ずっと待ってた、Sony本気のXperia。これぞ代表作。
Sonyのフラッグシップスマートフォン「Xperia 1 II (エクスペリアワン マークツー)」をレビューします。筆者の使用機体はau向けモデル「SOG01」および日本市場SIMフリー「XQ-AT42」の2台です。
良いところ・悪いところ
👍ココが良い! | 👎ココが悪い! |
+高級感あり美しい、情報量に比して持ち易い +マスモニ品質の映画ディスプレイ +圧倒的高性能、SIMフリーはさらに強力 +上品な画作り、実に素晴らしい24mm +本格的に写真へ没頭、Photo ProとRAWの威力 +SIMフリー版はシャッター音消去可能 +Cinema Proが最高すぎる +イヤホンジャック復活、音質もなかなか +ここぞで決まるダイナミックバイブレーション +無線充電・急速充電対応、優秀な電源管理 +良好な電源ボタン兼用側面指紋認証 +強力な物理シャッターキー |
-16:9動画等はフルスクリーン不向き -高駆動ではない -容量半減キャリア版からSIMフリー発売が遅い -望遠70mmがダメ -光量不足時の手ブレ -スピーカー最大音量は若干小さめ -Cinema Proのシーン繋ぎ目で音が変 -縦長すぎてポケットへの収まりが悪い -ピーク輝度が物足りない |
デザイン
6年前、SamsungがGalaxy S6 edgeを発売したのは衝撃的で、数年間「エッジが最先端、かっこいい」というイメージがありました。
しかし画面の大型化に伴い、Android OSがナビゲーションバーをフェードアウトさせ、画面端からのジェスチャー操作をデフォルト操作に採用することで流れが変わりました。湾曲が大きいほどジェスチャーしにくく、しっかりとソフトウェアチューニングをしていないと誤動作するからです。
このためiPhone 12シリーズやGalaxy S21シリーズは、フラットディスプレイへと回帰。静かなトレンドを、結果としてXperiaは先取りする形に。平坦な方が映像視聴にせよ何にせよ有利ですからね。
筐体寸法はXperia 1(2019)と同じぐらいで、3g重くなっています。しかし電池容量は4000mAgへと大幅増加。情報表示量の多い6.5インチという巨大なサイズではあるものの、縦方向に長く幅を抑えているため、情報量のわりには持ちやすく工夫されています。縦長すぎてポケットへの収まりが多少悪いのは弱点かもしれません。
Whiteの背面は光沢のあるガラス素材。Purpleは鏡面仕上げ。
Sony直販やオープン市場が販路となるSIMフリー版「Xperia 1 II (XQ-AT42)」は、フロストブラックが選択可能。背面はSIMフリー版もFeliCa搭載ながらも、ロゴは国際版同様NFCロゴ。マットなすりガラス調で、最高に手触りの良い質感。元々このすりガラス仕上げはXperia Z5が取り入れたものですが、最近はiPhoneやGalaxy、Huaweiも取り入れており、今回Xperia 1 IIが再びこの仕上げを採用したのは「わかってるね」という感じ。
ただし少し滑りやすい印象も。平積みしたダンボールの上に置いておいたら、滑って落ちていった……なんてことが1, 2回ありました。
指紋認証センサーは側面配置。認証精度は良好です。側面はアルマイトで、通常カラーはプラっぽいシルキーな仕上げ、フロストブラックはマットな金属仕上げで高級感あり。
薄型筐体ですが、二層基盤によりSnapdragon 865 5Gや4000mAh電池などを合理的にギュッと凝縮。薄くて持ちやすい筐体となっています。
画面
これ以外のスマホで映画はもう見れないかも?
