
人生初の有機ELモニターに大興奮!
KTCより、OLEDゲーミングモニターの「G32P5」を提供していただいたのでレビューします。有機ELテレビじゃなくて、PC用の有機ELモニターですよ!27インチモデルもありますが、今回は32インチモデル。
ここでは有機ELモニター初体験、そしてPCモニターとしての有機ELをなんとなく忌避していた筆者が当製品に触れ、どんなことを感じた・思ったかといった点に触れつつ紹介していきます。
ちなみにKTCは中国のディスプレイメーカーで、その略称はKey To Combatから来てるんだそうな。その名の通り「KTC」ブランドとしてはゲーミングモニターを多く販売しており、日本でもここ数年急激に見かけるようになった印象です。
そしてG32P5は、そのKTCのモニターの中でも少し特異なモデル。4K32インチという大柄なサイズの有機ELモニターで、最大の特徴は4K240HzとFHD480Hzを切り替えられるデュアルモードを搭載しているところ。
そういったアピールポイントを備えながら、執筆時現在、楽天市場のブラックフライデーセールでは定価15万8990円のところ、22%オフクーポンが配布中。ポイント還元を考えなくても12万前半、実質11万円台という費用対効果の高さが魅力な製品です。
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開封と組み立て
早速開封していきます。外箱はゲーミングらしくない、どちらかといえば美麗な画質をアピールするクリエイター向けのような印象を受けます。Studio Displayとかですね。ちなみにKTCには5K/60HzとWQHD/120Hzを切り替えられるスタジオ向けモニターも販売しています。

なお今回の提供品はAmazonからの配送でしたが、この外に梱包がなされていたかといえばそうでもなく、一部破けていたビニールに覆われていただけと、すこし、いやかなり心許ない装備であり、そのせいで箱には一部欠けやへこみが生じていました。ここはマイナスポイントですが、梱包がどんどんしょぼくなっているAmazon側のせいという可能性も捨てきれません。
箱の中には本体とスタンドのほかに、クイックスタート・説明書と「キャリブレーションレポート」なるものが。ガンマ値や色温度、色差が設定された範囲内であることを示しているようです。モニターに明るくない自分にとって、これが入っているだけでもちょっと安心しました。

セットアップは非常にシンプルで、まず台座とポールを手回しネジを締めて接続してスタンドを組み立てた後、本体のツメに引っ掛けるだけ。一切のツールを必要としない親切設計です。

有機ELとゲーミングモニターの相性
画面はノングレアではあるものの若干の映り込みがあるため、写真撮影には工夫が必要でした。撮影用にもいろいろ試行錯誤し、PCと接続し画面を表示した最初の感想は「きれい……」という一言。そりゃ当然だ。

もともと、モニターは映れば十分、画質は二の次三の次というタイプだったので、OLEDはおろか量子ドットといった映像の美麗さを追求するための装備を備えたモニターは初体験でした。miniLEDは一応テレビで体験していたものの、やはり有機ELのインパクトは別格です。
液晶と比べて圧倒的に視野角も広く見やすいのも、実際に使うまではそこまで気にしていなかった美点です。どこからでも一瞥するだけでなんのコンテンツを表示していたかが一目瞭然であり、かつどこから見ても明るいです。

