「いいね数や誹謗中傷を気にせず使える優しいSNS」という触れ込みで登場した新しいSNSアプリ「Gravity(グラビティ)」。最近「始めました」と報告ツイートする人が急激に増えてきました。
筆者および編集部に、複数のアカウントからこんなダイレクトメッセージが届きました。
なるほど、「みんなAmazonギフト券に釣られたんだな」と思ったんですが、Twitter上をGravityなどのキーワードで検索すると数千以上の投稿が。
どうやらプロからアマチュアまで様々なイラストレーター等のクリエイターを中心に、様々な個人ユーザーに対して大量の依頼をしているように見受けられます。
単に感想とアプリストアへのリンクを書いている人から、オリジナルイラストを描いている人までいますが、そのほとんどには、PR表記や依頼主との関係性明示などは見られません。
宣伝ツイートを投稿している人に対して編集部から質問をしたところ、複数人から返事がありました。
それによると、GravityからDMで依頼されており、指示の中にPR表記の要求はなし。また、対価は今月末までに支払われる予定であるとの回答も。
昨年、アナと雪の女王2の放映開始に、著名な絵師からレビュー漫画が同時多発的に公開され、絵師本人のみならずディズニーや電通方面まで巻き込んで炎上した「アナ雪ステマ騒動」を彷彿させます。
私のところにも来ました
試してみてから宣伝に協力しようと思ってアプリの使い方について質問したら pic.twitter.com/VlloEB76wO— 餅月アン (@mochitukian) April 5, 2021
ちなみにこのGravityの運営開発元名義は、アプリのプライバシーポリシー等から「HiClub株式会社」となっていることがわかります。
大量依頼だけではなく、プロモーションツイートによる広告も展開しているため、スタートアップにしてはかなりの資金力による宣伝だろうと伺えますが、中国検索大手の「あの会社」の影がチラつきます。
Baidu広報部およびGravity開発元に対し、「Gravityの運営開発はBaiduか?」「なぜ別会社にしているのか?」「こうした行為を問題ないと考えているのか?」について照会中であり、回答があれば追記します。
欧米ではステルスマーケティングは消費者を欺く不公正な行為として違法です。日本国内でも社会通念上許されない倫理道徳に反した行為と見做されており、まだステマそのものを直接禁止する法律はないものの、内容によっては広告主が景品表示法に抵触する可能性はあります。
大企業やその関連企業が自制せず野放しであるとすれば、立法措置による規制強化の流れも想定されます。プロのクリエイターだけではなく素人にまで依頼する以上は尚更、「PR」などの文言を添付画像やテキスト内に必ず表記させるといった最低限の作法まで含めて宣伝内容の指示を徹底する必要があると思います。
なお、漫画家のやしろあずき氏は、Gravityの宣伝投稿をPR表記の上で行っています。
『数字』が基本非表示でSNSにありがちなストレスを徹底排除した新しいSNS『Gravity』実際やってみたらかなり居心地がよかったって話https://t.co/FMURiMqMxj#グラビティ #Gravity #性格診断 #PR pic.twitter.com/cBKEyPyNzx
— やしろあずき (@yashi09) March 19, 2021
(調査/取材/編集:あいばら)