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英国政府が「iCloudにバックドア」計画に、米議員が待った。

 米下院司法委員長のジム・ジョーダン議員と外交委員長のブライアン・マスト議員が2026年2月25日、英国のシャバナ・マフムード内務大臣に宛てて共同書簡を送りました。書簡では英内務省と駐米英国大使館に対し、英国政府がAppleに発行したとされる「技術的能力通知(TCN)」について、委員会向けの説明の場を設けるよう求めたそうです。AppleInsiderやReutersが伝えています。

 TCNとは、英国の2016年調査権限法(Investigatory Powers Act)に基づく命令です。報道によれば英国政府は2025年初頭、このTCNを通じてAppleにiCloudの暗号化データ(クラウド保存データ)へ当局がアクセスできる仕組み、いわゆるバックドア(裏口)を要求したといいます。バックドアは一度でも作れば悪用につながりかねないとして、当初から強い反発を招いていました。

 調査権限法は英国では「スヌーパーズ・チャーター(のぞき見法)」という別名でも知られています。IT企業や通信事業者に対して暗号解除やデータ保存への協力を命じる権限を政府に与える法律です。TCNもこの法律を根拠に発行でき、企業はTCNを受け取った事実すら口外できないのだとか。

 Appleはこれに応じず、2025年2月に英国ではエンドツーエンド暗号化機能「Advanced Data Protection(高度なデータ保護、ADP)」を新規ユーザーが有効にできない状態にしました。すでにADPを有効にしているユーザーにも、一定期間内に自分で無効化するよう案内する方針です。同社は「バックドアやマスターキーを作ったことはなく、今後も作らない」と表明し、この命令をめぐって英国の調査権限審判所(Investigatory Powers Tribunal)に不服を申し立てています。

 2025年8月には、米国のトゥルシー・ギャバード国家情報長官(DNI)が、英国が米国民のデータにも影響しうる形でのバックドア要求を取り下げることで合意したと述べたそうです。両議員はこれに先立ち、バックドアを設ければ「暗号化されたユーザーデータをサイバー犯罪者や権威主義的な政府が悪用する恐れがある」と警告していたとのことです。

 今回の書簡でジョーダン議員とマスト議員は「成熟した、十分な情報に基づく公開議論のためには、AppleへのTCN発行に関して英国政府がとった行動を委員会が完全に把握する必要がある」と訴えています。説明の場は米国東部時間3月11日午前10時を期限に設けるよう求めています。

 英国が要求を引っ込めたとされた後も、Appleのサポートページによると英国の新規ユーザーはいまだADPを利用できない状況が続いています。暗号化をめぐる各国の立場の違いが国家間の摩擦にさえも発展しうる状況がうかがえます。

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