21:9比率の超縦長な6.5インチ有機ELディスプレイを搭載。ほぼシネスコ比率です。解像度は3840×1644ピクセル。
NetflixやYouTubeで、この比率の4K HDRコンテンツを見てみて下さい。息を呑むような美しい映像が楽しめます。ノッチやパンチホールなど邪魔者も居ません。特にNetflixでは、映像業界の基準機であるマスターモニター同等に画質調整されたモードが利用可能。
実際、映像業界関係者に見せても、マスターモニターと遜色のない品質であると太鼓判。後述のダイナミックバイブレーションと相まって、他の端末ではもう見れないかも?と思うほど。
ただし横画面で16:9比率の動画を見ると、左右に大きく黒帯が出てしまうのは注意。
4Kゆえやむを得ないが、高駆動でないのは残念
ハイエンドモデルにおいて高駆動デバイスが増えるなか、本機が60Hz駆動なのは残念。
とはいえ、FHD+の4倍近い解像度を有する超高精細な4Kディスプレイで高駆動を実現した場合、発熱と電池消費が大変なことになるので、製品バランスとして考えた時に、あえてこのトレンドに乗らなかったのは仕方ないだろうとも。ハイエンドでFull HD+なら高駆動対応は大前提、WQHD+でも高駆動端末が増加、といったところが現状です。「90Hz相当の残像低減」というマーケティングワードは、高駆動がトレンドであることを開発陣が強く認識していることの表れでもあります。
なお、「90Hz相当の残像低減」は、120Hzディスプレイの機種と比べると拍子抜けするものの、たしかにこの残像低減を無効化した場合の描画と比べると、「あるのと無いのでは違うな」と実感できます。
マルチウィンドウ
21:9縦長ディスプレイを活かしたマルチウィンドウは最高です。これぞ縦長Xperiaの本領発揮。
マルチウィンドウ等の機能を呼び出せるサイドセンス。かなりコツが必要だった印象。しかしながら、Xperia 1と比べると、Xperia 1 IIでは側面金属フレームにエッジがあることで、ここを叩くよう心がけるとかなり呼び出しやすくなっています。
肝心のサイドセンスですが、実装当初より使いやすくなり、必要な機能はしっかり揃っているものの、GalaxyのOne UIと比べると、若干操作の工数が多い感じ。
音響
スピーカー
Xperia 1と比べてスピーカーがフロント配置のステレオスピーカーとなったことで、音の偏りが最小限となりました。Dolby Atmosにも対応しており、音質も良いです。ただし音量は、他のスマホと比べると若干小さめ。
意外に良いぞ、ダイナミックバイブレーション
再生コンテンツの音に合わせて振動する、プレステのデュアルショックコントローラーのようなバイブのようなアレ。ダイナミックバイブレーション。
初搭載のXperia XZ2は、背面の湾曲した頂点で端末を支える構造、そしてダイナミックバイブレーション搭載とそれに伴う強化されたバイブで、振動するほど机上で回転するという笑える仕様が海外レビューで話題となりましたが、さて、「実際のところダイナミックバイブレーションってどうなの?」という問題。
正直、YouTubeや音楽では、ほとんど必要性を感じません。むしろ邪魔ぐらい。ただし、これはコンテンツの性質によるもの。
映画ではどうでしょうか。たとえば「シン・ゴジラ」。この映画は会議シーンと、現場のシーンが行き来します。いわば静と動。この静から動への移り変わりを最大限演出します。序盤の閣僚会議で巨大不明生物が噴火活動として認識され、生物である可能性を調査するよう主張する主人公矢口内閣官房副長官政務担当を、そんなものがいるわけないと一蹴する首相、そうした掛け合いをあざ笑うように挟まれる轟音と現場の巨大不明生物の尻尾。ここで同時に、これまで静かだったダイナミックバイブレーションが、最大限振動。静と動の切り替わりが、視覚だけでなく触覚に訴えてくるのです。正直、身震いしました。
つまり作品内容やコンテンツによって、この機能の評価は大きく変わるということ。Xperia XZ2の頃とは異なり、マスターモニター品質の色に調整された高品位な4K HDR対応有機ELディスプレイを搭載した今、Netflixで映画を観るなら「まさにこれだ」と思えるほど、ここぞというところでダイナミックバイブレーションの真価が発揮されるようになったのです。
YouTubeは作り手と良くも悪くも視聴者の距離感が近い動画が多く、基本的には合わないものがほとんど。音楽にも特にいらないです。幸いにも、この機能はアプリケーションごとにオン/オフ/3段階の振動度合いをユーザーが任意に設定可能、この設定は保持されるため、「映画視聴アプリでのみ有効化、他はオフ」としておけば、最強の映画視聴マシンになります。
