Microsoftが開発していたモバイル端末向け「Andromeda OS」が、Lumia 950上で動作する映像をWindows Centralが公開しました。本来はSurface Duoが搭載端末になる予定だったようです。
「Andromeda OS」は、Microsoftがかつて開発していた、Windows 10 Mobileの後継として開発されていたOSです。このOSの注目すべきポイントは、「折りたたみデバイス向け」として開発されていたこと。
このOSが開発されているという噂が立ったのは、2018年の中旬ごろ。
筆者の記憶にある当時の折り畳みデバイスといえば、ドコモから発売されていたZTEのM Z-01Kくらいで、まだまだ市場規模も浅く、競争もほぼほぼない上、折りたたみというよりかは「2画面」スマホとして販売されていた時代でした。
ただ、2019年に発売されるGalaxy Foldの噂も若干出始めており、ユーザーや各社が注目を集めていました。Windowsのモバイル向けOSがことごとく失敗していたMicrosoftは巻き返しを図るべく、折り畳みデバイスに焦点を当てたと見られます。
結局、この「Andromeda OS」は2018年内に開発が延期され、お蔵入りに。その後発売されたMicrosoft初の折りたたみ端末「Surface Duo」には、同社製品史上初めてAndroidが採用されました。
今回Windows Centralが入手したのは、2018年半ばの「Andromeda OS」のイメージ。
なお、イメージは開発初期のプレリリース版であり、UIも全てが完成しているわけではないとのこと。ただ、MicrosoftがどんなOSを作ろうとしていたかはわかる程度には完成しています。
また、同誌がこのOSを動作させたのは、Windows 10 Mobileを搭載していたLimia 950上。Microsoftは、このOSをWindows 10 Mobileに導入することも検討していたようで、開発用端末はLumia 950を使用。入手されたOSイメージもLumia 950用のものだったようです。
下の画像は、「Andromeda OS」のロック画面。何ら変哲のない普通のロック画面で、Windows 10 Mobileと比較するとデザインが大幅に変更されていることがわかります。この端末には、専用のペンが画面に触れると、端末がロック状態でもメモが取れるという機能が搭載されていました。この機能は、サムスン製Galaxy Noteシリーズに搭載されている「黒板モード」機能とほぼ同じものです。
また、ホーム画面にもメモすることができ、この機能は常にバックグラウンドで動作していたとのこと。これは後のMicrosoft Whiteboardアプリの前身となる機能です。
「Andromeda OS」はジェスチャー操作が基本のOS。通常は左下にメニューボタン、右下にCortanaボタンがあります。しかし、アプリを全画面で表示するとこれらは非表示になるため、左右からスワイプすることでメニュー表示やCortanaを起動させることができたようです。このOS上でのCortanaは、AIアシスタントの位置づけではなく、通知マネージャーとして存在しています。
このほかにも、Windows 11に搭載されている、上から下にスワイプすると表示されるコントロールセンターもあり、Wi-Fiや画面の明るさなどを調節できます。
「Andromeda OS」は、結果的に世に出ることはなかったものの、新たに開発された機能は現在のMicrosoftが開発するソフトウェアに散りばめられています。モバイルOSの開発においては、Androidに座を譲り、自社のデバイスにもAndroidを搭載するようになったMicrosoft。ただ、苦い経験のなかで培った良い機能は、後のデバイスにもちゃんと引き継がれているようです。その姿勢は、今後も貫いてほしいですね。