
自由なAndroid、終わりの始まり?
痛烈なメッセージ「あなたのスマートフォンが、あなたのものではなくなろうとしている」を、大々的に掲げるキャンペーンサイト「Keep Android Open」が立ち上がりました。Googleが推し進めるAndroid開発者認証の義務化に反対する公開書簡には、23カ国71団体が署名しています。
Googleが2026年9月30日からブラジル・インドネシア・シンガポール・タイで先行導入する予定なのが、Android開発者認証に基づくインストール要件です。
Google認定Androidデバイスでアプリを通常どおりにインストール、更新できるようにするには、開発者がGoogleへ登録し、身元確認、パッケージ名の登録、署名鍵ペアのSHA-256証明書フィンガープリントの登録、既存パッケージ名については秘密鍵で署名したAPKによる所有証明、規約への同意、フル配布アカウントの場合は25ドルの手数料支払いを済ませる必要があります。
対象はGoogle Play経由のアプリだけでなく、サイドローディングや独立系ストア経由のアプリにも及び、2027年以降は全世界に拡大する計画です。
Googleも例外的な導線は用意するとしています。学生や趣味の開発者向けには、政府発行IDも登録料も不要で、ユーザーが明示的に承認した最大20台に配布できる「限定配布アカウント」を2026年8月に提供予定。パワーユーザー向けには「アドバンスドフロー(advanced flow、未認証アプリ向けの段階的インストール手順)」を同じく8月に提供すると説明しています。なお、開発・テスト向けのADB経由インストールも例外として残るとしています。
2025年のGlobal Anti-Scam Alliance調査で、調査対象の成人57%が過去1年に詐欺を経験したというデータを引き、「恐怖と緊急性」で迫る詐欺手口からの保護を理由に掲げています。
しかし反対派はあまり信じていないようです。Keep Android Openはアドバンスドフローについて、開発者オプションの有効化、端末再起動、24時間の待機、PINや生体認証による確認などを伴うため、事実上の抑止機構として働くと批判しています。EFF(電子フロンティア財団)は、政府発行IDなどを伴う登録要件はアプリの有効性や安全性とほとんど結びつかず、中央登録制は検閲の経路になり得ると警告しています。
とりわけ深刻なのが、F-Droidなど代替ストア陣営の立場です。Androidではアプリの更新時に同じ署名が必要で、F-Droidでは再現可能ビルドに対応していないパッケージをF-Droid側の鍵で署名して配布することがあります。その場合、Google Play版や開発者配布版とは署名が異なります。Googleは同一パッケージに複数の署名鍵を登録できると説明していますが、F-Droidは、個々の開発者にGoogle登録を強制することも、アプリ識別子を代行して「引き受ける」こともできないと主張しています。F-Droidは公式声明で、開発者にこのプログラムへ「今も今後も」登録しないよう呼びかけ、Android Developer Verificationは自由・オープンソースソフトウェアのコミュニティに対する重大な信頼の破壊だと批判しました。
EUのDMA(デジタル市場法、巨大プラットフォーマー規制)でAppleが代替アプリマーケットプレイスやWeb配布への対応を迫られる裏で、Androidは逆方向へ針を進めようとしているようにも見える一連の動き、「オープンなAndroid」という看板が、この先どんな形で残るのか、注視するほかありません。

























