。推測ですが、通常撮影時は画像処理でパープルフリンジを消す動作を行っているのでしょうか?1億画素の場合は処理の都合上省略している、など気になりました。
超広角
では他のカメラをチェックしていきましょう。例えば超広角はどうか。HDR処理がしっかり効いており、明るい空と逆光になる鳥居がそれぞれ綺麗に描写されています。ちなみに白い飛沫みたいなものは雨です。
望遠
望遠もチェックしてみました。画角が変わってもしっかりGalaxyらしい色をしています。ただ、想像よりも結構ノイズリダクションが強くかかっているようです。
望遠で撮影するときは右下にガイドが表示されるので、ズームしすぎても今どこを撮っているのかすぐ確認できるのでかなり便利です。
そしてUltraのセールスポイントである100倍でチェックしてみましたが、ノイズリダクションが強くもはや何がなんだかわからないくらいにつぶれてしまいました。おそらく常用できるのは10倍が限度かと思います。
公園を散歩していると飛行機が飛んでいました。Galaxy S20 Ultraは電源ボタン2度押しですぐカメラが起動するので、逃したくないシーンでもしっかり応えてくれます。これは5倍ズームで撮影しましたが、いかがでしょうか。
ご飯
基本的に外出を自粛しており、あまり外食をしていないのですが、作例を撮った帰りに行ってみたかったお店でつけ麺を撮影。色味も自然でかなり美味しそうです。
最大解像度対決 (VS. Mi Note10 / P40 Pro)
さて、先程の表参道の写真で比較を行いたいと思います。すべてオートで撮影し、ズームなし広角レンズでそれぞれ最大解像度で撮影し比較しています。
Galaxy S20 Ultraで撮影したのはこちら。夕暮れが近い時間に撮影したこともあり、やや黄色みがかっています。空もビルも緑もすべて自然な色味だと思います。
Huawei P40 Proで撮影したのはこちら。やや全体的に青みがかっているように感じます。
Xiaomi Mi Note 10で撮影したのはこちら。全体的に暗部が暗めな印象です。とはいえ、5万円台の機種と考えると十分かもしれません。
夜景望遠対決 (VS. Mi Note10 / P40 Pro)
では続いて夜景のシーンで比較していきます。こちらはすべて5倍ズームで比較。夜で手ブレしやすい条件下でどこまでカバーできるのか。検証していきます。
まずはGalaxy S20 Ultraから。全体的に明るく撮影できています。ビルは手ブレすることなくしっかり描写されています。それなのに電車は綺麗に流れており、かなり良いと思います。
続いてHuawei P40 Proです。こちらはやや暗めになりましたが、白飛びしないよう自動露出が効いているとしたらこれは適切かと思います。
Xiaomi Mi Note 10ではやや全体的にコントラストが低い印象を受けました。ただシャープネスが強く効いているのか、他と比較するとシャープに感じます。
カメラ総評
Galaxy S20 Ultraのカメラ、総評としては結構良いと思います。
緑や空もしっかり気持ちいい、現実に忠実な表現をしてくれます。メシもしっかり美味しそうに撮れて、夜景も全体的に見やすい露出を取っています。SNSにあげる分ならこれで十分ではないかと思います。ただ期待していた100倍ズームや1億画素は撮影したデータを確認しても良いとは判断しづらいです。次回作に期待したいポイントですね。
ネットワーク
本機は5Gに対応しており、一般的なSub 6に加え、より高周波数を使用した、ミリ波による5G通信もサポートしています。auによると、現在は最大2.8Gbps通信ですが、夏以降に提供されるアップデートにより最大4.1Gbpsまで速度が引き上げられるそうです。
現状全くと言っていいほど普及していないミリ波に対応している端末ということもあり、将来的に考えても長く使える端末ではないでしょうか。またWi-Fiは最新規格のWi-Fi 6(IEEE 802.11 ax)に対応しています。
セキュリティ
画面内指紋認証(超音波式)に対応しており、認証精度はかなり良好です。
また、フロントカメラを用いた顔認証に対応しており、マスクをつけてない家では顔認証でスムーズに解錠、マスクが必要な電車や公共施設、暗いところでは指紋認証でバッチリ解錠とシーンに応じて好きな方を利用できます。
しかし画面が真っ黒な状態では指紋認証の位置がわかりづらく、どこにあるのかわかりません。一回画面をタップして場所を確認する必要があるのはちょっと手間ですね。
やはり軽い
Galaxy S20 Ultraは重量約222gとヘビー級ですが、200gオーバーしていると感じるほど重たくないです。筆者はメインでiPhone XS Max(208g)を利用していますが、それよりは軽いと感じます。やはり重量配分が上手なのでしょうか……?
総評
万人からプロまで納得できるスマホ。
S20は万人に勧められるスマートフォンとして紹介しましたが、S20 Ultraはスマートフォンによりこだわりがある人やカメラに強いこだわりがある人にオススメできます。ペリスコープを用いた望遠カメラやミリ波に対応した5G対応など、ニッチな人でも満足できる端末がS20 Ultraだと思います。
本機は国内市場ではKDDIが取り扱い、現在販売中となっています。
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