クルマ好き、写真撮影好きも必見!
日産自動車は、交通安全に関する研究内容を体験できるメタバースワールド「NISSAN Heritage Cars & Safe Driving Studio」を開設しました。
日産は昨年12月に創立90周年を迎えた老舗でありながら、メタバースでの取り組みに精力的な先進的なメーカーでもあります。
今回のワールドは「交通安全未来創造ラボ」特別研究員の学術研究者と協力して開発。勉強になる内容でありながら、フォトスタジオのような体裁で昔から愛されている車をピックアップして配置することで、自動車愛好家やメタバースでの写真撮影を好きな人が楽しめるよう工夫しています。交通安全を自分事として捉え、車を恐れず仲間として生活を送って欲しいとの意図を語りました。
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スカイラインのドア開閉から内部まで再現
ワールドは3セクション。
1つ目は、1980年代のトレンディドラマのような撮影スタジオ。配置車はシルビア Q’s。歩行者の服装色の視認性について学べます。
色の異なるマネキンを呼び出し可能。この時代は赤い原色系の服が多かったが、最近は服の色の好みが黒く、ダークグレイが増えてきていることがデータでもわかっており、潜在的に服装の色だけで危険性が高まっている状況。
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パタンナー(デザインをもとに型紙におこす専門職)としてアパレルブランドに携わってきた実務家教員 相模女子大学 学芸学部生活デザイン学科 角田千枝教授(左)
高年齢になるほど黒色が見えにくくなるので、白いバッグを持ったり明るいラインを入れるだけでも安全性が高まると研究でわかっているようです。
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ライティングにも凝ったワールドとなっている
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特に黒色だけでは奥のマネキンは非常に見えにくい
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ボタンからマネキンの服の切り替えが可能
2つ目は有効視野計測と交通安全の関連研究から、ゲーム感覚で学べる運転シミュレーター。配置車はスカイラインハードトップ 2000GTX-E。注意力が試されるコンテンツとなっています。
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眼光学と視覚設計を専門とする北里大学医療衛生学部 リハビリテーション学科 視覚機能療法学専攻 川守田拓志准教授
単に映像を写してるわけではなく、奥行きのある3D空間が流れる形でVRならではの体験を実現、実装も大変だったとのこと。
3つ目は50-60年代アメリカの雰囲気を再現したスタジオ。配置車はダットサンフェアレディ SPL213。
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ディテールから光の反射までこだわって再現、こちらは正式カラー
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こちらはカタログで確認できたカラーリングから創造
日産が新潟大学人文社会科学系教育学系列村山 敏夫准教授と共同創案、以前から推しているハンドルぐるぐる体操を復習できます。
全体を通じて感じたのはワールドとギミック、車両オブジェクトのクォリティの高さで、クリエイターのこだわりが感じられ、ライティングに至るまで高レベルでした。VRChat内のカメラでの撮影も存分に楽しめると思います。友人を連れて遊んでみてはいかがでしょうか?
楽しむならPC VRか、VR HMD単独版なら処理性能の高いQuest 3での体験を推奨します。実際、動作検証はQuest 3単独版で行っているようです。
公開先:VRChat 上 ワールド検索から「NISSAN Heritage Cars & Safe Driving Studio」を選択
公開日時:2024 年 3 月 7 日 10:00~
対応: Quest 対応
費用: 無料
これからの時代はメタバースだ!と鼻息を荒くしても、しばしば拍子抜けするような箱物コンテンツも存在するなか、日産は研究成果と3D/VRクリエイターの能力の掛け合わせが上手く、いつもしっかり楽しめるコンテンツを用意しており感心します。エンタメと学びのベストバランスのようなVRワールドの成功例として一連の試みが認知されるべきだと思います。