スマートフォンの製造メーカーであるカナダのBlackBerry社(旧Research In Motion)は、端末製造部門で収益が上がらない場合、端末製造から撤退することもありえると、同社の現CEOであるJohn Chen氏が明らかにしました。
これはロイター通信がJohn Chen氏へのインタビューを報じたもの。彼は昨年11月に就任後、ヘルスケアや金融サービスへの展望も語っていました。今回、彼は過去の経営ミスを認めつつも、顧客離れを食い止める長期的戦略を持っていることを明らかにしました。
今後の展望として述べられたのは、セキュリティ分野への投資です。セキュリティに焦点を当てたエンジニアリングチームの構成や、他社とのセキュリティ分野での提携、さらにセキュリティ関連企業のM&Aなどを考えているようです。
こうした転換の背景には、米NSAによる盗聴問題の発覚以来、企業や政府が顧客としてより重要になったことがあるそうです。(世界の首脳はBlackBerry利用者が多く、最近ロシア政府閣僚も、NSAに情報を渡している疑いのあるApple製デバイスの使用を取りやめました)
BlackBerryは、元々法人向けに強く、さらに個人向けにも圧倒的な世界シェアを有するメーカーでした。エジプト革命が成功したのも、当局が追跡できない匿名性を有したBlackBerryの活躍があったと言います。しかし、iPhoneやAndroidデバイスの台頭により、大きくシェアを失っていました。そこでOSやデバイスを刷新し、物理QWERTYよりもタッチパネルを重視することで、個人消費者への訴求を図りましたが、それがあまりうまくいっていないのも明らかでしょう。iOS、Android、Windows Phoneのシェアを前にして、現在、BB OS10のシェアはわずかに過ぎません。利益を上げるとすれば、企業や政府に注力するのは当然でしょう。
セキュリティを軸としたBlackBerry社の再編はうまくいくのでしょうか。見守りたいところです。
情報元:Reuters