正面から見ると明るさが大差ないIPSディスプレイとG32P5の横から見た時の比較。
そして有機ELがゲーミングモニターと相性が良い最大の理由が、応答速度の速さです。液晶は分子の向きを変えるのに時間がかかります。
しかし有機ELは発光のオンオフだけで済むため、G32P5は公称値で0.03msという驚異的な応答速度を実現しています。そして4Kでも240Hz、FHDに落とせば480Hzというリフレッシュレートの素早さによって、応答遅延も入力遅延も最強格。ゲームを極めるなら間違いない選択肢です。
しかし、有機ELの仕組み上どうしようもない問題があります。それは明るさ。自発光する素子は、バックライトで一気に照らす液晶ほどの明るさは出せません。普段使いには全く問題ないレベルですが、「思ったほど明るくない」というのが率直な印象でした。明るさ、それと明るいところと暗いところの差であるコントラスト比が「美しい」と思える画質に直結するという話もありますし、だからこそ最近の高価格テレビの主流は有機ELからminiLEDへシフトしている、というところでしょう。
そして人間って不思議なもので、最初見た時はスゲえ!キレイ!と思っていたものが、いつの間にか当たり前だと馴染んでしまうんですよね。数日使っていると、もうこれが普通になってしまう。贅沢な悩みではありますが。
HDMIって規格いくつかあったなぁ……、それを初めて痛感
これまで全く気にしたことがなかったのですが、高リフレッシュレート+高解像度でHDR対応といった帯域幅を食いまくる製品を初めて使ったため、普段は気にしなかったHDMIの帯域を初めて意識しました。
簡単に説明すると、HDMIケーブルには「1秒間にどれだけのデータを送れるか」という帯域幅の制限があります。4K/60HzでHDRを使うには18Gbps(HDMI 2.0)、4K/120HzでHDRを使うには48Gbps(HDMI 2.1)が必要です。
筆者がこのモニターを設置した場所の問題で、メインPCに対して付属するケーブルが届かなかったので、もともと使っていたHDMIケーブルを使いました。そうするとHDR無効では4K/120Hzまでしか対応せず、HDRを有効にすると4K/60Hzに限定されてしまいます。

つまり、手持ちのケーブルはHDMI 2.0相当だったということ。G32P5は4K/240Hzまで対応しているのに、ケーブルがボトルネックになってしまいました。当然、この状態だとFHD/480Hzを達成するデュアルモードも利用できません。
もし付属しているケーブルが届かなければ、ちゃんと「HDMI 2.1対応」や「DisplayPort 2.1 DP80対応」といったケーブルを選び、性能をフルに発揮できるようにしましょう。
内蔵スピーカー
内蔵スピーカーは5W×2という構成。内蔵スピーカーはついてるだけ御の字ともいえますが、正直に言えば使うのはお勧めしません。音が平坦で低音が響かず、スカスカな印象。薄型モニターに搭載するスピーカーには限界があります。筆者自宅にあった他のスピーカー内蔵モニターと比較しても、残念ながらその音質は劣後しています。
ただ個人的には、ここを悲観的に見る必要は全くないと思っています。最高の視聴環境、ゲーム環境をG32P5でせっかくそろえているのだから、音響にケチケチせず、良いスピーカーやヘッドホンを用意するべきでしょう。
焼き付き対策
有機ELモニターを使う上で避けて通れないのが焼き付きの問題です。同じ画像を長時間表示すると、その部分が画面に焼き付いてしまう現象で、皆さんご存じ有機EL最大の弱点。スマホ売り場でずっと同じロゴが表示されていたせいで画面が焼き付いたスマホを見ると悲しい気持ちになります。
G32P5には、焼き付きを防ぐための様々な機能が搭載されているほか、それらが最初から有効になっています。そしてこれらの機能を有効にしている場合に限り、3年間の焼き付き保証が受けられます。この保証があるのは心強いですが、裏を返せば「機能を切ったら知らないよ」ということでもあります。軽く機能群を紹介します。
まずピクセルシフトは、15~30分おきに画面の位置を数ピクセルだけ動かす機能です。およそ1時間かけて時計回りに一周する仕様で、長方形方向、またはひし形方向に動かすか設定できます。
実際に使っていると、なぜか動いているのを頻繁に目撃してしまう気がします。特にTwitterの画面など、動きが少ないコンテンツを表示していると顕著で、画面がグッと動くのが分かります。ただし、「あっ動いてるな~」としか思わず、特段気になるものではありません。ゲームプレイや動画コンテンツなど動いているシーンなら、ほとんど気づかないでしょう。
そしてOLEDスクリーンセーバーは、入力された映像が一定時間変わらないと画面が真っ暗になる機能です。カーソルを動かすなどで映像が変化すれば、瞬時に状態が復帰します。

