HUIONよりKamvas Pro 24 (4K)を提供していただいたのでレビューします。
長らく主にXP-PEN社の液タブをレビューしてきた私ですが、今回初のHUION社の商品です。
XP-PENの同等機には何段階かの画面角度調整機能がついていますが、Kamvas Pro 24 (4K)にはありません。解像度は4Kで画質はよいです!
ペンタブレットにおいて画面サイズの大きさは正義です。しかしながら、単にそれだけで選択してはいけません。なぜなら、イラストレーションを初めとするクリエイティブ系のソフトに必要なのは描画領域だけではありません。レイヤー、カラー、ペン先の設定等の多岐に渡るパネルウィンドウを並べて作業を効率化することが不可欠。それらを並べると、肝心の描画領域は狭くなるのです。
つまり、そこを全く考慮せずに下手に小さくて狭いFHDペンタブレットを選ぼうものなら、今日から苦役が始まります。いくら良い紙、良いペンがあっても、肝心の机が狭いのではどうにもなりません。だから想像よりも高い画面サイズと解像度を選ぶ、ぐらいの意気込みが必要です。
24型4Kというのは、こうした観点からいうとかなり余裕の出てくるサイズで、圧倒的に創作に没入することができます。
HUIONのペンは、XP-PENのペンと比較して軽い印象を受けます。軽いペンは長時間のお絵描きに負担にならなくて良いというメリットがあります。ラバーのような高級感のあるXP-PENのペンと比べると、樹脂のような質感でチープに感じますが、経年劣化に耐えそうなのはHUIONなので、好みの問題もありそうです。
しかしおまけの左手デバイスは、XP-PENと比較してボタン数が多く使いやすいです。各ボタンに各操作を割り当てるカスタマイズできるのは前提として、各クリエイティブソフトごとにそれぞれのキー割り当てを切り替え可能といった、この手のデバイスに最低限求められることは、おまけにしては概ね達成できているかと思います。
描き心地はなめらかです。ディスプレイとペン先の当て感はなかなか気持ちが良いです。
筆圧検知は8192レベル。XP-PENの同等機が16384レベルであることを考えると見劣りします。私はあまり筆圧を重視しないのですが、Proを名乗る製品ラインナップならここはもう少し頑張ってほしかったところですね。
なお、本機は画像のようなスタンドの足が付属しており、角度が調整できないため、メインディスプレイとしては使用できません。
オプション商品を購入すれば調整可能みたいです。付属しておいて欲しかったと強く感じます。なぜならペンの傾き検知や描き心地は、画面角度によって実感が大きく変わるからです。画面を自分の描きやすい角度に調整することによって、ペン先がフィットする感覚に近づけることができます。
私の現在のメイン機は、XP-PENのPro仕様24インチで「2.5K」で、今回のHUION Kamvasは同じくPro仕様24インチで「4K」です。どちらも同価格帯の製品ですので、性能重視のXP-PEN、解像度重視のHUIONと選択肢になっています。Wacomに対抗する中価格帯液タブメーカーでも、製品で重視する点が違うようですね。
一通り使って絵を描いてみて、機体自体はいいものの、常に「これで画面角度の調整ができればなぁ……」といちいち感じてしまうのが使用体験を損ないました。オプションのスタンドの定価は、ST100Aが6999円、ST500が1万9999円となっているので、この辺りのアクセサリーを本体代金に足した上で、検討するのがよさそうです。
ちなみにVESAマウント対応なので、もし既に「自分にとって最高のVESAのスタンドで、ペンタブレットの固定・角度調整方法を確立しているのでそもそもスタンドつけなくてくれなくていい」という人にとっては、今回のネガは特に問題とはならないでしょう。
最後にお約束として、本機とクリップスタジオペイントで描いた絵を載せておきます。
(編集・校閲: 會原)