イヤホンジャック、繊細な音
3.5mmイヤホンジャックを搭載。個人的には無線イヤホンを常用しているため、あまり試す機会はないのですが、じっくり聞いてみたところ、繊細で解像感があります。どうせオマケだろうと全く期待していなかった点なのですが、イヤホンジャック搭載の旧来機種と比べて抜群に良くなっています。
カメラ
6年前は、Galaxyのカメラはまだまだイマイチで、Xperiaがカメラ性能で頂点を極めていました。
しかしXperia Zシリーズ終了後の衰退期には、他社ハイエンドモデルが続々とカメラを強化するなか、ずっとXperiaは生成されたJPEGに後からノイズリダクションを掛けており、「本当にカメラ部門のある会社のハイエンドスマホなのか?」という信じられない体たらくぶりで、他社ハイエンドとの差は開くばかりでした。根本的にやる気が全く感じられない、勝てるわけがない。
しかしXperiaの不振後、モバイルの経営陣がカメラ事業部出身者へと刷新されるという大きな変化が訪れます。さらに会社もカメラ・テレビ・オーディオ・モバイルをEP&S事業とし、これを一体運用するソニーエレクトロニクス株式会社も誕生。確実に部門の壁を超えてSonyの技術を活用する方向へと舵を切っています。
そしてXperia 1IIは、Sony α9を頂点とした「イメージングプロダクトファミリー」ピラミッドの一員として位置づけられたのです。動物や人物を確実にフォーカスで捉える瞳AFやAF/AE追従高速連写も可能に。
カメラハードウェア一覧
まずカメラ構成を確認しておきましょう。以下の通り。搭載するセンサー5つ中、3つがSony製となっています。
- Sony IMX363:超広角 16mm相当 F値2.2 1220万画素 Dual-PD AF
- Samsung S5K4H7:望遠 70mm相当 F値2.4 1220万画素 1/3.4型 OIS PDAF
- Sony IMX316:3D iToF
- Sony IMX557:広角(標準) 24mm相当 1220万画素 1/1.7型 F値1.7 OIS Dual-PD AF
- Samsung S5K3T2:フロントカメラ F値2.0 800万画素
Device Info HWでは出荷段階では認識できなかった3D iToFセンサーが、後の更新でIMX316として認識。被写体が中央部に無くても精度の高いオートフォーカスが可能に。
また、カメラ上部にはフラッシュライトとRGBC-IRセンサーを搭載。IRセンサーは赤外線により光源環境を特定、オートでの自然な色表現に役立てているものと考えられます。
オート:色再現性に優れた、上品な画作りは素晴らしい
オートで撮影しています。以下、記述がない限りいずれも24mm 標準で撮影。総じて色再現性に優れ、上品な画作り。
昨今のスマホは6400万画素や1億画素といった高画素センサーを積んでいるものが出てきているものの、有効活用しきれているか、いい画を撮ることに繋がっているかというと疑問で、やはりスマホ程度のセンサーサイズでは、画素数はそれほど重視せず、画素ピッチを大きく取った方がいいのでしょう。バランスの良い画が撮りやすいです。
中国メーカーだと色付けが過剰で、美味しくなさそうなものは美味しそうに、逆に美味しそうなものが微妙になったりすることもちょくちょくあるのですが、Xperia 1 IIは見たままに近く撮れます。
以下、夜景を撮影。夜景とはいえ光量はあります。
以下、Xperia 1 IIとHuawei P40 Pro。
シャドウが黒ではなくグレーとなり、ノイジーにならずに明るく撮れていて、スマホとしては驚異的な夜景が撮れるHuawei P40 Pro。しかし画作りとしては、安っぽいレンズ使っている感があり薄まっている印象も受けます。
これに対してSony Xperia 1 IIは、暗い部分が潰れているわけではないし雰囲気も出ていて、上品な仕上がりで、従来良いとされている写真。より一眼カメラ的な画作りです。6年前、2014年のソニーのフラッグシップモデルXperia Z2は、Cyber-shot RX100シリーズと同じ画作りで感動した記憶がありますが、その再来。
上記の写真は夜景とは言ってもまだ光量があります。さらに光源が少なく暗い過酷な環境ではどうなるのか?HuaweiやPixelがしっかり撮れる環境で、Xperia 1 IIは手ブレが多く、使い勝手が悪いです。
Photography Pro
