新型肺炎で中国スマホ売上、大激減。新機種も続々と発売延期へ すまほん!!

 新型肺炎の影響で、外出自粛モードにある中国。

 「小売店は大丈夫なの?」「企業への影響が大きいのでは?」と、当然気にかかりますが、中国「界面新聞」が、スマホ販売店、スマホ・電子機器メーカーへの影響について詳しく伝えました。

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中国スマホ売上、激減!

麻痺状態。小売店「売上9割減」も

nubiaショップ、中国で筆者撮影

 界面新聞の取材に応じた、華為、栄耀、魅族、努比亜などのスマホブランドを取り扱う小売業者は同取材に対し、「影響が大きすぎる。この一ヶ月、実体店での売上は8割から9割下がった。在庫が10万台は倉庫にたまっている」と嘆いているとのこと。

 新型肺炎の影響で、オフラインの販売網は全面的に麻痺状態、在庫はたまる、現金はまわらない、「まるで張り詰めた弦のようなもので、いつ切れてもおかしくない」と言います。

 また、ドローン世界最大の大疆(DJI)社広報部長謝闐地は「DJIの80%の商品はオフラインの販売で売上を出している。少なくとも今年の第1四半期は、誰も売場にこなくなった。それに、大疆の無人機は動画制作の道具で、主に映像作品や、旅行、屋外のシーンで使用される。今、誰も家から出ないのだから、ニーズは自然と減少する」と分析。

 「中国電子産業コンシューマー市場の晴雨表」と言われる深圳華強北の販売状況については、ここ一ヶ月、普段の盛況ぶりとは打って変わって人っ子一人いない有様。「華強北市場の営業開始がまた延期になり、今のところ18日から再開ということになっている。でも、自分はもう今年に期待していない」とは、販売業者のコメント。

 スマホ業界全体として、IDCの予測によれば、1月から2月の中国国内携帯電話市場は、前年同期比40%の大幅下落、第1四半期全体でも同じく30%下落が見込まれているとのこと。

サプライチェーンも大打撃

 販売に限らず、サプライチェーンも大きな打撃を受けているようです。

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 小米、華為などのブランドにイヤホンを供給しているサプライヤーは、「操業再開ができないため、現時点で2億から3億元の損失が出ているし、発注取り消しになる可能性も高い」「第1四半期の売上額下落幅は30%を超えるだろう」と言います。

 大手テレビメーカー「創維集団」も、今のところサプライヤー生産能力、人員確保の面での圧力が大きく、生産計画は予定通りに達成できない、海外からの発注も納期の延期や取り消しになるリスクがある、と答えています。

中国家電量販店に展開するSkyworthのスマートテレビ、筆者撮影

新機種延期相次ぐ

 新型機種の発売にも影響が出そうです。

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 多くのメーカーは2020年を5Gがもたらす機種交換の年と見ていましたが、新型肺炎発生後、在庫、物流、人員、消費ニーズ、各種の不安定要素が業界をとりまき、全て後ろ倒しになっているといいます。

 2月24日に開催が予定されていたバルセロナ電子展示会(MWC)が「新型肺炎感染拡大懸念」のため中止となりましたが、そもそも多くのメーカーが参加意欲を失い、参加中止を表明していたといいます。vivoはMWCへの参加中止とともに、Apexシリーズ新機種発表も延期すると表明していました。

 IDCの分析によれば、2月から3月は中国メーカーがフラッグシップモデルを発表し、量産前の最終テストを実施する時期であり、上半期に発表を計画している製品のテスト段階でもあります。上半期の製品計画の変化に応じて、中長期的な製品企画も調整されるとのこと。

 記事冒頭のスマホ小売業者は「メーカーはすぐにでも新機種を出したいが、前提として在庫を売りさばき終わらないといけない」と指摘します。

新型肺炎が後押しする「オンラインへの転換」

 実体店での販売が絶望的ななか、オンラインでの販売へと軸足を移すしかありません。

vivoオフラインチャンネル、筆者撮影

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 新機種発表会の形式も転換が迫られており、小米10シリーズの発表会は「オンラインライブ」のみに。vivoは2月13日に予定していたiQOO新製品の発表会を2月25日オンライン発発表に変更、栄耀も3月以前に予定していた発表会をオンライン発表会に切り替え、フラッグシップ製品発表会は延期、具体的な日程は新型肺炎の状況を見て決定するとのこと。

