私は BookLive! が提供する電子書籍リーダ Lideo に強い期待を抱いていた。WiMAXを内蔵することで、Kindle Paper White の3G通信とは違いマンガのコンテンツも高速にダウンロードできるし、何より Book Live! には「凸版印刷」「東芝」「日本政策投資銀行」と名だたる企業がついている。
商品の発表を受け、実機の画像を見たときは「今まで電子書籍に触れたことが無い人をターゲットにしているな」と誰もが思っただろう。
しかし Lideo は根本的な欠陥を持ち、全くもって使えない。あまりにもふざけた製品だ。もしもこの製品を買うならば Kobo glo や Kindler Paper White を購入した方が数百倍幸せに、かつ快適に読書をすることが出来るだろう。
WiMAX圏外だと初期セットアップ時にログインできない
もうこの時点で消費者を舐めた製品だと感じた。筆者は既に Book Live! のアカウントを持っていたため、初期画面で Book Live! のアカウントにログインしようとした。
筆者の自宅は WiMAX 圏外であり、初期設定であるのにも関わらず Wi-Fi の設定画面も出てこなかった。少し嫌な予感がしたが、案の定「ログインに失敗しました」という表示が出る。この時点で非常に意味がわからない仕様だと感じた。
なお、新規でアカウントを作り、設定項目から Wi-Fi の設定を済ました後、そのアカウントを削除。再び初期設定画面に戻れば Wi-Fi に接続した状態になる。そこでIDとパスワードを入力すれば、ここで初めてログインをすることができる。感のいい人やある程度コンピュータになれている人ならばこれらの操作ができるだろうが、普通の人には無理だろう。
使用許諾契約書 756ページ 約302400文字
これに限っていえば、他社も同様の場合があるだろう。だが最初に表示される使用許諾契約書が756ページもあるのはさすがに考えづらいし、そんなもの誰も読まないと思う。電子ペーパーでは高速な描画は無理であるし、何より使用許諾契約の画面では1ページずつしかページをめくることはできない。
(1ページで20*20文字が表示されるため、20*20*756で文字数を算出している)
もしかしたら Book Live! は契約書を読んでほしくないのかもしれない。読まなくても次に進める。たぶん99.9%のひとが使用許諾契約書を読んでいない。これを読むだけでショートショート一冊が読み切られる量だ。
重要な部分を抽出したり、契約上明確に提示するべき部分のみを明確に表示した後、ダラダラとした定型文を書けばいい。
ついでに書いておくと、使用許諾許可証を読んでいたらアプリが不正終了した
作り込みが完全に放棄されたソフトウェア
Lideo の製造は NEC が担当、内部のソフトウェアは Android がベースとなっているようだ。Andoird であることを隠し独自のUIを組み込む Kindle Papwer White や Kobo とは違い(※訂正:Kindle Paper White および Kobo 共に Android ベースでは無く Linux ベースの誤りでした。謹んで訂正いたします)見れば誰もが Android だとわかる画面がたびたび表示される。
Androidであるとわかることが悪いことではない。ただ、中途半端に作り込まれたUIにAndroidのUIが表示されるのは違和感があり気持ちが悪い。
一例として、書籍のダウンロードが完了したときに表示されるトーストを例に挙げたい。
また、ダウンロード中のプログレスバーの横にダウンロード状態が1パーセント単位で表示されるが、電子ペーパーでパーセント表示される数字を識字することは無理だ。
また、「戻る」ボタンがハードウェアで実装されているのにもかかわらず画面に表示される「戻る」のボタンがあったり、通信をしているときに毎度毎度表示される「通信中」のダイアログであったり、見事なまでにソフトとソフト、ソフトとハードが不和を起こしているし、電子ペーパーで利用されることを念頭に設計されているとは考えづらい。
例を挙げればキリがないのだが、ソフトウェア全体の作りが kobo 以下であり、使えば使うほどイライラしてくる。表示されるダイアログに一貫性はないし、「決定」の項目があったりなかったりもする。
「しばらくお待ちください」の画面が表示された後に「通信中」の画面が表示されると、言葉にできない不快感がこみ上げてくる。もう十分にお待ちしているんだよと。
4件から9件で終わる今日のニュースと謎のローカル紙
どうやら今日も日本平和らしい。朝日新聞が提供している「朝日新聞 for booklovers」と呼ばれる一日に一度ニュース(この場合は新聞と表現した方が適切かもしれない)が配信される「本」があらかじめインストールされている。
朝日新聞の12月27日のニュースは4件(写真を撮影した日は3件)のみ。ずいぶんと平和である。村の回覧板を見せられている気分だ。なお、天声人語(朝日新聞の社説)は全文読むことが可能なので、ニュースよりもニュースを書いた人の考えていること(といっても大概だが)が見たい人には最適なツールなのかもしれない。
もうひとつ購読が可能な「福井新聞 SIESTA」は今日のニュースが9件だった。なぜか東北北陸・東海地方をターゲットにしたローカル紙が配信されているのかはわからないが、聞いたことのない地名の動物園のニュースが掲載されていた。私は岐阜に在住しているため、購読することはないだろう。
長くなったため、使用感やその他の事柄は次号に記す。