さて、Xperia 1 IIの本領発揮といえば標準カメラやオートではなく「Photo Pro(Photography Pro)」。Sonyの一眼「α(アルファ)」のUIでマニュアル操作、高度な処理のオン/オフやレンズ切り替えも。
ISO感度やシャッタースピード、ホワイトバランス等を変更することができます。以下、Photo Pro マニュアルモードで撮影。
夜景HDR:道半ばだが、道は正しい
スマートフォンのカメラセンサー程度では、夜景を中心とした過酷な条件において不利。そこを克服する昨今のハイエンドスマホの画像処理。その鍵は、露出の異なる写真を瞬時に複数枚撮影すること。それら複数枚を合成することで、夜景や逆光でもしっかりと描写できるのです。ここを通らずして今時の一流大手のハイエンドスマホとは勝負にならないですが、Sonyはこれに「オートHDR」の名称で対応。しっかり第一歩を着実に進めたのは称賛すべきところ。
ただ、マニュアル操作時においても、AUTO判定時でも、果たして画質処理にオートHDRもしくはDレンジオプティマイザーが作動したのか?といったことがユーザーに明示されておらず、不安になります。また、低照度時の手ブレも多め。画角が狭くなってもいいから、ブレを抑えて合成を優先する設定が欲しいと感じます。
こちらは過酷な環境ながら普通によく撮れていますが、露出の異なる複数枚合成処理をしたのであれば、奥の方の光は低露出時にあわせてもう少し引き締まってくれてもいいのになと感じます。
左がXperia 1 II、右がOPPO Find X2 Pro。どちらも細部が絵の具塗りだらけでおかしいということもなく、よく描写できています。Xperiaはもうほんの少し木のシャドウを浮かせられないだろうかという気はします。OPPOの方がちょっとシャドウ浮かせすぎてやや不自然に思える人もいるかもしれませんが、そこの部分も含めて、解像感高めで、これはこれで技術感を優先した今風の画。
暗い中、遠くにある内照式電飾看板の中。描写が非常に難しい細部を、OPPOのオートがしっかり描写。Xperia 1 II Photo Proのオートもけっこう食らいついています。暗いながらも葉っぱの部分は不自然にならずに綺麗に描写できています。
ただ、やはり複数枚合成処理で先行するOPPO Find X2 Proには、もうあと一歩。ただ、中国メーカーの画に感じる違和感も少ないというのも正直なところで、あくまでカメラ的と言えます。まだ駆け出しではあるけれど、方向性は合っていると思うので、今後に期待できます。もっとできるはず。
RAW現像からわかる最高峰24mmの真価
Photo ProアプリはRAWでの保存にも対応。イメージセンサーが捉えた光の情報を、広いダイナミックレンジと豊かな階調そのままたっぷり記録した、JPEG加工前の未加工ファイルです。プロの写真家もこれを保存し、後から現像しています。他のカメラがダメダメなので24mmに限るのですが、やはり素晴らしい描写力であることがわかります。以下、RAW現像。
全体として低レベルの望遠、光量不足ではいまいちな超広角
このように、光量のある環境でも、そして過酷な環境でも、上品さを損なわないようにしながら、着実な改善を見せつつあり、マニュアルとRAWで素晴らしい結果を残すXperia 1 IIですが、これらは基本的にはメインカメラであるF1.7 1220万画素広角レンズによるもの。超広角もまあまあ。安いレンズの周辺に起きがちな色収差は、Xperia 1ではちょくちょく起きていましたが、Xperia 1 IIではソフトウェアで補正されているのか、ほぼ見ることはありません。しっかり使えます。
一方で、望遠カメラはややノイジーで解像力が不足。1/3.4型という小さなセンサーゆえに仕方ないのかもしれませんが、24mm標準が素晴らしいだけに、これと比較すると大きな落差を感じます。
さすがに24mm標準のデジタルズームで望遠するよりかはマシですが、もうちょっとどうにかして欲しいと思いつつも、筐体とカメラの出っ張りが薄く収まっていると、望遠の画質は製品バランス的には難しいところなのかもしれません。
また、超広角は光量が不足するとメインカメラ以上に画質が低下。メインの広角だけではなく、望遠や超広角もしっかりキレイに撮れるのが最新機種のトレンド。ここは次機種「Xperia 1 III」での改善が期待される部分です。
カメラ起動もしやすい
Android端末は、電源ボタン2度押しでカメラ起動ができるものです。PixelやAQUOSなど、比較的AOSP寄りの端末はそうです。ところが、独自カスタムスキンの中華Android端末は、しばしばカメラ起動に難儀します。