 前出スマホ小売業者もオンラインでの販売へ切り替えを進めているものの、オフラインとオンラインでは当然勝手が違うため、学習に時間がかかり、効果はあまり出ていないとのこと。

 「オンラインでの販売は1割増えたが、オフラインが8割減なので、全体的にはやはり損をしている」と言います。今後、メーカーは価格調整を入れてくると予測しているが、ミドルレンジ、ハイエンドのブランドは被害が大きく、各大手メーカーは価格調整の度合いと時期のバランスが課題になるだろうと指摘します。

各社による新型肺炎影響の見通し

「持ちこたえられて1~2ヶ月」の企業も多数

  こんな惨状で、スマホの供給に関係する企業は生き残れるのでしょうか。

 スマホパネルのサプライヤー、TCL科技の董事会(役員会)秘書は、「下落の影響は今後2、3カ月で出てくるだろう。この2カ月は在庫が十分ある」と言います。

 大手ECサイト京東は、「第1四半期はもともと閑散期で、サプライヤーは在庫を抱えているものだ。今の在庫で十分生産はできるだろう。ただし、新型肺炎が及ぼす今後の影響については、はっきりしたことが言えない」としています。

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 中小サプライヤーや、機械化されていない組み立て企業にとっては、影響が非常に明らかだとのこと。界面新聞が取材した多くの企業は「持ちこたえられて1-2カ月」と悲観的な見方をしているようです。

 前出のイヤホンメーカーは、「発注は増えたが増員はないどころか減員している」そうです。ワイヤレスイヤホンの需要が爆発し、発注量は激増したものの、生産能力の問題で大きな損失が出ているとのこと。

 なお、「生産能力」についてですが、日本でも報じられているように、春節休暇の帰省後、中国国内での移動が封鎖されている湖北省以外でも鉄道や航空便の運休・欠航が相次ぐなどして制限されているため、「そもそも従業員が帰ってこない」という状況が発生しています。

 創維集団によると、問題は操業再開だけではないとのこと。家に引きこもる消費者の購入需要にこたえるために物流需要が増加、コストも急激に跳ね上がっている、サプライチェーン上流企業の操業再開延期、一部港が閉鎖されているため、コア部品の輸入効率に影響が出ているなど、問題が山積していると言います。

 また、新型肺炎が収束する以前に操業再開すること自体がリスクだとの声も。スマホ金属ボディのサプライヤーは、政府の操業再開許可後も、全ての職員に職場復帰させるつもりはない、「もし工場がもたないからと言って操業を再開させたとして、疫病がコントロールできなくなれば、永遠に操業できなくなる」と答えているそうです。

大手各社には楽観論も

 誰もが3月以降には解決するよう願っているところですが、既に各社、次の四半期に向けて準備を進めているとのことです。

 界面新聞の取材によると、生産能力の面で中国国内大手各社はいずれも、新型肺炎の影響は長期にわたらないと見ているそうです。

 パネルサプライヤー「武漢天馬」によると、「スマホメーカーは3月か4月には1月、2月に落ち込んだ生産能力を取り戻したいと考えており、今のところ発注取り消しは出ていない。むしろ、発注どおりの供給が可能かを確認されている」とのこと。

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 東山精密社は「通年で見れば、生産能力と売上のピーク時期が後ろへ移るだけだ」と楽観。 

 なおIDCは、3カ月以内に新型肺炎が収束した場合、市場全体は回復期に入るが、前年同期水準まで回復することは困難と予測しているそうです。

総評

 以上、新型肺炎による、スマホ小売店、メーカーの生産、中国市場全体への影響についてでした。新型モデルの発表が延期になったメーカーもありますが、今年一年影響が続きそうですね。