ただでさえ円安なのに、追い打ちがあるかも?
トランプ前米大統領が中国からの輸入品に60%、その他海外地域からの製品に10~20%の関税を課す方針を表明したと、台湾メディアMoneyDJ新聞が伝えました。
専門家の試算によると、この関税政策によって1台のiPhoneあたり240ドルものコスト増加が見込まれるとのことです。
米国勢調査局のデータによると、過去1年間で米国は約4兆ドルの商品とサービスを輸入しています。そのうち4330億ドルが中国からの商品で、約10分の1にあたる420億ドルがスマートフォンだとされています。輸入スマートフォンの80%以上が中国製であり、米国内での生産能力は限られているとのことです。
現行のiPhone 16の米国での販売価格は799ドルからとなっています。内部部品の一部は米国製ですが、2024会計年度におけるアップル製品の粗利益率は37%(関税考慮前)となっています。小売りや広告など米国内でのコストは関税の対象外とされています。
分析によると、iPhone1台あたりのコストのうち45~50%が輸入に関連する内容とされています。これらに60%の関税が課された場合、iPhone 16は1台あたり216~240ドルの税負担が発生し、実効税率は27~30%に達する見込みだそうです。iPhone 16シリーズの中で最も安価な799ドルのiPhone 16無印は、価格は1015~1039ドル(現在の1ドル156円の為替レートでは、約15万8340円~16万2084円)ということになります。
最も安いモデルでさえこうなのですから、他も同じような割合だと仮定してざっくり計算してみると、999ドルのモデルは1269~1299ドル(約19万7964円~20万2644円)に、1099ドルのモデルは1396~1429ドル(約21万7776円~22万2924円)ということに。
専門家は、もし60%の関税が実施された場合、アップル社は粗利益の削減か価格引き上げを迫られる可能性があると指摘しています。価格引き上げは需要に影響を与え、関税コストを吸収して粗利益を圧縮した場合は収益に影響が出るとしており、株価への影響も避けられそうにありません。
トランプ氏の前政権時代に対中関税が実施された際は、多くの国がその恩恵を受けました。例えば、ベトナムの対米輸出は2018年以降170%増加し、年平均18%の成長を記録しています。アップル社も関税対策として、更なる組立ラインのインドへの移転を検討する可能性があるとされています。
なお、トランプ氏の関税政策に対して他国が報復措置を取った場合、米国のGDPが来年0.4%縮小する可能性があり、また2026年には失業率が現在の4.1%から4.8%まで上昇する可能性があるとの予測も紹介しています。