中国人、Apple発表会の「台湾」表記に怒る。

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 Appleは、2018年の新モデルとして「iPhone XS / XS Max / XR」の3機種を発表しました。

 この発表の中でのスライドに中国のネットユーザーが怒っていると、Global Timesが報じました。Global Timesは中国共産党機関紙「人民日報」系メディア「環球時報」の国際版として英語紙面を展開する、言うなれば「政府系のタブロイド紙」です。

 それによると発表のスライドでAppleが香港と台湾を中国と同等扱いしている、Appleは「一个中国(ひとつの中国)原則」を遵守すべきだ……というのが中国ネットユーザーの主張だそうです。

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(ヴァージン諸島には米領表記があるが、香港と台湾にはない)

 九二共識によって両岸当局は、解釈の余地を残しているかどうかの違いはあれど概ね「一つの中国」について合意があります。

 そもそもAppleは、これまでにも香港や台湾を国に並べて表記しています。政治問題以前に、実効的な行政権範囲で、異なる移動体通信網や販路が現実として存在する以上、それに合わせて表記しなければ発表を見ているユーザーにとって意味を成しませんので、当然と言えます。

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(iPhone 7 Plusのプレゼンスライド。Appleは以前から中国台湾香港を別個表記している)

 中国ネットユーザーの主張は、おそらく香港や台湾を「表記するな」と言うことではなく、「中国領だと書け」ということなのでしょう。今回、Appleはヴァージン諸島を「US Virgin Islands」と表記しているからです。この表記に倣えば「CN Hong Kong」「CN Taiwan(もしくはChinese Taipei?)」でしょうか。

 このようなことがいちいち問題になる背景として、今年4月の中華人民共和国民用航空局による「一个中国原則に反した表記を削除せよ」という、世界航空各社に対する通達がありました。これについて航空各社は対応を迫られました。

 経済力をバックにして、両岸の主権帰属問題を優位に進めることを目論む大陸側の狙いは明白であり、台湾当局は当然ながら反発、米国政府も航空各社に従わないように求めました。

 この騒動を受けて、大人しく「中国台湾」への表記変更を行う航空会社もあれば、中には「関連地域を紙幣と言葉のみで表記する(中国を『人民幣 簡体中文』、台湾を『新台幣 繁体中文』、香港を『港幣 繁体中文』)」「そもそも平等に国表記を消して都市のみ表記(『北京』、『台北』、『香港』)といった抵抗を見せる航空会社もありました。

 こうした騒動の余波が、スマートフォンにも及んできた、と考えるべきでしょう。

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 今年7月、AppleはiOSアップデートを行い、中国リージョンでは台湾側の青天白日満地紅旗(中華民国国旗)の絵文字が使用不能になりました。

 こうした流れの中で、形式上は米民間企業の個人向け製品のプレゼンのワンシーンに過ぎないものに中国政府部局がいきなり圧力を掛けるのは筋違いもいいところなので、とりあえず党関連海外向け英字紙を通してささやかな観測気球を上げてみた、釘を刺してみた、程度がおそらく今回の報道なのかもしれませんね。

 Global Timesの記事は、Appleにとって第3位の市場が中国であり、このような表記でブランドイメージに害を及ぼすことはAppleにリスクをもたらし、利益を損なうだろうという中国政府寄りの主張を「中国ネットユーザーの意見」として「紹介」し、記事を締めました。