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テキサス州がSamsungと合意 スマートTVの視聴データ収集で同意取得を義務化

 見ていたのはテレビの方だった?

 テキサス州のケン・パクストン司法長官が、SamsungのスマートTVによる視聴データ収集を巡り、同社と合意に至ったと発表しました。Android Authorityなどが伝えています。

 スマートTVが搭載するACR(Automated Content Recognition、自動コンテンツ認識)という技術が、今回の争点になりました。Samsungはこれを「Viewing Information Services(VIS)」と呼んでいるといいます。テキサス州司法長官側は、ACRが500ミリ秒(0.5秒)ごとにテレビ上の音声・映像データを取り込み、視聴内容を推定できる仕組みだと主張しています。発表では「500ミリ秒ごとに画面のスクリーンショットを撮れる」とも説明しており、0.5秒間隔なら1分あたり約120回になる計算です。

 訴状は、スマートTVから得た視聴データが広告目的で利用され、テレビ以外のデバイスも含めたクロスデバイスのターゲティングに結び付く可能性があるという趣旨を述べています。デマンドサイドプラットフォーム(DSP)や広告ネットワーク、測定会社、データブローカーなどへのデータ共有も挙げているそうです。司法長官は、画面に表示されたパスワードや銀行情報といったセンシティブな情報が意図せず取得され得るとも指摘しています。

 パクストン司法長官は2025年12月15日、Samsung・Sony・LG・Hisense・TCLの5社を提訴したと発表しました。ACR技術によるデータ収集を消費者へ十分に知らせないまま広告目的などに利用していた、というのが司法長官側の言い分です。

 合意を受け、Samsungはテキサス州の消費者から明示的な同意を得ずにACRの視聴データを収集・処理することをやめなければなりません。スマートTVを更新し、データ収集に関する開示画面と同意画面を明確かつ目立つ形で表示する義務も負います。ACRそのものを禁止するというよりは、同意の取り方と情報開示の分かりやすさを求める趣旨だとのことです。

 一方、訴状は初期設定での同意取得の分かりにくさや、オプトアウトに多くの操作を要する仕組みを「ダークパターン」だと指摘していました。各メディアもこの点を争点の一つとして取り上げています。

 「ダークパターン」とは、ユーザーを不利な選択へ誘導するUI(画面デザイン)の手法です。たとえば「同意する」ボタンだけ大きく目立たせ、「拒否する」は小さく表示したり何度もタップしないとたどり着けなくしたりします。要するに「面倒だからいいや」とユーザーに諦めさせる仕組みだと考えると分かりやすいでしょう。

 Samsung側は、自社のVISが規制に違反していたとは認めていません。報道によると同社は、プライバシー開示をさらに分かりやすくするための改善だと説明し、「SamsungのTVは消費者を監視していない」「プライバシー設定はいつでも変更できる」という趣旨のコメントを出しています。

 パクストン司法長官はSamsungの対応を評価し、テキサス州民が自身のデータ収集の有無を把握して利用方法を管理できるようにすべきだと述べました。Samsungを「こうした改善を実施した最初期の企業の一つ」と位置付ける一方、Sony・LG・Hisense・TCLに対しては訴訟を続ける構えです。

 ただし、合意の直接的な対象はテキサス州の消費者です。Android Authorityは、他州でSamsungに同様の変更を義務付けるものではないと伝えています。テキサス州司法長官の発表は金銭面の条件に触れていません。残る4社は係争中で、現時点で同様の変更を行ったという報道は見当たらないようです。

 スマートTVの低価格化の背景に、視聴データの広告利用を含む収益モデルがあるという指摘は以前からあります。訴状もACRデータの価値がスマートTV本体に匹敵し得るという趣旨を述べています。プライバシー意識の高まりとともに、ユーザーが気付きにくい同意の仕組みを見直す動きがテキサス州にとどまらず広がっていくのかもしれません。

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