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CIA「ファーウェイは人民解放軍から資金供与」―中国共産党機関紙が「前代未聞の愚行」と猛烈反論

 最近「米国の華為(Huawei)叩きと、激怒する中国」の構図はもはや固定化されたような感があります。

 なかでも声を大きく張り上げているのが、中国共産党の機関紙、人民日報系の国際紙である「環球時報」。4月21日の社説でも、「米国は欧州を子供扱いして騙すな」「超大国があらゆる手段で華為を攻撃するのは、人類史上前代未聞の愚行」と批判しました。

Huaweiが人民解放軍から資金供与、CIA情報を英紙報じる

 環球時報社説によると、英国媒体が引用した匿名情報源の話として、CIAの情報で華為は中国情報機関と人民解放軍の資金を得ており、この情報は少数の人間しか見ていない、とされているそうです。

 これはTHE TIMES紙が報じたもので、曰くHuaweiは人民解放軍、中央国家安全委員会などから資金を受け取っているとのこと。本件についてHuaweiは匿名の情報源からの証拠のない主張であるとしてコメントを控えています。

中共系メディア「環球時報」が分析する、米国がHuaweiを叩く理由とは?

 これに対して環球時報は、「この情報の発信源は曖昧模糊としているが、この情報の目的ははっきりしている、更に華為を叩くことだ」と厳しく批判。

 「米国は華為に打撃を加えるために全力を傾けていると言える、これは情報安全の問題にとどまらない。情報安全を確保する手段はたくさんあるからだ。米国の科学技術レベルを以てすれば、華為の設備が情報収集に利用されることを防止するのは難しいことではない。さらにこれまで全世界で華為の設備が『スパイ化』した事実は確認されておらず、米国が全世界に虚偽の『華為はスパイをやっている』という物語を信じさせる難易度の高さはいかばかりか」としつつ、ワシントンが華為を叩く主な理由は、以下の3つだといいます。

Huawei標準化を阻止

 「第一に、中国の高科学技術企業に打撃を与えることで、米国が5G技術を追いかける時間稼ぎをする。米国が恐れているのは、華為の設備が全世界で迅速に展開されれば、5G時代の『華為標準』が形成される。米国は世界で最も発展した地域をすべて華為の影響から離脱させ、西側世界全体と中国の間で『高科学技術の関係を絶つ』ことを推進しようとしている」

 これは、非常に単純といおうか、「そりゃそうでしょう」と言える理由ですね。米国の米国による日本の半導体産業を潰すための「日米半導体協定」とかいう不平等条約を思い出します。

同盟国への踏み絵

 「第二に、米国は同盟国へ要求をなし、相手に徹底させようとしている。米国は同盟国の対中問題で米国の利益を最高位置に置くよう要求する、先例を作ろうとしているのである。ワシントンは同盟国が一定程度において米中競争の中間に立つことを恐れており、そうなれば同盟諸国の戦略主動性が高まり、ワシントンの立場が危うくなる」

 この指摘は、つまり米国が同盟諸国に対して、華為問題を「踏み絵」として「対中問題では米国を優先します」という立場を明らかにさせようとしている、ということですね。

米国だけが5Gに遅れることがないよう、同盟国の足を引っ張るため

 「第三、ワシントンは4Gに華為の設備を使用しておらず、5Gでも使用しない決心をした。これは米国の5Gネットワークが中国の建設速度と質に遅れを取ることを意味する。米国は欧州と日本の5Gを、米国と同レベルに引き込もうとしている。ワシントンは同盟国が5Gネットワークで米国の先をゆくことを望んでいない」

 「中国の4Gネットワークのカバー率と速度は4G時代の後期に到って次第に米国を追い越し、これは中国が全世界のモバイル決済システムで最先端を走るサポートをしているものの、中国全体の現代化レベルでは、いまだ米国の間に距離がある。もし米国と現代化の程度が大体同等の欧州国家が、5G建設速度と質の上で中国と横並びになり、米国と不揃いになれば、どのような状況となるか?ワシントンはこれに焦っている」

 同盟国が華為の設備を導入すれば、米国が同盟国に遅れを取る、これも非常に単純な話ですね。

環球時報かく語りき

「米国は敗れる」

 「一つの超大国が、そのほぼすべての法律、情報と外交ツールを動員して一企業を弾圧する、これは人類史上前代未聞の愚行である。しかし、米国は自身が発動した対華為戦争におそらく敗れるだろう」

 「米国は火のないところに煙を立てているため、辻褄が合わなくなっている。たとえば、華為は全世界で財務状況の最もいい企業の一つだが、米国による安全リスクの疑問が出て数年になる。華為がそんなに馬鹿なはずがあるだろうか、国家安全部と軍隊から少しばかりの小銭を得るために、安全信用をひっくり返す危険を冒すだろうか?さらに、欧州は4Gネットワークに大量の華為設備を使用しているが、これらは安全でなくなっているのか?」

「米国に騙されるな!」

 「今まさに米国が中国を戦略的競争相手として全面的に弾圧しているとき、米国は欧州を『自由に使えるカード』にしたいと渇望している。しかし我々は信じる、欧州は最終的に自己の独立性を大事にするはずだ。華為問題で米国に追従する国は、自身の国家利益を以てワシントンの歓心を買い、立ち遅れて規制された状況を選択することになり、このような選択は現実から不断に圧力を受けることになる」

 「米国は中国高科学技術の発展とともに同盟国の5G建設を押さえつける一石二鳥を実現しようとしている。欧州国家が最終的にどのような選択をしようとも、彼らはまず米国に騙されるべきではなく、華為事件を取り巻く各種の環境要素を、しっかりと見なければならない。もし『華為は中国国家安全部と人民解放軍が出資して作られたものだ』という粗悪な虚偽情報に欧州人が引っかかったなら、米国先生に操られる幼稚園のオトモダチになってしまうだろう」

総評

 以上、環球時報による気合の入った社説でした。華為の設備に安全保障上のリスクがあるのか実際のところは知りませんが、米国による世界戦略が相当程度影響していることは、かなりの程度事実に見える、という感想です。

 なにせ米国は、最先端技術での覇権が危うくなると、「同盟国」相手でも平気でこういうことをやった「前科」があるので、「安全保障上のリスク」という主張には「またか」と苦笑を禁じえません。

余談

 なお、これは完全に余談ですが、「環球時報」の編集長・胡錫進は米国iPhoneユーザーであるため、「国産スマホを使え」叩かれまくっています

(微博での胡錫進による『インド人は何かにつけて中国商品を燃やすが、中国人は愛国のやり方をちゃんとわかってるはずだ。俺はiPhoneで華為とZTE支持の投稿を続けるぞ』との呟き)

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