黒背景にこの文字がナナメに移動するだけなので、有機ELのスクリーンセーバーとしては省電力で良いとは思うものの若干粗さを感じる。また原因は不明なものの、この表示がバグってしまい、ほぼずっと左上で表示されていたこともあった。スクリーンセーバーの意味が・・・・・・。
また、仕様として明記されていない(か、見つけられていない)ですが、音楽プレーヤーのシークバーや時間表記が動くだけのような、ごくわずかな入力映像の変更しかない場合、スクリーンセーバーは起動しない代わりに一時的に輝度を落とす処理を入れているようです。これもユーザーの使い勝手とOLED保護の両立を目指した機能でしょうが、不快さは全くありません。いいですね。
そしてピクセルリフレッシュは、パネル寿命を延長するための独自技術です。定期的にパネル全体をリフレッシュすることで、有機EL素子の劣化を遅らせます。ただし、1~2週間ほど使ってきて、まだ2、3回ぐらいしか目撃できていません。聞いたところによればリフレッシュを掛け過ぎても負荷をかけるらしいので、動いてないからと言って気にしなくて良さそうです。
本体前面のリモコンの受光部の近くには人感センサーを搭載。これによって離席を検知し、自動消灯を行う機能がついています。便利そうに見えますが、ここに落とし穴がありました。

筆者はモニターアームを使ってこのモニターを机スレスレに置いているのですが、この状態で距離センサーを使うとうまく反応してくれません。机そのものを検知してしまうのか、机の上に置いているものに対して反応しているのか。人がいてもいなくても反応が不安定。環境によっては使えない可能性があるので注意が必要です。
ただし、こちらの距離センサー機能が使えないからと言って心配する必要はありません。焼き付き保証のために必要な設定は、工場出荷状態ですべて有効化されています。とはいえ、これだけの対策機能があっても、正直に言えばまだ焼き付かないか心配です。タスクバーなど、常に同じ位置に表示される要素は特に危険。実際に長期間使っていくことで、どの程度の耐久性があるのかを今後見ていきたいと思います。
DisplayFusionを使ってフラストレーションを軽減
また、焼き付き対策としては、通常のWindowsの設定だと常時表示されるタスクバーを隠すのが定石とされています。しかし、タスクバーを隠すと作業領域が広がるのは有難いものの、現在どんなアプリを開いてるだとかそういったことが分からなくなりますし、何より他の液晶モニターのタスクバーまで隠したくはありません。
そこで導入したのが「DisplayFusion」という有料アプリ。Windowsの標準タスクバーではなく、DisplayFusionが作る仮想のタスクバーをそれぞれのディスプレイに設定できるため、OLEDモニター以外はすべてタスクバーを表示させることができます。
それだけでなく、仮想的なタスクバーによって自由度も抜群に向上。幅やWindowsボタンの位置、Windows 10までは利用できた下部以外にタスクバーを配置するなんてこともお手の物。モニターによって異なる設定が選べます。

画面左側にタスクバーを設定した例。Windowsアイコンは非表示にして、開いているサイト名を見たいので幅を持たせている
自分みたいに焼き付きを恐れてOLEDを忌避する人のための、良い解決案になると思います。
ただし注意点として、筆者が以前に紹介したLittle Big Mouseというアプリとの相性が悪いという問題があります。DisplayFusionが起動すると、Little Big Mouseは動作を停止してしまうため、自分の手で再始動させないといけません。起動タイミングをうまいこと設定しようとしましたがダメでした。
ちなみにLittle Big Mouseについて簡単にご紹介しておくと、モニターの画素密度の違いとWindowsがモニターの画面サイズを把握していないことによる、画面間のカーソル移動の問題を一発で解決してくれる神アプリです。
総評
いくつか気になる点はあるものの、KTC G32P5はゲームも映像も両方全力で楽しみたいという贅沢な要求に応えてくれるモニターです。
4K/240HzとFHD/480Hzを切り替えられるデュアルモード、0.03msという超高速応答、そして何より有機ELならではの圧倒的な画質。執筆時現在12万4000円ほどという価格で、これだけのスペックが手に入るのは驚異的です。競合する製品は20万円近くするものばかりであり、KTCのコストパフォーマンスの高さが光ります。
有機ELモニター初心者の筆者としては、まだ評価が定まっていない部分もあります。今後、長期間使用していく中で、焼き付きの問題や耐久性がどうなるかを見守っていきたいと思います。
とはいえこの価格でこの画質、スペックが手に入るのは間違いなく魅力的。入力遅延の問題を根絶できる最高スペックのゲーミングモニターが欲しい、OLEDを体験したい、そういった需要にピッタリです。
KTC G32P5はAmazonで在庫切れ。Amazon ブラックフライデーを前にして品切れしているようです。楽天市場では販売中で、Amazonでは27インチOLEDモデルは現在も販売中とのこと。よりお手頃な値段で良さそうです。



















