
ついに100g切りの超軽量ヘッドセット。
93.6g。一般的なMR/VRヘッドセットの重さを考えると、思わず聞き返したくなる数字です。中国のXRチップ新興企業GravityXRが手掛けた超軽量リファレンス「G-X100-M1」を、XR専門ブログThe Ghost Howlsを運営するSkarredghost氏が上海で短時間の実機ハンズオン体験をしたと伝えています。

まず大前提として、これは販売される製品ではなくOEM向けの参照設計。GravityXRはヘッドセットメーカーではなく、AR/VR用チップと完成形に近いリファレンス機をOEMに提供する企業で、記事内では「中国版Qualcomm」的なポジションとして紹介されています。投資家にはGoertek(Metaヘッドセットの製造を手掛ける企業)、ByteDance(Picoの親会社)、Sequoia China、Lenovo Capitalが名を連ね、Apple R1チップ開発の元エンジニアもチームに在籍すると伝えられています。なかなかの布陣です。
肝心のM1スペックは、The Ghost Howlsが試した個体では片目2.5KのマイクロOLED、90Hz、視野角75度。一方で、GravityXR公式ページではM1のFOVを90度と記しており、デモ個体や表記時点の違いがあるようです。パンケーキレンズ(光路を折りたたみ薄型化する光学系)に4つのトラッキングカメラと2つのパススルーカメラを内蔵し、ハンドトラッキングにも対応。3DoF/6DoFは接続先プラットフォーム次第で切り替わります。心臓部の自社製「G-X100」チップは5nmプロセス、10コアDSP、200 TOPS相当、メモリ帯域70GB/s、消費電力3W級というスペックで、最大で両眼8K/120Hz、つまり片目4K級の両眼表示まで扱えるのだとか。
接続先はWindows PCか、Androidスマホ。スマホに繋ぐと、TikTokやWPS Officeといった普通の2Dアプリが空間上の浮遊大画面として表示される、といった使い方を想定しています。ただしAndroid側は現状カスタムOSが必要で、一般のスマホにそのまま挿せば即動くわけではありません。将来的には専用アプリを入れるだけで使える形を目指しているとのこと。
パススルー(外の景色をカメラ越しに映す機能)は文字も読める水準で、photon-to-photonレイテンシ(カメラ入力から画面表示までの遅延)は9msと説明。短時間デモでは鼻への負担が少なく、「ほとんど重さを感じない」と高評価です。ただし課題も明確で、The Ghost Howlsが試した個体の75度FOVはVR没入用途には狭く、視線トラッキングも非搭載。さらにチップが目の前の中央部付近に配置されているため、装着するとかなり温かく感じたといいます。
通常サイズの「G-X100-M0」はPC接続型MRヘッドセットとして並走し、こちらは片目4K OLED、90Hz、FOV 105度、6DoF、視線トラッキング対応とかなり攻めた仕様。M1とM0でハイエンドとミニマルを両面展開する構えです。
価格は非公開。G-X100-M1参照設計をベースにしたVRグラスを採用するOEM製品は、早ければ2026年内にも発表される可能性があるとされています。
なお、Picoは2026年モデルに専用パススルーチップを積むと伝えられ、Metaの超軽量ヘッドセットも、当初の2026年計画から2027年前半にずれ込むと伝えられています。「ヘッドセットをいかに軽く・小さくするか」を巡る競争は、2026年から2027年にかけてさらに熱を帯びそうです。






















