2017年、テレビメーカー世界最大手の中国・ハイセンスに事業売却された、東芝のテレビ部門。同じように東芝から中国メーカー「美的」に売却された白物家電部門は「予算が増えてできることが増えた」と伝えられ、「幸せな縁組だったのかな」と思っていたのですが、テレビの方はどうなのでしょうか?
中国メディア「家電消費網」が4月5日に伝えたところによると、東芝の大画面テレビを購入したら数ヶ月で半分カラー、半分白黒になった、「世界最悪のテレビ」と激怒し、SNSで炎上したとのこと。
同報道によると、4月4日、南京の消費者が、購入した東芝の大画面テレビが、使用して数ヶ月で画面が青色になり、メーカーに訴えて交換してもらったところ、数ヶ月すると今度は色がつかなくなったと中国最大のSNS、微博に投稿。
「半分白黒、半分カラー」と、腹を立てた消費者はその動画をアップロードし、東芝テレビの品質問題が話題になったといいます。更に、カスタマーセンターも修理スタッフも責任逃れをしているとも激怒、「東芝のテレビは世界最低のテレビ」と憤慨し、この消費者はご丁寧にも中国中央電視台、環球時報、人民日報、中国日報といった主要メディアへ投稿の中でリプを飛ばしているそうです。
この「東芝テレビ」ですが、同記事によれば、2017年11月、海信集団(ハイセンスグループ)が129億円で事業買収。当時、東芝テレビは輝きを失っており、日本市場でのシェアも右肩下がり。東芝は当時、粉飾決算事件によって巨額の負債を抱えていました。しかしハイセンスに買収されてから、去年上半期、東芝は日本市場でシャープとソニーを破り、日本のテレビ市場で販売台数トップに躍り出たと言います。
これについては日本のウェブメディアBCNの分析を引いており、それによると、東芝がシャープを追い抜いたのは主に低価格戦略によるもの。今年3月第二週、東芝ブランドのテレビのインチ単価は平均1400円で、市場最安値を更新。なお、一方のシャープはインチ単価1600円前後。
ハイセンスが東芝のテレビ事業部を買収して東芝の商標使用権を取得してから、ずっと低価格帯での市場をとっており、品質は昔と比べるべくもないとの指摘に対して、中国国内のカラーテレビ業界アナリストは、「今の東芝のテレビはハイセンスが生産しており、ハイセンスには大型液晶の資源はなく、さらに低価格帯路線となると、その品質は、既に中国人のイメージするハイエンド品質とはドンドン離れていっている」とコメント。
以上、ハイセンスに事業買収された東芝ブランドテレビは、低価格路線となり、品質が中国で叩かれているというお話でした。
国内ブランドでインチ単価の安さで勝負といえばシャープの独壇場、60型以上といえば、シャープでしょというイメージでしたが、今では東芝REGZAの方が単価が安い、というのは、けっこうな驚きがあります。
そもそも、他社は3月頃にモデルチェンジして夏のボーナス商戦で少し価格がこなれ、年末商戦では大分価格が下がってきていて、新生活シーズンに在庫処分というサイクルなのに、東芝はなぜか毎年10月という中途半端な時期にモデルチェンジするから、割高感のあるブランドでもありましたが、記事でも指摘しているとおり、「ハイエンド」で勝負するブランドでもありました。
「安かろう悪かろう」なブランドになりつつあるというのは、衝撃でもあり、残念なところです。