産経Bizは、ドコモ版の新型iPhoneが「実質0円」になると報じました。
同紙によれば、「実質0円」となるのはiPhone 5sの16GBモデル、そして廉価版のiPhone 5cは16GBモデルと32GBモデル。
「実質0円」とは、端末代金を24回(2年間)で支払う場合の、1回あたりの分割金と、毎月の使用料金からの割引(月々サポート)の割引額が、同額となることを指します。2年間割引を全額受け取れば、端末代金を相殺できることになります。しかし途中で機種変更や解約をした場合は割引が消滅するため、その場合は「実質0円」にはならない点には十分注意が必要です。
今回、iPhone 5s / 5cはそれぞれ同一モデルを国内3社が取り扱うため、各社は料金体系や独自サービスによる差別化が不可欠となります。
他にもNTTドコモは、NTTドコモがコンテンツを販売する「dマーケット」をiPhoneでも利用できるよう準備しており、それを他社との違いとしてアピールする模様。
また、産経Bizは懸念事項として、インターネット接続サービス「spモード」の、iPhone対応作業が遅れていると報じています。
NTTドコモはスマートフォン向けのISPサービスとして「spモード」および「mopera」を提供していますが、@docomo.ne.jpのキャリアメールアドレスは「spモード」に紐付いているため、産経Bizの報道が事実とすれば、ドコモ利用者の機種変更に重大な支障をきたす恐れがあることになります。
個人的な見解ですが、おそらく産経Bizの伝え聞いた「spモード」というのは、ISPサービスというより、「spモードメール」のことではないかと推測します。Androidスマートフォンで@docomo.ne.jpのキャリアメールアドレスを利用するには、アプリケーション「spモードメール」が必要です。
現在、「spモードメール」を代替し得るサービスとなる「ドコモメール」は、相次ぐ延期の末、10月のリリースを目指して準備中とされていました。おそらく、これがiPhoneの発売までに間に合わないといったことを、産経Bizが関係筋から聞いたのではないでしょうか。
また、engadgetは、Appleの説明員が、NTTドコモは「MMSの準備を進めていると聞いている」と話していたことを伝えており、NTTドコモが「spモードメール」に代わるMMSのメールシステムを、急ピッチで構築している可能性があります。
MMSは、携帯電話のメッセージサービスの国際規格。KDDIのiPhoneおよびSoftBank、E-MOBILEのキャリアメールは、MMSが利用されています。
ユーザーを苦しめてきた悪名高い「spモードメール」が、iPhoneという黒船来航であっけなく崩れていくのは感慨深いものがあります。KDDIと同様に、iPhone向けとその他で、別のメールシステムを構築するのでしょうか。詳細が気になるところです。
Appleの製品発表会の直後、Apple公式サイトのLTE対応表にNTTドコモだけ掲載されていない、冬モデルのスリートップ戦略が覆ってしまうなど、NTTドコモとAppleの交渉はギリギリまで行われていたことが推測できます。発売直後、すぐにはキャリアメールアドレスを引き継いで利用できないとなると、しばらく買い控えるユーザーも出てきそうですね。