電子書籍紹介「シャープ崩壊—名門企業を壊したのは誰か」を読んで——

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 先日、鴻海(Foxconn)からの買収を受け入れたシャープは、かつて液晶テレビAQUOSで一世を風靡し、飛ぶ鳥を落とす勢いで成長した企業でした。携帯電話・スマートフォンでもその独特の製品群とアイデアは、カメラ付きケータイのルーツとなったJ-SH04や、世界初のVGA解像度ディスプレイを搭載した904SHにも現れています。国内のスマートフォンの足がかりとなったW-ZERO3もシャープによるものでした。

 本書では、シャープがいかにして今に至ってしまったのかが、克明に記されており内ゲバとも言える内紛劇にフォーカスが当てられています。

 主たる登場人物は3代目社長の辻氏、4代目社長の町田氏、5代目社長の片山氏、6代目社長の奥田氏、7代目社長の高橋氏で、それぞれの思惑、狙い、それが招いた結果が刻々と記されています。

 客観的に、それぞれの社長の善し悪しを上げ、第三者の視点から触れられているのは、本書を作成したのが日本経済新聞だからでしょうか(もちろん、どことなく著者のバイアスは感じますが)読み進めていくと、ある種の群像劇を読んでいるような感覚を覚えました。

 また、鴻海がどのようにしてシャープと関係を持ち、蜜月な仲になっていったかも記されており、鴻海がどのような会社なのかを知りたい方にも面白いでしょう。本書は鴻海による買収が発表されるよりも以前に販売されていますが、その軌跡に触れることができます。

 本書から得られるものは何かと聞かれれば「船頭多くして船山に上る」と言えますが、感覚的に得られる知見もありますし、比較的さらりと読めるので十分お勧めできる1冊です。

 最後に本書の本筋からはズレますが、私の心に響いた箇所を引用させていただきます。

奥田は13年春に社長の座を高橋に譲った。さらなる経営悪化かれ2年後の15年春に会長も退くと、非常勤の顧問となる。現在はシャープ本社にある社員食堂で1人で昼食をとる姿が見られるという。ある社員が話す。

「みんな、社食で『あ、奥田さんだ』と思っていますよ。後ろ姿はさみしげですが、さすがに誰も声をかけられないでしょう。(以下筆者により省略)

引用元: 日本経済新聞社「シャープ崩壊」(日本経済新聞社、2016年、位置No.1185/2391)

 気になる方は、是非電子書籍をAmazonか、物理書籍をお近くの書店にてお買い求めください。

シャープ崩壊--名門企業を壊したのは誰か シャープ崩壊--名門企業を壊したのは誰か 
読書に利用した機材: Kindle Voyage、AST21、SC-01G

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