Huawei EMUIの場合、カメラ起動の操作が変わるので混乱します。消灯時・ロック画面時には「音量キー2度押し(ウルトラスナップショット)」、操作中は画面上のカメラアイコンを探して起動。画面が消えているから音量キーを2度押ししてカメラ起動したつもりが、画面がついてしまい起動できなかったりします。OPPO Color OSの場合、そもそも物理キーでの起動が不可能で辟易します。正直言って使いにくい。
Xperiaの場合、物理シャッターキーによる即時起動が可能。消灯時・ロック画面時・操作時、一貫して同じボタンで起動でき、そのまま同じキーでシャッター操作に移れます。標準カメラではなく、Photography Proを起動するよう設定することも可能。そして半押しでフォーカスを合わせ、押し込みでシャッターという、カメラ的な操作も極めて使いやすい。
ただし、Photo Proを標準アプリに設定しても、Photo Proから画像をプレビュー時、下フリックをすると、標準カメラアプリが起動してしまう不具合があるのが残念。
物理シャッターキーという便利な機能を、12年前の初代モデル「Xperia X1」(国内における初代モデルは『Xperia X10』)から、現在に至るまでハイエンドラインナップで継承しているのは特筆に値します。実際、マジで便利。ミッドレンジのXperia 10 IIではシャッターキーを搭載していません。
シャッター音を消去可能
国内携帯キャリアがメーカーに下品なシャッター音を強制し続けていますが、無意味な規制であり、喫茶店や美術館観賞など様々な場面で邪魔です。
Xperia 1 IIは、各メーカーの中でもやや小さめなシャッター音。また、SIMフリー版では、SIMを抜いた状態ではカメラ/Photo Proに「カメラ操作音」の項目が出てくるため、シャッター音をオフにできます。
ちなみにSIMフリー版は日本キャリアが強いている「SIM抜き差しで強制再起動」というアホな挙動もないため、この状態のままSIMを挿してもそのまま利用することができます。また、Android 11 SIMフリー版で確認したところ、そのあと手動再起動を行ってもカメラシャッター音は消えたままです。
専用機のカメラはシャッター音を消せるのを考えても、これはSonyのαファミリーの入門機としての意味を持つ本機のシャッター音が消せるのは真っ当です。消費者は積極的にSIMフリー版を選択すべき。
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手のひら完パケ映画製造機、最高すぎるCinema Pro
映画やドラマ、コマーシャルの撮影に用いられる業務用カメラ「CineAltra VENICE」の開発部隊が監修した、プロ仕様の映画撮影アプリ「Cinema Pro(Cinemagraphy Pro)」。HLG方式の4K HDR動画の撮影に対応します。
何から何まで本格派仕様。レンズ、ISO、Look、シャッタースピード、ホワイトバランス、フォーカス、フレームレートなど細かい設定を弄り撮影します。
以下、実際にサクッと撮影したもの。HDR対応機器で御覧下さい。輝度情報を含んだ高品位な10bit 4K HDR動画をお楽しみ下さい。
撮影から編集、アップロードまで、全てXperia 1 IIで完結しています。パソコンやジンバル等は一切使用していません。
HLG方式のHDR動画を作成するとなると、本来は専用機で撮影してPCに転送、有償の動画編集ソフトを用いて適切な設定を加える手間がありますが、全部Xperiaだけでやれてしまうのは驚くべきことです。
凄まじいカメラアプリ。しかも「CineAlta VENICE」って、ねぇ。「ホンモノはいくらすると思ってんだよ?」。
業務機器シネマカメラと、映像業界の現場で用いられるマスターモニター、それぞれ個別に数百万円する2台を、手のひらサイズに禁断の合体。しかもCPUはVRやWindowsにも乗り始めたスナドラ800番台や通信モジュールも内蔵、どこでも編集して完パケ即アップ?意味不明なほど豪華なポケット映画撮影ガジェット。マジでオタクのためのスマホです。最高。楽しすぎ。
動画をたくさん撮っても見返さず、ストレージの肥やしに……なんて話もありますが、旅行の動画をこれで撮り、Cinema Proで編集してマスターをアップしたら素材は全て潰してしまうのが良さそう。ストレージ容量も節約できますね。
