Uber Eatsや出前館といった、出前注文インターネット・プラットフォーム(以下「ネット出前」)が近年急速に発展、特にここ1年は外食への締め付けから対応店舗数も増え、「コロナ禍」のなかで数少ない「便利になったこと」と感じています。
中国では元々「自炊をあまりしない」こともあり、ネット出前は日本よりも早く発展、料理に限らず日用品の宅配もされており、2019年の中華人民共和国建国70周年記念閲兵式では、ネット出前「自転車部隊」の行列も登場、「命の恩人部隊が出てきた」と評判をとりました。
「数億人の胃袋を担っている」と言われ、今では生活に欠かせないサービスとなった「ネット出前」ですが、一方で配達員が料理をすり替えたり、精神病患者が4万元(60万円以上)も注文したりといった不自然な注文もそのままスルーするなど、ネット出前プラットフォームは手数料を取るだけであとは野放しでは?との声が上がっているとのこと。
この度、大手「ネット出前」プラットフォーム「饿了么」で、性的サービスが「宅配」されていたことが発覚し、管理責任が問われています。「科技新发现」が伝えました。
「性風俗」摘発のこれまで
そもそもの話ですが、中国では「性風俗店」全般が違法です。「とは言っても、『指圧店』や『床屋』に偽装したのがあるじゃないか」との声が聞こえてきそうですが、一斉取締りされては復活する、を繰り返していたのが近年特に厳しくなり、過去に「性都」と言われた広東省・東莞市も今は昔の話。上海も以前はコンビニなみにどこにでもあったのが、2019年8月に一斉摘発・封鎖されました。
中国のインターネット上に性風俗店が大量に出現したのは、「千団大戦」のときだそう。10年くらい前に、「共同購入クーポン」が流行したのを覚えている読者の方もいるのではないでしょうか。あれです。
やはり例のごとく「マッサージ」との名目でお客を集めていたようで、他にも、SNSが売春の温床になっていましたが、管理の厳格化とアルゴリズムの進歩により、インターネット・プラットフォームから性サービスがほぼ跡を絶ったそうです。
まあ、バリバリ監視社会なので、「WeChatでパパ活」なんて聞いたら「正気か?即捕まるでしょ?」と思います。
まだまだ続く「イタチごっこ」
「浜の真砂は尽きるとも世に盗人の種は尽きまじ」とは大盗賊・石川五右衛門による辞世の句ですが、売春も同じこと。
「饿了么」に出店しているSPA店「紫萱」を予約した某氏が、ページ上に表示されてる住所へ行ったところ、その足つぼマッサージ店は店を構えて営業しておらず、電話をすると「訪問サービスのみ」とのこと。
記者が同じく「饿了么」の「漫斯」調査したところ、「饿了么」に表示されている住所と実際の店舗場所が異なり、店側の説明によると「性サービスを提供しており、このように操作するのが安全だから」だそうです。
この件について「プラットフォームは業者を審査しているんじゃなかったのか?」とネットで炎上したとのこと。「風俗店が違法営業していることなんか一般ユーザーが気にしなくていいんじゃない?」と少し思いましたが、よくよく考えると「店舗の実在すらチェックせずにフリーパス」という状況はなかなか穏やかではありませんね。
名ばかりの「厳格審査」飲食店も問題あり
「ネット出前」プラットフォームは「業者への厳格審査、真実性の保証」を最大のセールスポイントとして宣伝している一方、審査規定に当然違反している「違法風俗」の存在が明らかに。「利益のために業者のプラットフォーム参入審査管理を緩くしている」との批判が真実味を帯びています。
「審査ガバガバ」は珍しいことではないようで、3月18日に安徽省合肥市の市場監督部門が大手「ネット出前」の「美团」と「饿了么」を強制調査したそうです。これは、両社いずれも営業許可を得ていない事業者がプラットフォーム上に存在することが発覚したことによるとのこと。
といったように、「ネット出前」の審査過程には一定の「抜け穴」が存在し、管理が足りていないのは事実。記事では、こういったプラットホームは「泥縄式」な対策を得意としており、常に受動的で、積極的な自主性、能動性はないものだと指摘。商業環境がますます複雑化する中で、ネット出前プラットフォームは今後更に多くの問題に直面するだろうと言います。
総評
日本では「インターネット」が媒介になっているものは、とりあえずテレビが叩くのような風潮があると感じウンザリしていますが、「実在性の保証」が課題となるのは事実。
日本のUberEatsも配達員に不法滞在外国人が存在したことが明らかになるなど、「管理」面ではやはり問題が発生し、こちらも「泥縄式」に対応している実情もあります。
とは言え、生活に欠かせないものとなりつつあるのも事実ですので、「より便利、より安全」なサービスを構築してくれるよう、期待しています。