あえて言うなら、HLG動画を作成したXperia 1 IIのディスプレイの輝度が高くないので、他社の最新の高輝度ディスプレイ搭載HDR対応ハイエンド端末で観た時に、作成中よりも明るく映り、制作時の意図通りになっていないと感じました。あと、クリップの冒頭がほんの少し音が途切れる不具合を早く直して欲しい。
諸元
文句なしのハイエンド、旗艦モデル。スペック表は以下の通り。
OS | 出荷時 Android 10 (アップデートでAndroid 11) |
---|---|
CPU | Snapdragon 865 5G Mobile Platform |
メモリ | 8 / 12 GB |
容量 | 128 / 256 GB, microSD |
画面 | 6.5型 21:9 4K HDR OLED (3840×1644) DCI-P3 100%, ITU-R BT.2020 (REC.2020) Motion Blur Reduction Corning Gorilla Glass 6 |
カメラ | 16mm: 12MP 1/2.55 Dual-PD AF, 超広角124度, Sony Exmor RS 24mm: 12MP 1/1.7 Dual PD AF, OIS, Sony (IMX555?) 70mm: 12MP 1/3.4 PDAF, OIS, 光学3倍望遠 3D ToF ZEISSレンズ T*コーティング |
前面カメラ | 8MP |
電池 | 4000 mAh, ワイヤレス充電 |
寸法 | 166 × 72 × 7.9 mm, 181g |
その他 | 5G Sub6 IP65/68 防水防塵 3.5mmイヤホンジャック / ステレオスピーカー / Dolby Atmos ハイレゾ / DSEE Ultimate / 360 Reality Audio (ハードウェアデコード) |
キャリア版は実行メモリ8GB/ストレージ容量128GBでしたが、SIMフリー版は12GB/256GBに増強された高品位な仕様に。
通信
デュアルSIM仕様に対応。4Gバンドは各社プラチナバンドB8/B18/B19に対応します。5G通信はミリ波n257には非対応、ドコモ、au、SoftBankのsub6 n77, n78 n79に対応。
電池
前モデルXperia 1が3200mAh電池であったのに対し、Xperia 1 IIは4000mAhへと大幅増量。体感上の電池持ちはOPPO Find X2 Proとざっくり同程度。
汎用規格USB PD(Power Delivery)の急速充電に対応、公称値では最短30分で約50%の急速充電が可能。まったくの公称値通りに、30分で50%まで充電が可能。1時間で80%まで充電可能。以下、(OPPO Find X2 Proは独自規格の充電器を使えば65Wも可能だが)全てUSB-PD 30Wでの比較。
Xperiaは一気に充電はするものの、8割充電あたりで充電速度を賢く落とし、大きく緩急をつけ電池を労っていることが伺えます。OPPO Find X2 Proとarrows 5Gには満充電に近づくと電池を配慮して充電速度を低下させる処理はあまり見られず、AQUOS R5Gは充電速度が物足りず、arrows 5Gは充電が遅い。
また、ゲーム中にはそもそも電池を使わず、充電器から直接電源供給する「HSパワーコントロール(ゲームエンハンサー内機能)」にも対応。ずっと充電しながらゲームをするのは電池がヘタりやすくなりますが、そうした問題を防ぐことができる素晴らしい機能です。ゲーム以外のアプリにも使えれば良いんですけどね。
本機の電源管理は総じて非常に優秀と言えるでしょう。
総評
こういうXperiaを俺たちは長年ずっと待っていた!
Sonyが持ち得る技術を注ぎ込み、FeliCaやDSDV、5Gに対応した超クールなデザインのSIMフリーハイエンド旗艦。文句なしの完成度。ダサくて映像作品への没入を削ぐノッチ・パンチホールを頑なに搭載しなかったこだわりもここまで来るとかっこいい。これこそがXperiaの代表作と自信を持っていいモデルでしょう。完成度も高く傑出した機体であると強く感じます。
一方で、超高解像度と相反する高駆動のトレンドにどう対処するか?主流のカメラ合成処理が次々と課題を解決していく中Xperiaはどう立ち回るのか?数の捌けるキャリア版を優先するのはある程度やむを得ないものの、それにしてもあまりに発売日が遅すぎるSIMフリー版をどのタイミングで出していくのか?といった立ち向かうべき課題もありますが、今後のXperiaにも頑張ってもらいたいところです。
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